リチウムイオン電池用電極基材の脱水(絶乾)工程における連続式乾燥炉
波長制御ヒーターとスラローム型ロールtoロール炉を組み合わせ、従来バッチ式で行っていたリチウムイオン電池用電極基材の脱水工程を連続化し、変形不良の防止と絶乾時間の短縮を実現しました。
製品情報
波長制御乾燥システムは、日本ガイシが独自に開発した光(=赤外線)を使った新しい乾燥装置です。特定の赤外線を照射することで、従来の乾燥システムでは困難であった低温乾燥を実現。塗工乾燥工程における基材へのダメージを抑えつつ乾燥効果を発揮する画期的なシステムとして、産業界から注目を集めています。従来の熱風乾燥では乾燥の難しかった水系溶媒の乾燥にも適しており、カーボンニュートラルに向けた、有機溶媒から水系溶媒への転換を実現します。
塗工乾燥工程における、従来の熱風乾燥方式には以下のような課題があります。
乾燥時に熱ダメージが発生する
熱風乾燥ではフィルムや塗布物への熱ダメージが大きく熱に弱い材料を使えない
製品内部の脱水にコストがかかる
製品内部の水分を除去するためには真空装置を使うため、生産性・コストに難あり
厚膜品の乾燥が難しい
厚い塗布物は表面の膜張りや発泡が発生するため均一乾燥が難しい
水系溶媒の乾燥に時間がかかる
水系溶媒は有機溶媒に比べて揮発しないため乾燥に時間がかかる
含有成分や樹脂基材への熱ダメージを抑制しつつ、溶媒を乾燥できる
ex) 40℃で水分を乾燥可能
製品内部に残存する水分を乾燥可能
ex) 大気圧下でppmオーダーまで絶乾可能
表面の膜張りを防ぎ、熱風では乾燥できない厚膜品の内部乾燥を促進
ex) dry 厚み300μm の厚膜を乾燥。熱風限界:100μm
特定波長の赤外線を照射することで、熱風やヒーターと比べ乾燥時間を約1/2に短縮可能
ex) wet 500μm、dry 100μmの水系塗料を200秒で乾燥
当社は異なる2種類の波長帯の赤外線を選択的に放射する波長制御ヒーターをラインナップしています。例えば3.5μm未満の波長の赤外線であれば、水の吸収率が高いため、水系溶媒の乾燥に適しています。
熱風乾燥と比較し、低温かつ短時間での乾燥を実現。熱に弱く今まで使用できなかった基材の使用によるコストダウンや、乾燥に時間がかかっていた水系溶剤の使用によるCO2排出量の削減を可能とします。
産業プロセス営業部