サステナビリティ
水資源の保全
NGKグループは、NGKグループ環境ビジョンの一つに循環型社会の実現への寄与を掲げ、事業における資源循環を推進しています。主な事業であるセラミックスの製造時に必要な水についても、効率的な利用を推進することで環境への負荷を低減することに貢献できると考えます。今後はサプライチェーンにも拡大して、さらなる水利用の効率化とリスクの低減に努めていきます。
目標と実績
2021年度からスタートした「第5期環境行動5カ年計画」では、NGKグループ全体の取水量の売上高原単位を指標に、新型コロナウイルス感染症による生産減の影響がなかった2019年度の売上高原単位1,000m³/億円の水準を維持することを目標にしています。2024年度は、650m³/億円と目標を達成しました。2025年度も引き続き、2019年度の売上高原単位の維持は達成するとともに、それを下回る水準の実現を目指して取り組みを推進していきます。
水資源に関するリスク管理と対応
NGKグループは、サステナビリティの観点から、水資源に関するリスク管理と水利用の効率化に取り組んでいます。
自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD:Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)の推奨するLEAPアプローチを通じて、各拠点の水リスクや環境への影響度について調査を進めています。
2024年度はNGKグループの国内外の拠点で、排水水質に関する重大な基準および規制違反はありませんでした。
水リスクの評価
国内外の全生産拠点について、拠点が立地する地域の河川の水供給量を基に、水不足の度合いを簡易的な手法で自己評価するとともに、海外拠点を中心に第三者による詳細な分析を実施しています。詳細分析では、水需給リスクについて、水ストレス※、地下水ストレスや季節による水供給量の変化、ダム等の貯水力も評価項目に加え、将来の水需給予測も実施しています。その他、水災リスク(洪水・土砂崩れ)、水質リスク(公衆衛生・生態系)についても分析し、総合的なリスク評価を実施しています。
これらの取り組みを通じて、海外の全生産拠点の水リスクを把握し、各拠点と情報を共有しています。
いずれの拠点も現時点での水リスクは深刻な状態ではありませんが、規制の動向を注視し、必要に応じて水利用の効率化に取り組んでいます。
また、分析ツールAqueductを用いて主要サプライヤーの水リスクの評価を行い、サプライチェーンの水リスク管理の強靭化を目指しています。
なお、アジア・欧州・北米など一部の拠点は、水ストレスが高いとされる流域に位置しており、2024年度のこれらの地域での取水量は1,260,000m³でした。これはNGKグループ全体の取水量に対する割合の約31%です。
潜在的な水リスクのある地域の海外生産拠点数
地域 | 拠点数 | 水需給 | 水災 | 水質汚濁への脆弱性 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
現在 | 2040年 | 公衆衛生 | 生態系 | |||
北米 | 5 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 |
欧州・その他 | 4 | 1 | 0 | 0 | 2 | 3 |
中国 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
アジア・豪州 | 6 | 0 | 4 | 0 | 1 | 1 |
水ストレス:水需給がひっ迫している状態、ここでは水ストレスを評価する指標として水供給量に占める取水量の比率を用いている
グループ会社における水利用の効率化
水利用の適正化を目指したガイドライン(実施状況のチェックリスト)を作成し、これを使用した現状調査を行っています。今後、グループ内の各拠点や他社の事例調査の結果を活用して、ガイドラインの充実を図るとともに、各拠点における水利用の効率化を進めます。
NGKセラミックデバイス(NCDK)における再生水利用
NCDK小牧工場で生産しているSAWフィルター用複合ウエハーの加工工程では、大量の水を使用するため、セラミック膜でろ過した再生水を利用するシステムを導入し、2022年から利用を開始しました。このシステムの導入により、2024年度は年間取水量約150,000m³のうち、約28,000m³を再生水で賄うことができました。一方、同じ工程を有するNCDK富士吉田工場では、さらに処理能力の高い設備を導入しており、水需給リスクが比較的小さな国内においても、効率的な水の利用を推進しています。

再生水処理装置(NCDK富士吉田工場)