製品情報

波長制御システム

概要

波長制御乾燥システムは、日本ガイシが独自に開発した光(=赤外線)を使った新しい乾燥装置です。特定の赤外線を照射することで、従来の乾燥システムでは困難であった低温乾燥を実現。塗工乾燥工程における基材へのダメージを抑えつつ乾燥効果を発揮する画期的なシステムとして、産業界から注目を集めています。従来の熱風乾燥では乾燥の難しかった水系溶媒の乾燥にも適しており、カーボンニュートラルに向けた、有機溶媒から水系溶媒への転換を実現します。

波長制御システム

塗工乾燥工程における従来システムの課題

塗工乾燥工程における、従来の熱風乾燥方式には以下のような課題があります。

  • 乾燥時に熱ダメージが発生する

    熱風乾燥ではフィルムや塗布物への熱ダメージが大きく熱に弱い材料を使えない

  • 製品内部の脱水にコストがかかる

    製品内部の水分を除去するためには真空装置を使うため、生産性・コストに難あり

  • 厚膜品の乾燥が難しい

    厚い塗布物は表面の膜張りや発泡が発生するため均一乾燥が難しい

  • 水系溶媒の乾燥に時間がかかる

    水系溶媒は有機溶媒に比べて揮発しないため乾燥に時間がかかる

塗工乾燥における波長制御システムで期待される効果

①低温乾燥

含有成分や樹脂基材への熱ダメージを抑制しつつ、溶媒を乾燥できる
ex) 40℃で水分を乾燥可能

乾燥時の温度制約により使えなかった成分や素材を使用可能

②内部脱水

製品内部に残存する水分を乾燥可能
ex) 大気圧下でppmオーダーまで絶乾可能

真空装置が不要となり、製造コスト・時間を削減できる

③厚膜乾燥

表面の膜張りを防ぎ、熱風では乾燥できない厚膜品の内部乾燥を促進
ex) dry 厚み300μm の厚膜を乾燥。熱風限界:100μm

有効成分の含有量の増加、製造工程の短縮が可能

④高速乾燥

特定波長の赤外線を照射することで、熱風やヒーターと比べ乾燥時間を約1/2に短縮可能
ex) wet 500μm、dry 100μmの水系塗料を200秒で乾燥

有機溶媒を水系溶媒に切り替えることが可能(カーボンニュートラルの実現に寄与)

他にも以下のような効果が期待できます。

  • 使用電力の削減...30~50%減
  • バインダー偏析の抑制...30~40%抑制可能

従来システム(熱風方式)と波長制御システムの乾燥イメージ比較

波長制御システムと従来システムの比較図

波長制御システムを用いた塗工乾燥工程のイメージ

波長制御システムを用いた塗工乾燥工程のイメージ図

波長制御ヒーターの放射スペクトルと工業用材料の吸収波長の関係

当社は異なる2種類の波長帯の赤外線を選択的に放射する波長制御ヒーターをラインナップしています。例えば3.5μm未満の波長の赤外線であれば、水の吸収率が高いため、水系溶媒の乾燥に適しています。

ヒータの放射スペクトルと工業用材料の吸収波長帯の一例

水系溶媒の乾燥例

熱風乾燥と比較し、低温かつ短時間での乾燥を実現。熱に弱く今まで使用できなかった基材の使用によるコストダウンや、乾燥に時間がかかっていた水系溶剤の使用によるCO2排出量の削減を可能とします。

水系溶媒の乾燥例
光で乾燥波長制御乾燥システム

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