サステナビリティ

第三者意見

第三者意見


関西大学 社会安全学部・大学院社会安全研究科 教授 博士(法学)
日本経営倫理学会 常任理事
経営倫理実践研究センター 上席研究員

髙野 一彦氏

わが国の産業の基盤をささえる重要な事業を行っている日本ガイシグループは、2019年5月に創業100周年を迎える。社会から安定的な生産を期待される中、永年にわたり成長を維持してこられたことに敬意を表したい。私は、企業における持続可能性の基盤となる各種マネジメント体制を専門領域としてCSR研究を行っており、そのような立場から「NGK Report 2018」を拝読し、同社グループのCSR経営の特長と課題を紹介したい。
第一は、コーポレート・ガバナンスである。同社は監査役会設置会社でありながら、過半数の社外役員で構成される「指名・報酬諮問委員会」を設置し、取締役会の外で役員人事と個別報酬を審議している。また、取締役・監査役を対象としたアンケートを実施し、取締役会の実効性の評価を行っている。これらは取締役会における自由闊達な議論を担保している。さらに、社内関係者から監査役・社外取締役が情報を聴取する「監査役・社外取締役ヒアリング」、経営層が関与する不正・法令違反を通報する「ホットライン」、これを監視する「経営倫理委員会」など、コーポレート・ガバナンスの手厚さは、他の先進企業と比較しても群を抜いている観がある。
第二は、コンプライアンス・リスクマネジメント体制である。海外売上比率72.6%という、グローバルに事業を展開する日本ガイシグループにおいては、海外の競争法、腐敗防止法など、膨大な罰金を規定し、域外適用される各種法令は大きなリスクである。日本ガイシグループでは、CSR委員会の傘下にコンプライアンス専門分科会を設置し、「NGKグループ企業行動指針」の下に各種規定類を策定し、教育研修・モニタリング・見直しといったPDCAサイクルを運用している。また、重要リスクについては、グループ全体のBCP(事業継続計画)を策定し、定期的に運用訓練を実施し、改善を行っている。このようにコンプライアンス・リスクマネジメント体制の完成度は高く、スパイラルアップするPDCAサイクルが運用されていると思われる。
第三は、従業員とのコミュニケーションである。従業員の意識が向上し、風通しの良い社風を醸成できれば、企業が抱えるほとんどのリスクに対応できると思われる。日本ガイシグループは、極めて多様な従業員教育を実施しており、特にコンプライアンス教育は充実している。また、経営者と従業員が直接対話をする「CSRトークライブ」を実施するなど、風通しの良い社風醸成のための真摯な努力を行っている。
第四は、社会貢献活動である。特筆すべきは、日本ガイシインターナショナルハウスや奨学金制度など、世界各国から来日する留学生の支援を長年にわたり行っており、ヒューマニスティックな側面に大変好感が持てる。
一方、2018年1月に受渡検査の不整合問題が発生した。これを改善の契機として、さらにレベルの高いマネジメント体制に昇華させていってほしい。品質問題はさることながら、海外でのさらなる事業展開を見据えて、GDPR(EU一般データ保護規則)などの海外法規へのコンプライアンス対応、発災が予測されている東海・東南海トラフ地震に伴う巨大複合災害への対応などを対象に、さらなる改善に取り組まれることを期待している。コンプライアンス・リスクマネジメント体制のたゆまぬ改善は、日本ガイシグループの「次の100年」の成長に寄与することと思う。

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