サステナビリティ
製品・サービスの品質の追求
基本的な考え方
NGKグループは、より良い社会環境に資する製品・サービスの提供を最も重要な使命の一つと考え、お客さま視点に立った世の中に信頼される品質づくりに努めています。
「NGKグループ企業行動指針」に基づく品質方針の下、毎年、品質目標を定めて、「お客様の信頼を高める活動」を主とし、業務品質※の改善と品質リスクの低減に注力して取り組んでいます。さらに「品質改善活動」をあわせて実施することで「お客様の信頼を高める活動」 を補強しています。
業務品質:お客さまとの約束を遵守するための仕事の仕組みのレベル
2024年度 品質目標
マネジメントからフロントラインまで業務のムリ・ムダ・ムラを徹底議論し改善する
品質活動体制
NGKグループの品質活動体制は、品質委員長(代表取締役副社長)をトップとするグループ全体の体制と、各事業本部長をトップとする事業部門内活動体制からなります。グループ全体の活動としては、品質委員長を補佐する審議機関として品質委員会を設置し、事業部門内活動体制としては、事業系列別にそれぞれに適した品質システムを構築し、ISO9001認証またはIATF16949認証を取得して、品質保証・品質管理・品質改善・品質教育などの活動を推進しています。
お客さまとの接点は各事業本部がその窓口を持ち、市場における品質の不具合やご要望を製品やサービスに反映して、さらなるお客さま満足の向上に努めています。
品質活動体系
海外での品質管理体制
海外生産拠点では従来からそれぞれに適した品質システムを構築し、ISO9001認証またはIATF16949認証を取得して品質活動を行っています。
また、グループ全体の品質活動により、毎月報告される各拠点の製造品質の状況や、市場クレームなどの情報は、国内拠点と同様に品質活動推進部会で審議され、NGKグループ全体の品質状況としてタイムリーに把握されています。グループ全体の品質活動ルールや年度ごとの品質目標も展開され、品質活動の発展と充実を図っています。
ISO9001認証またはIATF16949認証取得状況
NGK本社およびすべての事業本部の国内・海外グループ会社の製造拠点とその支援部門/拠点で、ISO9001またはIATF16949の認証を取得しています。
お客さまの信頼を高める活動
業務品質の改善
2018年度から開始した「業務品質」の改善の取り組みは、2021年度より、実務現場の一人ひとりが自律的に業務の品質改善を行うことを目指し、取り組みを進めており、問題をオープンにする組織風土が形成されつつあります。
2023年度は2022年度に引き続き、全社品質コンプライアンスプログラムの中で、経営層による意思表明、規程・ルールの整備、教育の実施、監査およびモニタリング、防止活動、の各項目について継続して取り組みを進めています。特に業務の無理・曖昧の防止とコミュニケーションの徹底を図ってきた結果、業務負荷や作業ルールの見直しと、実務現場やグループ会社等のフロントラインへの品質コンプライアンスの理解と浸透が、進んできています。
2024年度はさらに活動の幅を広げ、マネジメントからフロントラインまでが品質コンプライアンスを自分ごととし、業務品質の議論を徹底して腹落ちを進めるよう活動を強化していきます。
品質リスクの低減
4つの「品質活動ルール」
NGKグループは、お客さまの品質要求の高度化や多様化、対象市場などの違いに、より的確に対応するために「NGK品質活動の再構築」の活動を全社で推進しています。
特に、市場での品質リスクの排除を強化するために「品質活動ルール」を策定し、ルールの定着とさらなる有効性向上を進めています。
品質確認のルール
開発から生産立ち上げまでの節目や、製造工程の変更時に守るべき6つの品質を確認し、継承する。
DR※機能強化のルール
品質リスクの重要性が高位と中位のDR計画を重要DRとして登録し、全社レビュワが同DRに参加する。特に品質リスクの高い案件については、品質経営部長が全社DRを開催する。
デザイン・レビュー、設計審査
品質監視のルール
製造や市場での品質状況の変化や課題を全社で監視・共有する。製造不良と市場クレームの状況を毎月、品質経営部への報告を通して全社で共有し、市場不具合の処置に対して妥当性を審議する。
重大な市場クレーム処置のルール
重大な市場クレームが発生した場合、あるいはその恐れがある場合は、迅速に品質委員長へ報告し、全社的措置を検討する。
QRE-P活動
製品・サービスの実現において品質向上と品質リスク排除を強化するための仕事のやり方を示した業務プロセスQRE-P活動※の全社展開を進めています。2017年度から実施してきたQRE-P活動では部門の規程にQRE-Pの内容を盛り込むとともに、担当者が実務に活用できるレベルになるよう、開発案件を選定し実践支援をしてきました。
2023年度は、2022年度に策定した「市場不具合発生時に技術的な対策だけではなく仕事の進め方において何が足りなかったかを部門で分析し自ら仕組みを改善するルール」に沿った改善を開始しました。また、開発案件の品質リスク排除を一層効果的/効率的に進めることを目指し、事業化前の開発の早い段階からQRE-Pに沿った品質リスクの検討を研究開発部門と行う仕組みを強化しました。さらに、グループ会社へのQRE-P活動の展開強化のため、国内グループ会社へのQRE-P活動の展開を推進するとともに、海外グループ会社への展開にも着手しました。
2024年度は、2022年度に開始した「仕事の進め方における不足点を部門で分析し自ら仕組みを改善するルール」の定着化を一層推進していく予定です。また、事業化前の開発の早い段階から研究開発部門と実施する品質リスクの検討を、一層推進していきます。さらに海外グループ会社へのQRE-P活動の展開も積極的に推進していく予定です。
QRE-P(Quality Risk Elimination-Process):製品の企画から量産に至る商品化プロセスにて、より効果的に品質リスクを排除する仕事の手順書
DR機能を強化する活動
お客さまの品質要求の高度化や多様化により、開発の全期間にわたり、設計だけでなく生産技術や製造の関連メンバーの知見を集める必要性が高まっています。このため、DR(デザイン・レビュー、設計審査)を最重要活動と位置付け、開発の節目や製造工程の変更時にはDRを実施すること、重要なDRには全社からレビュワが参加して品質リスク排除の支援を強化しています。
各DRの議論をより活性化し品質リスク排除を徹底できるよう「DRガイドライン」を作成し、教育やDRごとの振り返りなどにより普及に努めることで、DRの有効性向上を推進しています。
また、部門だけでは解決が困難な課題に対して、全社DR(全社の品質会議)を開き、社内から広く関連する技術者や知見者を集め、製品の信頼性や安全性などを多面的に評価しています。
先述のQRE-Pの考え方を展開することによるDR前の設計レベルの向上とともに、本活動によるDRで組織の知恵や経験の効果的な活用を一層強化していきます。
DR活動の流れ
製品設計時のESG考慮の仕組み
製品・サービスの開発・設計は「NGKグループ企業行動指針および行動規範」に沿って実施しています。またお客さまやサプライチェーンの要求事項の遵守に努めるとともに、品質マネジメントシステムの国際規格(ISO9001、IATF16949等)の要求事項やQRE-Pの考え方に沿った開発・設計を実施することでESGを考慮しています。
それらは、開発の適切な段階で、QFDやFMEAなどQRE-Pの考え方等を考慮したアウトプットをDR(デザイン・レビュー、設計審査)の審査等で関係者で内容を共有し審議しています。さらにその実施状況は、品質マネジメントシステムに関する定期的な内部監査やお客さま・サプライチェーン・認証機関による監査を通して確認しています。
品質改善活動
QuiC活動
NGKグループは、全従業員が参加する品質改善活動「QuiC(Quality up innovation Challenge)活動」を、2003年から展開しています。製品・サービスと仕事の質の向上を図るための小集団活動や個人による改善・提案活動で、優れた改善事例は全グループ会社で共有します。毎年7月には、優れた改善事例の横展開を目的に全社大会を本社で開催しています。また、提案の評価方法は、2021年度より件数のほか内容も重視する形に見直しを進めています。
2023年度は、7月に「QuiC活動全社大会」を、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けてオンライン併用で開催しました。10月には、事例発表会「NGK-BOX/Surprising Challenges!」を開催しました。「NGK-BOX/Surprising Challenges!」は、全社の改革事例や手本となる取り組みを水平展開し、従業員のモチベーションアップと職場の活性化を図ることを目的としたもので、4回目の開催となりました。今回初めて会場開催を併用できるようになった結果、参加者間のコミュニケーションが促進され、モチベーションの一層の向上につながりました。
2024年度は、この活動を継続し、さらに全従業員参加の品質推進活動を推進します。
提案活動参加率
2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
---|---|---|---|---|
製造部門 | 93% | 82% | 89% | 88% |
非製造部門 | 83% | 71% | 76% | 69% |
事務部門 | 50% | 25% | 27% | 26% |
提案件数 | 約19,000件 | 約16,400件 | 約15,600件 | 約14,500件 |
優秀提案比率 | 17.8% | 18.2% | 20.7% | 24.5% |
人の集まりに着目し、初めて会場開催とした事例発表会「NGK-BOX/Surprising Challenges!」
国内外への派遣型研修
2020年度から新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて中止となっていた海外研修を4年ぶりに実施しました。海外研修では11月4日から11日にかけて、提案優秀者と全社大会の大会最優秀賞の9名をポーランドとフランスに派遣し、NGKセラミックスポーランド(ACP)での改善意見交換や異文化体験学習などを行いました。
国内研修は昨年から再開しており、12月13日から16日にかけて、全社大会の大会優秀賞・特別賞受賞者、NGK-BOX優秀発表者の9名を沖縄に派遣し、QCサークル全国大会を聴講し、他社とNGKグループの違いなどをテーマとして意見交換を行いました。
品質教育
品質教育の強化
NGKグループは、お客さまの期待を超えていく製品・サービスを提供することを目指し、品質に関するスキル習得と意識向上のための品質教育を全従業員を対象として強化しています。
主な教育活動としては、目的別に、新入社員や昇格者等への階層別教育、品質の基礎から応用までの幅広い分野の教育、業務課題や部門ニーズをテーマにした個別教育、デジタル変革推進部と共同してデータ活用に資する統計基礎教育等を、e-ラーニング、Teamsおよび対面受講を併用して実施しています。
特に、業務の仕組み改善を促進するための品質マネジメントシステム(QMS)の研修や、品質リスク低減活動(QRE−P活動)の浸透を目指した信頼性の研修は最重要と考え、ロールプレイやグループディスカッションを取り入れることで体得を目指しています。また、実務ベースのデータを用いた統計手法活用支援にも力を入れています。
QC検定の受検支援活動も2020年度から始め、その利用者は1,300人を超えました。
2023年度の品質教育
研修名 | 参加人数 | 目的・特長 |
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個別教育 | 37件 |
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QC手法演習 | 39人 |
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SQC(Statistic Quality Control)手法研修 |
延べ83人 |
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信頼性基礎研修 | 信頼性基礎研修Ⅰ:56人 |
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信頼性基礎研修Ⅱ:53人 |
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失敗学と創造学研修 | 失敗学講演会:約250人 創造学講演会:約150人 指導・相談会:延べ16人 |
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QMS研修 | ISO/IATF規格解説:726人 |
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ISO/IATF内部品質監査員養成:196人 |
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VDA6.3プロセス監査:42人 |
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保全活動のレベル向上
NGKグループは保全活動のレベル向上や生産効率アップを目指し、2022年度も多くの従業員が自主保全士検定試験(日本プラントメンテナンス協会)に挑戦しました。この資格は品質管理や安全、機械保全に必要な幅広い知識と技能を持ち、自主保全活動の計画・立案、実践・指導ができると認められた者に与えられます。
NGKグループでは、引き続き自主保全士検定試験の受験を後押しし、自主保全活動の活性化と従業員のモチベーションアップに取り組んでいきます。
自主保全士検定試験合格者数
会社名 | 1級受験者数 | 1級合格者数(合格率) | 2級受験者数 | 2級合格者数(合格率) |
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日本ガイシ | 33人 | 11名(33%) | 34人 | 24人(71%) |
NGKセラミックデバイス | 5人 | 4人(80%) | 55人 | 36人(65%) |
NGKエレクトロデバイス | 7人 | 1人(14%) | - | - |