NEWSIC(SiC製焼成用セッター)
SiC系耐火物の5倍の強度を持ち、耐酸化性、耐久性にも優れている。また強度が極めて高いため、薄肉・軽量の省エネルギー型定形耐火物の設計に適しています。
製品情報
耐火物とは、鉄やガラスを溶かす溶解炉の内張りや、食器やタイルを焼成炉に効率よく並べるための窯道具(例:セッター、棚板、支柱)など、過酷な高温環境下で使用することのできる材料です。耐火物は、高温や腐食環境に対して、耐久性を持つだけでなく、熱の伝導性や化学安定性、機械的強度などの特性も兼ね備えています。これらの特性は製造プロセスの安定性と効率性を確保するために不可欠です。
耐火物には、主に以下の素材が使用されます。
日本ガイシは独自のセラミック技術により、過酷な高温環境下で欠かせない定形耐火物を、業界随一のラインアップで提供しています。衛生陶器や食器、ガラスをはじめ、自動車部品や電子部品に至るまで、高度な加熱を要するさまざまな分野で活用されています。
高温や腐食環境に対して耐久性を持ち、圧倒的な強度と軽さを誇る耐火物により、製造プロセスの生産性向上や二酸化炭素(CO2)削減、省エネルギー化の実現に貢献します。
日本ガイシでは、耐火物の強度を左右する気孔の大きさや量をコントロールし、高強度や軽量化など、多種多様な耐火物を製造することが可能です。
例えばNEWSIC(Si含浸SiC)は、SiCの気孔を金属シリコンで埋め、気孔の大きさと量を限りなくゼロに近付けることで、優れた耐熱性や耐久性を実現した高強度耐火物です。強度が極めて高いため、高温雰囲気下でも長時間使用できることに加え、肉薄・軽量の省エネルギー型定形耐火物の設計に適しています。
SINSIC(窒化物結合SiC)は豊富な型による鋳込み技術により、大型薄肉品・複雑形状品に対応でき、高精度な製品設計をすることが可能です。
その他にアルミナ、ムライト、ジルコニアを素材とする各種材料も製造しており、大型化や長尺化、軽量化、複雑形状、耐熱衝撃性などお客様のニーズに合った耐火物をご提案します。
日本ガイシ製品 | 日本ガイシ取扱い無し | |||||||
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SiC質 | ムライト質 | セラミックス以外 | ||||||
商品名 | NEWSIC | SINSIC | ムルロン (MX800) |
S45C | SUS304 | PEEK | ナイロン66 | |
材質 | Si-SiC | 窒化物結合SiC | ムライト | 鉄 | ステンレス | 樹脂 | 樹脂 | |
化学成分 | SiC | 80 | 74 | - | - | - | - | - |
Si3N4 | - | 25 | - | - | - | - | - | |
SiO2 | - | - | 28 | - | - | - | - | |
Al2O3 | - | - | 71 | - | - | - | - | |
Si | 20 | - | - | - | - | - | - | |
密度 | かさ比重 | 3 | 2.8 | 2.6 | 7.9 | 7.9 | 1.3 | 1.37 |
見掛気孔率[%] | 0.0 | 10 | 17 | 0 | 0 | 0 | 0 | |
機械特性 | 曲げ強度[MPa] 常温 | 250 | 180 | 16 | - | - | 110 | 100 |
ヤング率[GPa] | 350 | 300 | 22 | 200 | 200 | 4 | 9 | |
ビッカース HV1[GPa] | 20 | 15 | - | 2 | 2 | - | - | |
モース硬度 | 9 | 9 | 6 | 4 | - | - | - | |
ポアソン比 | 0.3 | 0.3 | 0.07 | 0.3 | 0.3 | 0.4 | 0.4 | |
熱特性 | 最高使用温度[℃] | 1350 | 1550 | 1400 | 550 | 900 | 融点343 | 融点263 |
比熱 [J/(kg・K)] |
700 | 700 | 750 | 500 | 500 | 1340 | 1250 | |
熱膨張係数[10-6/K] | 4.5 | 4.7 | 6.0 | 12 | 18 | 47 | 100 | |
熱伝導率 [W /(m・K)] |
180 | 35 | 2 | 41 | 16 | 0.26 | 0.2 |
高強度を強みとするNEWSICは、常温から高温までの幅広い温度域で、従来のSiC系耐火物の5倍(250MPa)の強度を実現しました。高強度のため薄肉化が可能で、焼成用セッターや棚板などの窯道具に使用すると、製品焼成時の耐火物重量を削減できます。その結果、窯全体の昇温・冷却に必要なエネルギーが減らせるため、製造プロセスのCO2削減と省エネルギー化に貢献します。
日本ガイシ独自のSiC生地を用いた接着技術で、強固に接着し複雑形状化することや、ニーズに合った成形型を用いた高度な鋳込み技術により、高精度な製品設計が可能です。
日本ガイシのSiC耐火物は、銅やアルミニウム金属のものと同程度かつ、従来耐火物の約10倍(当社比)の熱伝導率を持ちます。急激な温度変化にも耐えるため、昇温・冷却速度の調整により、焼成時間を30~40%短縮することも可能です。
従来のセラミックス製耐火物では長尺のパイプ形状耐火物の製造は困難でしたが、高強度を強みとするNEWSICを用いることにより、長尺品の実現が可能になりました。SUS製・カーボン質・アルミナ質などの耐火物代替品としてNEWSICは活躍の幅を拡大しています。
パイプ形状 例1 | 外径Φ55×3,400mm | |
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パイプ形状 例2 | 外径Φ130×300mm |
鋳込み技術により大型・薄肉・高強度を強みとするSINSICは、焼成用セッターのほか、遮蔽板などの用途にも活用できます。
棚板 | 1250×650mm | |
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パイプ形状 | 外径Φ150×1800mm |
日本ガイシのSiC耐火物は加熱されると、表面に薄い酸化保護膜が自然形成(損傷しても再生)されます。酸化劣化がほとんど発生しないため、寿命を従来の3~10倍に延ばすことができ、廃棄物の削減やコストダウンが見込まれます。
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産業プロセス営業部