サステナビリティ
サプライチェーンマネジメント
基本的な考え方
NGKグループは、「門戸開放」「共存共栄」「社会的協調」を調達の基本軸として、サプライチェーンを構成するサプライヤーの皆さまとともに公正・公平な取引を行い、ともに繁栄を図るための方針を定めています。
2023年に従来の基本軸を維持しつつ、より具体的な取り組み内容を明文化した「NGKグループ調達方針」への改定を行いました。また2021年には内閣府、中小企業庁が推進する「パートナーシップ構築宣言」を行い、「サプライヤーとの共存共栄」「適正・公平な取引実施」を引き続き推進しています。
サプライチェーンマネジメント推進体制
日本ガイシは、1次取引先であるサプライヤーの管理を資材部で行っています。さらに、原材料などの重要な購買品については、2次取引先以降のサプライヤー管理も行っています。約800社のサプライヤーの管理は、取引先管理規程に基づき実施しています。
CSR調達の推進
サプライチェーンにおけるCSRへの配慮が社会的要請として高まっていることを受け、NGKグループではCSR調達、持続可能な調達を推進しています。CSR取り組み、ESG経営要素を含めたサプライヤー選定を行っており、調達する原材料や利用するサービスについても、環境や社会影響に配慮されたものを採用しています。
CSR調達推進の歩み
サプライヤー行動規範
NGKグループは、2010年度にグループ全体を包括する「NGKグループCSR調達ガイドライン」を制定しました。
このガイドラインの中で、自らの社会的責任を明らかにするとともに、例えば環境側面で温室効果ガスの排出削減について記載するなど、取引先の皆さまに果たしていただきたい社会的責任についても明示しました。
2013年には、環境負荷の低い製品・サービスを優先的に購入する「NGKグループグリーン調達基準書」を統合。その後も、社会的状況の変化や新たなグローバル課題などを踏まえた項目の追加などを行い、2024年7月には内容を全面的に見直し、「NGKグループサプライヤー行動規範」へ改定を実施しました。
主要取引先に対して、新規取引開始、および取引継続にあたり定期的に本規範遵守の同意をお願いしています。
グループ全体の連携・調達力強化
NGKグループは、グループ会社との情報共有や各種調達テーマの共同取り組みなどを通して、グループ全体の調達力強化とガバナンス確保に取り組んでいます。共通資材の集約購買、コスト・取引先情報の共有、グループ会社への国内取引先管理手法の導入など、各社の購買体制や取引実態を踏まえ、課題を明確にし、支援・強化活動を行っています。
今後も集約購買の拡充、取引先管理手法の共通化などを通じて、コストとガバナンスの両面におけるグループ全体の調達機能の向上を図っていきます。
一般間接材購買システムの導入
従来、各部門がオフラインで個別に購入していた一般間接材につき、2021年6月にグローバル取引ネットワークシステムを導入し、間接材支出の一元化、見える化を図りました。
購買部門による支出チェックに加え、データに基づき大型支出事象の発注先、仕様等の見直しを日々、実施しています。
2023年度には、専門性の高い業務委託など対象範囲の拡大を行い、さらなる管理強化、購買強化を進めています。
サプライヤーアセスメント
重要サプライヤーの特定
日本ガイシでは、以下の観点などから重要サプライヤーを特定しています。
- 重要品目の取り扱い:主要生産品目※の原料、成型用金型を重要品目と位置付け
- 取引量:主要生産品目の原料・金型購入80%以上をカバー
- BCP:1社供給比率70%以上
2024年3月現在、38社(Tier1 22社、Tier2 16社)を重要サプライヤーと位置付けています。
主要生産品目:自動車排ガス浄化用セラミックス、電力用絶縁がいし・関連装置、電子電気機器・半導体製造装置用セラミックス
新規サプライヤーのアセスメント
日本ガイシでは、新規のサプライヤーとの取引開始にあたり、グループ調達方針に掲げている「オープンで公正かつ公平な調達」を原則に、QCD(品質・コスト・納期)、安定調達の観点から評価を行っています。また、サプライチェーン全体で社会的責任を果たすために、ESG要素を織り込んだNGKグループサプライヤー行動規範の趣旨理解および同意入手を新規取引先選定の必須要件としています。
既存サプライヤーのアセスメント
日本ガイシでは、既存のサプライヤーに対して定期的にNGKグループサプライヤー行動規範遵守の同意書提出をお願いしています。
2021年からは、各サプライヤーのCSR詳細評価を行うため、人権、労働、環境など9項目全114の設問からなる実態調査アンケートを実施し、取引内容に応じたリスク評価を行っています。
アンケートの実施にあたっては、事業への影響度の観点から、先ずは日本ガイシ本体の直接材サプライヤー、次に国内グループ会社主要サプライヤーと段階的に範囲を拡大し、2023年度は海外グループ会社の主要サプライヤー66社に対して実施しました。
アンケートの主な設問項目
主要項目 | 内容 |
---|---|
コーポレートガバナンス | 推進体制、内部統制、BCP体制、内部通報制度、社内外への情報発信 |
人権・労働 | 基本姿勢、人権尊重、差別・侵害の禁止・回避、雇用・育成・キャリア等の平等機会提供、適正賃金、時間・休暇の公正適用、強制・児童労働の禁止、安全衛生・健康管理、結社の自由 |
環境 | 基本姿勢、化学物質管理、廃棄物削減、資源の有効利用(水リサイクル、原材料再利用)・保全、温暖化防止、生物多様性 |
公正な企業活動 | 基本姿勢、行政・公務員との適切な関係、関係者との不適切な利益授受防止、競争法違反防止、反社団体との関係排除、知的財産・著作権保護、救済制度、インサイダー取引禁止、利益相反行為禁止 |
品質・安全性 | 基本姿勢、製品・サービスの品質・安全性の確保、事故・不良品発生時の適切な対応 |
情報セキュリティ | 基本姿勢、サイバー攻撃への防御、個人データおよびプライバシー保護、機密情報の不正利用防止 |
サプライチェーン 地域社会との共生 |
基本姿勢、紛争鉱物への取り組み、地域社会への負の影響低減、持続可能な発展に向けた地域社会との取り組み |
調達パートナーとのコミュニケーション活動
サプライヤーへの業績説明
日本ガイシは、新型コロナウイルス感染症のためオンライン開催としていた業績説明会を、2023年度は4年ぶりに対面で開催しました。117社の現地参加サプライヤー(およびWEB参加80社)に対して業績・資材調達方針の説明、CSR調達への継続協力要請など、サプライチェーン全体での事業継続、発展に向けた情報共有、目的共有を行いました。
サプライヤーとのコミュニケーション強化、見直し
日本ガイシは、適正な価格転嫁実現のための定期的な価格交渉実施の申し入れ、ITセキュリティにおける「PPAP問題※改善ためのメール授受方法の見直しなど、さまざまな点で、サプライチェーン全体のコミニュケーションの強化、改善を進めています。
また、ハラスメント問題対応、BCP体制構築、ITセキュリティなどのテーマごとに当社の取り組みを定期的にサプライヤーに紹介し、意見交換の場を持っています。
さらに取引先ヘルプライン制度を設けて広く国内外からの相談を受け付け、サプライチェーンにおける問題の早期発見、解消を図っています。
パスワード付きZIPファイルのメール送受につき、メールを悪用した標的型攻撃の温床になるといった問題があること
国内外でサプライヤーの訪問・モニタリングを実施
日本ガイシは、QCD(品質・コスト・納期)などを公正・公平に評価し、最適なサプライヤーから調達するために、国内外で個別訪問を実施しています。2023年度は既存のサプライヤーのうち、重要サプライヤー20社を含む41社に品質監査を実施しました。
監査における評価実施・フィードバックのみならず、工場サーベイ、納期調整などの訪問機会において、取引先のQCD管理体制、CSR対応・体制実態を幅広くヒアリングしています。こうした取引先との直接コミュニケーションに加え、ウェブによるコミュニケーションも活用し、より良い信頼関係の構築・向上に努めています。
サプライヤーへの研修などを通じた支援活動
施設や設備の工事関連のサプライヤーを会員とする「日本ガイシ安全協力会」では、事故や災害事例を共有するとともに、安全に関する講演を行う安全大会を開催しています。
2023年度は会員企業から52社77名が出席し、安全意識に関する特別講演(テストパイロットの考える安全)を受講しました。
責任ある資源、原材料調達
NGKグループは、人権侵害や貧困などの社会問題を引き起こす原因となり得る原材料(例、紛争鉱物:コンゴ民主共和国と隣接諸国から産出されるスズ、タンタル、タングステン、金の4種鉱物で、かつ同地域の武装勢力の資金源となっている鉱物)の使用による地域社会への影響を考慮した調達活動を行うものとし、上記のような原材料の使用回避に向けた施策を行っています。また、顧客からの要請に応じて、サプライヤーの調査を実施しています。