サステナビリティ

カーボンニュートラルへの取り組み

CO2排出量削減の取り組み 概要と目標

NGKグループは、NGKグループ環境ビジョンに基づき「第5期環境行動5カ年計画」で設定したCO2排出量削減目標の達成に向け、年次計画を立案・管理することにより、成果を積み上げてきました。
カーボンニュートラルに向けた組織づくりの一環として、全社横断的な組織であるCO2排出ネット・ゼロプロジェクトを立ち上げて活動しています。このプロジェクトは本社製造技術部門を所管する常務執行役員がプロジェクトリーダーとなり、傘下にカーボンニュートラルの4つの戦略に基づいたワーキンググループを立ち上げ、省エネの強化、インターナルカーボンプライジング(ICP)の導入、燃料転換技術の開発、太陽光発電設備の設置などさまざまなテーマで活動しています。2022年度は、省エネパトロールの実施、ICPによる環境関連設備投資の加速を実施しました。また、エネルギーの見える化の一環として、エネルギーデータを月次で収集し、社内プラットフォームでの情報共有を行いました。
その結果、省エネによりCO2排出量を1.5万トン削減することができました。さらに、NGKグループ内で太陽光発電設備の設置や再生可能エネルギーの調達、カーボンニュートラルLNGの切り替えなどの取り組みの結果、2022年度のCO2排出量実績は56万トンとなり、目標を達成することができました。
2023年度については、CO2排出量目標を56万トンと設定しました。本年度は、エンバイロメント事業において乗用車販売台数の回復や排ガス規制の強化を背景に需要が増加する見通しとなり数万トンの増加の可能性があります。そのような状況下で、上記の取り組みとともに省エネ活動のさらなる推進、プロセス改善や廃熱利用による改善を行うことにより、2022年度の実績よりも増加させない目標値としました。
一方、2030年以降のCO2排出ネットゼロ達成のために技術のさらなるイノベーション推進を目指し、水素利用を目的とした水素バーナー炉によるセラミックスの焼成試験に着手し、2022年度は、焼成炉の実用化に向けた量産実証炉を設置しました。また、排出されたCO2を回収するCCS(Carbon Capture and Storage)試験も計画しています。

CO2クレジットでオフセットすることでCO2が発生しないとみなされるLNG

CO2排出ネットゼロプロジェクト推進体制

CO2排出ネットゼロプロジェクト推進体制図です。

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生産活動におけるCO2排出量削減

NGKグループは、グループ全体のCO2排出削減を図るため、全社横断的な組織づくり、原単位目標やCO2削減目標の提示、月次エネルギーデータの収集と社内プラットフォーム開設による見える化等に注力し、着実に成果を積み上げています。主要な取り組みとその効果は以下のとおりです。

CO2排出量の推移(NGKグループ 全生産拠点)

CO2排出量の推移グラフです。2022年度のCO2排出量実績は56万トンとなりました。

図中の数値はCN LNG(カーボンニュートラルLNG)の効果含みます。CN LNGとは、CO2クレジットでオフセットし、CO2が発生しないとみなされるLNGです。ただし、省エネ法などでは現在クレジットの対象になっていないため、区別し記載しています。

CO2排出削減に向けた省エネ活動の主要な取り組み

区分 方策 効果(2022年度)
トップダウンによる省エネ推進体制の強化
  • 製造部門の事業部長をリーダーとした全社横断的な省エネ組織づくり
  • 月次エネルギーデータの収集と社内プラットフォーム開設による見える化
CO2削減効果
省エネ活動による削減:1.5万トン
生産プロセスの高効率化
  • 革新的製造プロセスの導入
  • 設備改善
  • 運用改善
グループ会社への省エネ支援
  • 当社独自の省エネ事例集とガイドラインを制作、全生産拠点に展開
  • 本社スタッフが現地を訪問、現地スタッフと省エネパトロールおよび意見交換を実施
汎用設備の省エネ活動
  • ボイラーの高効率化更新
  • エアーや蒸気の漏れの防止、使用量の適正化
  • 照明のLED化
  • 空調機器の更新と運転条件の適正化

汎用設備と建物の省エネ化

NGKグループは、従来から照明・空調・蒸気・工場エアーなどの汎用設備の省エネ活動に取り組んでいます。汎用設備の省エネは、共通するノウハウ情報を本社部門から各拠点に水平展開することで、効率的により大きな成果につなげています。また、建物についても新設・更新時に大幅な省エネ・ZEB(ゼロエネルギービル)化を図っています。

(1)本社工務部門からグループ会社への省エネ支援

耐火物を製造するNGKアドレックや電子部品を製造するNGKセラミックデバイスなどのグループ会社に対して、汎用機器(コンプレッサー/ボイラー/空調機等)を切り口に省エネ支援を行い、成果につなげています。現地メンバーと共同で実施している①省エネパトロール(漏れや無駄を抽出し、対策実施)、②データの見える化(エネルギー原単位の適正値を設定し、管理実施)等の継続がポイントで、製造設備全体の省エネレベルアップとともに、エネルギーコストの大幅削減にもつながっています。

(2)省エネ事例集、ガイドライン冊子の発行・配布

省エネ事例集やガイドラインは、電子版にてグループ内で情報を共有するほか、生産現場で活用しやすいように、冊子を発行し、国内外の全生産拠点に配布しています(日本語版、英語版)。これらの資料が現場での自主的な活動を活性化し、さらなるCO2削減につながるものと期待しています。

グループ内で発行している、省エネ事例集の写真です。

(3)建物の省エネ化に向けた取り組み

建物の更新・新築時には、積極的に高効率機器や再生可能エネルギーの導入を図るほか、隣接する自社工場の低温排熱の有効利用や自然換気・自然採光等、立地条件等を考慮した対策を検討し、大幅な省エネを図っています。名古屋事業所瑞穂地区に新たに建設した新事務・厚生棟(2020年1月完成)はこれらの工夫により、基準に対しCO2排出量を半分以下に削減できる「ZEB(ゼロエネルギービル)指向型オフィスビル」となりました。この建物は国土交通省の「サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)」に採択され、先進的な省CO2対策が高い評価を受け、2022年度はZEBレディを達成することができました。
当社は事業所の改編や老朽化対応による建物の更新/新築計画が多くあり、順次省エネ化・ZEB化を進めていきます。

名古屋事業所瑞穂地区に建設した新事務・厚生棟の写真です。 新事務・厚生棟
新事務・厚生棟に導入された、さまざまな省エネの仕組みを説明した図です。

環境に優しいプロセスの導入

NGKグループは、生産効率の向上や排熱の回収・利用の促進、エネルギー効率の高い設備導入などによって、生産に伴う環境負荷の低減に努めています。また、競争力強化を目指し、さらに進化したエコプロセスを構築していきます。

連続焼成炉 導入年代別CO2比較

連続焼成炉における、導入年代別のCO2排出量を比較したグラフです。1984年を100とした場合、2015年には31に減りました。

代表的な生産設備である連続焼成炉のCO2原単位削減推移

グループ会社における取り組み

温室効果ガスSF6回収(NGKスタンガー・エナジーサポート・北陸エナジス)

廃棄処分となった顧客のガス開閉器を回収し、リサイクルする取り組みを実施しています。この機器には、大きな地球温暖化係数を持つSF6(六フッ化硫黄)が絶縁用に封入されており、回収機器の解体時にはSF6を大気に放散させることなく全量回収しています。2022年度のSF6回収量は758kgで、CO2に換算すると約17,000トンに相当します。

NGKスタンガーと北陸エナジスが回収した、廃棄処分となった顧客のガス開閉器の写真です。封入されている六フッ化硫黄を安全に回収した上で、リサイクルします。

プロセス改善(NGKセラミックスポーランド)

2011年から生産量の大半を占める炭化ケイ素(SiC)製ディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)のプロセス改善に注力しています。生産工程の中でもエネルギー使用量の多い焼成・乾燥工程に対して、さまざまな改善活動を実施してきました。名古屋事業所から水平展開された改善技術をはじめ、常に新しい改善に取り組み、CO2削減に努めています。

NGKセラミックスポーランドで、CO2削減に向けた改善活動を進める従業員の写真です。

システムや運用の改善(NGKメタルズ)

生産設備の制御システムの更新や運用改善など、積極的にCO2排出量削減に取り組んでいます。中でも高い効果をあげることができたのが、圧延機のオイル循環システムの制御装置自動化です。取り扱いが難しい上に起動・停止に時間がかかることから昼夜関係なく稼働させていた部分を、自動制御に更新。無駄な稼働がなくなったことで消費電力量が減り、CO2排出量削減に貢献しました。

NGKメタルズのCO2削減に貢献した、制御装置を自動化したオイル循環システムの写真です。

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インターナル・カーボンプライシングの導入

インターナル・カーボンプライシング(ICP)は、脱炭素に向けた投資や対策の推進に向けて、企業内部で独自に設定、使用する炭素価格のことです。
日本ガイシは、環境ビジョンで掲げた2050年CO2排出ネットゼロの目標実現のため、高効率設備や再生可能エネルギー関連設備の投資を推進するために、2022年度からICPとして130USドル/CO2トンでの運用を開始し、設備導入可否の評価を実施しています。2023年度はICP設定において参考にしている国際エネルギー機関(IEA)のCO2価格が見直されたため、140USドル/CO2トンに見直しを行いました。今後、世間の動向をウォッチするとともにさらなる活用として社内炭素課金などに向けた検討を開始しています。

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再生可能エネルギーの導入

NGKグループ環境ビジョンの目標である2050年ネットゼロ実現のためには、再生可能エネルギーの利用拡大が必要です。
NGKグループは、社内で発足したCO2排出ネット・ゼロプロジェクトの中で、太陽光発電設備の設置や再生可能エネルギー調達などをコストを意識しながら、計画的に推進しています。
2021年度は、欧州の全製造拠点(NGKセラミックスポーランド、NGKセラミックスヨーロッパ、NGKベリルコフランス)にて再生可能エネルギー由来の電力100%調達を実施しました。特にNGKベリルコフランスは燃料も切り替え、NGKグループ初の電力・燃料双方での100%再生可能エネルギー利用の拠点となりました。また北米ではNGKロックにおいて100%再生可能エネルギー電力に切り替えました。2022年度は、太陽光発電設備設置については、NCDK多治見工場やACC(NGK(蘇州)環保陶瓷有限公司)へメガソーラーを設置しました。
一方、国内では従来のグリーン電力証書購入による排出量オフセットに加え、日本ガイシの名古屋、知多、小牧事業所およびNGKセラミックデバイス本社の燃料をカーボンニュートラルLNGに100%切り替えました。
再生可能エネルギーの利用拡大により、2021年度は前年度に比べてCO2排出量を18.5万トン、2022年度はさらに1万トンの削減につながりました。
2023年度以降も再生可能エネルギーの調達の継続・拡大に加え拠点内での太陽光発電設備設置が本格的に開始します。今後も再生可能エネルギーの利用拡大に向けて取り組んでいきます。

グリーン電力証書の写真です。日本ガイシ本社ビルの年間使用電力量の約6割に当たる電力を、外部に委託したバイオマス発電で賄っています。

RE100への加盟

事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーにすることを目指す国際的なイニシアチブ「RE100」に加盟しました。電力エネルギーにおける再生可能エネルギー比率を2025年に50%とすることを目標としており、2022年は目標としていた25%を達成しました。

RE100へ向けた取り組み

大容量蓄電池「NAS電池」や亜鉛二次電池「ZNB」を活用したグループ内の太陽光発電設備設置や再生可能エネルギー調達などの取り組みを加速し、2040年までに事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーとすることを目指します。

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物流工程でのCO2排出量削減

日本ガイシは、物流に伴うCO2排出量削減について、積載率向上やモーダルシフトなどの削減対策に取り組んできました。ここ数年間は製品構成の変化などにより輸送量原単位は良化傾向にあります。2022年度は、前年比0.6%減と良化しました。

サプライチェーンでのCO2排出量を示すグラフです。2022年度には、輸送量原単位で4.76万トンキロとなりました。

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ライフサイクルアセスメントでのCO2排出量の算定

ライフサイクルアセスメント(LCA:Life Cycle Assessment)は、製品・サービスのライフサイクル全体(資源採取―原料生産―製品生産―流通・消費―廃棄・リサイクル)における環境負荷を定量的に評価する手法です。カーボンニュートラルを推進するためには、自社でのScope1および2でのCO2排出量だけでなく、サプライチェーンでのCO2排出量を把握し、サプライヤーや顧客と協働して削減に取り組むことが重要です。自社全体が関連するScope3に加え、自社製品のLCAでのCO2排出量把握が第一歩と言えます。NGKグループでは、第5期環境行動5カ年計画でScope3算定範囲拡大および主要製品のLCA算定を目標に掲げました。2021年度は、主要2製品(NAS電池、ハニセラム)についてISO14040に基づいた算定を実施し、2022年度はNOxセンサーや半導体製造装置セラミックスなどへ拡大しました。これらの製品の算定により、CO2排出が多い工程の特定だけでなく、製品間の比較を定量的に行うことが可能となりました。今後は既存製品の拡大とともに開発品への適用も検討していきます。また、算定したLCAを確認、分析し、自社だけでなくバリューチェーン全体での削減を行っていきます。

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