サステナビリティ

トップメッセージ

NGKグループビジョンのもと、カーボンニュートラルとデジタル社会に貢献

NGKグループは今、変革の時を迎えています。社会の要請は大きく変わりつつあり、社会課題を解決に導くことで成長してきた私たちも自らを改めてゆかねばなりません。
2021年4月に発表した「NGKグループビジョン」のもと、独自のセラミック技術を活かした新たな成長への道を、グループ一丸となって追求してまいります。

日本ガイシ株式会社 代表取締役社長 小林茂(こばやし しげる)の写真です。
日本ガイシ株式会社
代表取締役社長
日本ガイシ株式会社 代表取締役社長 小林茂(こばやし しげる)のサイン画像です。

就任の抱負
挑戦する心を忘れない

2020年12月、当時の社長で指名・報酬諮問委員長の大島卓会長から後任の打診を受け、その場でお受けしました。大島会長の社長就任以来7年間ともに働き、その間の改革をつぶさに見てきたことから、改革を踏襲してより良い会社を作りたい、という思いがあったためです。
それまでは日々、エネルギーインフラ事業本部長として事業の建て直しに奔走しており、社長に推されるとは全く想像していませんでした。

私は、1983年に日本ガイシに入社しました。海外で働くことが夢であった私にとって海外赴任のチャンスがあることは大きな魅力でした。
入社後はがいしの営業に携わり、入社8年後にカナダ・モントリオールに赴任したのを皮切りに、インドネシア、米国、中国で計9年間駐在を経験しました。日本で勤務している時も年間120日以上国境を越えた出張をしています。文化は違えど、国を問わず普遍的なことは「信頼」であり、「信頼」あってこそ事業が続けられることを、これらの経験から学んできました。

私は今回の社長就任にあたり、4つの抱負を掲げました。
第一は、過去3年間に行った2,500億円以上の投資の回収です。主に自動車関連と半導体製造装置関連に投資し、将来の需要に十分対応できるだけの生産能力を確保しました。ここで着実に利益を上げていくことが、私の責務です。

第二は、NGKグループの未来を支える新しい事業や製品を生み出すことです。後で述べるNGKグループビジョンに沿って、カーボンニュートラルとデジタル社会の2分野に新製品を送り出します。

第三は、グローバル化の推進です。NGKグループの売上高のうち、本社のある日本が占める割合はわずか28%。全世界に多様なお客さまがおられ、20カ国に拠点を展開して従業員の多様化も進んでいます。これら世界中のお客さまや従業員と意見を交換し、グローバル化を推進する決意です。また国籍に関わらず、誰もが活躍できる場の提供を進めます。

第四はNGKグループを、従業員が誇りを持つことができ、全てのステークホルダーに信頼される企業に育てていくことです。そのためにも自由闊達な議論を通じて、皆が挑戦する心を持ち、創造性を発揮する、風通しが良い働きやすい会社にしていきます。

NGKグループビジョン
2050年売上高の8割を、カーボンニュートラルとデジタル社会関連で

NGKグループは2021年4月に、2050年を見据えた「NGKグループビジョン Road to 2050」を発表しました。具体的な長期目標の公表は、1989年の「Kプラン21」以来です。

中長期ビジョン策定に向けた議論は2年前、創立100周年に際し改定したNGKグループ理念の発表直後から始まりました。エネルギー、モビリティ、ICT&パワーデバイス、インダストリの4領域で、2050年はどのような社会になっているか、どのような課題があるのか、その解決にNGKグループが貢献できることは何か、を議論し、NGKグループビジョンの根幹となる「ありたい姿」を、「独自のセラミック技術でカーボンニュートラルとデジタル社会に貢献する」に決めました。この議論には経営層のみならず、多様な従業員が参加しています。

社会課題を解決するNGKグループの代表的な製品写真。

100年前から、SDGs発想。

当社は100年前、国内への電力の普及という社会課題を解決するために生まれた企業です。以降、自動車排ガス浄化用セラミックスや半導体製造装置用セラミックスなどを通じ、大気汚染防止やデジタル化など、各時代の社会課題に挑み続けてきました。
これらの挑戦の核となるのが、100年間磨き続けてきた独自のセラミック技術です。得意とする材料、プロセス、量産の3技術を活かして、カーボンニュートラルとデジタル社会の2分野にNGKグループ独自の新製品を送り出し、新事業を創り出していきます。

カーボンニュートラルの市場では今後、世界中で激烈な競争が始まるものと見ています。NGKグループは蓄電池やCO2を分離するサブナノセラミック膜、固体酸化物形電解セル(SOEC)などの技術について以前から研究を重ねており、これらが新たな成長を担う製品になる見通しです。将来的には、サブナノセラミック膜などを通じて集めたCO2と再生可能エネルギーを用いてSOECで水素や一酸化炭素を合成し、さらにそれをハニカム構造リアクターで燃料や化成品に加工するというカーボンサイクルの確立を目指します。

デジタル社会関連の市場では、NGKグループは既に競争力を持っています。半導体製造装置を構成する部品の中でもセラミック製の部品はNGKグループをはじめとする日本の企業グループが強い分野です。こうした優位性を活かして、お客さまからの要請に対応しつつ、私たちが開発した製品を提案していきます。
2030年には売上の50%、2050年までには80%を、カーボンニュートラルとデジタル社会関連製品で計上する方針です。そのためには今後のNGKグループの礎となる強い新製品が必要となります。そこで今後の10年間は、研究開発費に3,000億円を投入し、中でもカーボンニュートラルとデジタル社会関連に80%を配分します。
現在の基幹事業である自動車排ガス浄化用セラミックスの需要が急減することはありません。ここからの利益をもとに新製品、新事業を展開します。

新たなビジョンを実現するための具体策として、「ESG(環境・社会・ガバナンス)経営」「収益力向上」「研究開発」「商品開花」「DX(デジタルトランスフォーメーション)推進」の「5つの変革」を定めました。今、私たち自身が大きな変革を果たす必要があります。特に「研究開発」から「商品開花」へのスピードを重視しており、今後は開発から事業化に至るプロセスを変革せねばなりません。選択と集中を進めるとともに、マテリアルズ・インフォマティクスなどDXを応用した材料開発の効率化を図ります。

加えて、“モノ”だけではなく“コト”、すなわちサービスやソリューションを提供していくことも、今後私たちが取り組むべき課題だと認識しています。従来はCO2を減らす製品を販売していたのに対し、CO2排出量削減自体を提供できるようビジネスを変えていくことが一例です。“モノ”自体を求めているのではないお客さまに、独自のセラミック技術で実現した機能を使ってサービスを提供する。これも、私たちが果たすべき新たなスキームのひとつです。

NGKグループでは現在を「第三の創業期」と位置づけ、社内外のステークホルダーの皆さまとともにNGKグループビジョンの実現に向けて取り組みます。

ビッグデータ、AI、機械学習などの情報処理技術を用いて材料開発を行う手法

NGKグループのESG
NGKグループ環境ビジョンを新たに策定

NGKグループビジョンではESG経営を経営の中心のひとつに位置付けていますが、私は中でも環境(E)が、NGKグループのESGの根幹にあると捉えています。そこでNGKグループビジョンと同時に、環境ビジョンも策定しました。2030年度のCO2排出量を2013年度比で50%削減し、2050年までにはCO2排出量ネットゼロを実現することなどを掲げた意欲的なビジョンです。

NGKグループは環境に貢献する製品を得意とする企業である一方、セラミックスを焼成する工程では、どうしても多量の電力や燃料を使いCO2を排出することが避けられません。そこで、技術的なイノベーションと同時に社会との協力も進めながらCO2排出量削減を実行していきます。

そのための設備投資も、今から進めなければ2030年度目標達成には間に合いません。私がリーダーとなってカーボンニュートラルプロジェクトを立ち上げ、水素やアンモニアなどへの燃料転換を加速していきます。

カーボンニュートラルプロジェクトの体制図

社会(S)については、4月にNGKグループ人権方針を策定しました。NGKグループに関わる全ての人の人権が侵害されることのないよう、人権に関する国際規範を遵守し、性別や国籍によることなく誰でも活躍できる場を提供します。

コーポレート・ガバナンス(G)では、2021年6月の株主総会で、独立社外取締役が全取締役に占める比率を1/3(9人のうち3人)に高めました。これを機に、監督と執行の分離も進めます。

経営陣も、国籍やジェンダーに関わりなく登用していきます。2020年は女性執行役員、今年は米国人執行役員を選任しました。

企業は社会的な信頼を失っては存続できません。コンプライアンスが業務の最優先事項です。これまでの取り組みを世界の水準まで高めるためにコンプライアンス活動基本要領を策定しました。基本要領が示すNGKグループ共通の価値観と理解に基づいて、常に国際的な水準に則ったものとなるようにコンプライアンス活動を続けていきます。

2021年3月期業績
自動車・半導体の回復で増収を確保

2021年3月期は新型コロナウイルス感染症の影響を受けたものの、中国を中心に自動車販売が急回復したことに加え、半導体製造装置の需要が大幅に伸びました。その結果、売上高は増収となり、営業利益も前期比8%減にとどまりました。コロナ禍の中でも徹底的な感染対策を施して、製品を供給し続けてきた内外の工場の働きのお陰です。

2022年3月期には、自動車・半導体関連が引き続き伸びる一方で、新製品にも動きがあるものと期待しています。チップ型セラミックス二次電池「EnerCera(エナセラ)」については既に300社以上との協業を進めており、ビジネスモデルを確立できれば大きな伸びを期待できます。亜鉛二次電池「ZNB」は、実証実験を継続し本年度中に事業化、来年度から限定したお客さまや用途を対象に販売を開始したいところです。サブナノセラミック膜も米国テキサス州で行っている実証実験で早く結果が出せれば、と心待ちにしています。

明日に向かって
「第三の創業」に向けて事業構成を転換

NGKグループビジョンの策定に合わせ、この4月には組織改編を行いました。特筆すべきは、これまでいくつかの部門に分散していたESGに関する機能を統合した「ESG推進統括部」の設置です。今後はここでESGに関する活動をグループ横断的に取り扱うとともに、積極的に情報発信を行っていきます。また、DX推進に向けてIT部門などデジタルに関連する部署も「DX推進統括部」に統合しました。ともに、自分たちの仕事をどう変えていくかを扱う部署であり、それを支援していくリーダーの育成も目指しています。

NGKグループビジョン達成のためには、従業員一人ひとりが変革に挑む意識を持ち、失敗しても挑戦する心を忘れず、自由闊達に議論をしていくことが重要です。NGKグループは真面目な社風で技術力もありますが、失敗を恐れる雰囲気がないとは言えません。しかし、失敗しても挽回すれば良いのです。仮説を立てて実行して検証し、間違っていたらやり直す。何事も、初めからは成功しません。失敗を恐れず挑戦し続ける会社を作っていきます。
その上で、グループスローガン「Surprising Ceramics.」のもと5つの変革を進め、当社独自のセラミック技術を活かし、第三の創業に向けて事業構成の転換を図ってまいります。NGKグループの未来に、どうぞご期待ください。

日本ガイシ株式会社 代表取締役社長 小林茂(こばやし しげる)の写真です。