サステナビリティ

第三者意見

第三者意見

NGKレポートへの第三者意見を寄稿した、関西大学 社会安全学部・大学院社会安全研究科教授 髙野 一彦(たかの かずひこ)氏の写真です。
関西大学 社会安全学部・大学院社会安全研究科教授・博士(法学)
日本経営倫理学会 常任理事
経営倫理実践研究センター 上席研究員

髙野 一彦氏

1.「NGK REPORT 2020」の特長

NGKグループは、セラミック技術でわが国の経済を支え続け、昨年5月に創立100周年を迎えた。長年にわたり高品質な製品を供給し、成長を維持してこられたことに敬意を表したい。本レポートの中にも、会社の持続可能性(Sustainability)を感じる特長が散見されるので紹介したい。
第一は、本業に根ざした社会課題への取り組みである。大島卓社長はトップメッセージの中で「環境と人間の共生」を新たなビジョンの重要な視点として掲げ、社会課題の解決を目指したセラミック製品の研究・開発をすすめている。例えば、工場などからCO2を直接分離・回収する大型セラミック膜や、オフピークに貯めた電気を日中のピーク時に使うための亜鉛二次電池の開発などである。低炭素社会の実現のために企業に厳しい目が注がれる中、これらの製品は強く支持されることと思う。
第二は、コーポレート・ガバナンスの記載の充実である。本レポートでは社外取締役メッセージを含め14頁をコーポレート・ガバナンスの記載に充てており、取締役会において自由闊達な議論が行われている様子をうかがい知ることができる。また大島卓社長は、社外取締役と新ビジョンの策定に向けた議論をすすめている旨を述べておられるが、価値創造プロセスに専門的な見識や経営者としての経験を有した社外取締役が加わることは重要である。先進企業の中でも、コーポレート・ガバナンスの充実度は卓越していると思う。
第三は、リスク管理体制の充実である。グローバルに事業を拡大し、事業リスクが多様化する中、リスクの顕在化を予防し、また影響を最小限にとどめるための体制を整えている。特に、海外売上比率が高いNGKグループにおいては、多額の罰金や制裁金を規定した外国法が重要リスクとして考えられるが、本レポートでは「競争法など取引関連法規の遵守」「腐敗防止体制」などの項目を設けて、真摯な取り組みを紹介している。
このように本年度版のレポートでは、NGKグループのESG経営がさらに発展している様子を知ることができて嬉しく思う。

2.さらなる発展への期待

新型コロナウイルス感染症のパンデミックが社会問題になっているが、本レポートでは2頁を割いて、危機対応の様子が紹介されている。コロナ問題が終息した後の「ニューノーマル」時代に、NGKグループがさらに発展するために期待したいことを以下に挙げたい。
第一は、「レジリエンス(強靭性)」向上のためのさらなる取り組みである。コロナ禍の中、ほとんど工場の操業を止めることなく、感染拡大防止と事業継続を両立されたことに敬意を表したい。コロナ問題への対策を検証し、BCP(事業継続計画)の見直しと改善による、さらなるレジリエンスの向上に努められることを期待したい。
第二は、「働きがい改革」への取り組みである。パンデミック対策として進められたテレワークは、従業員の働き方の選択肢を増やすことから「働きがい改革」としても期待できるように思う。ただし組織効率を維持するためには、仕事に人をつけて、仕事の成果で評価を行う「ジョブ型」マネジメントへの変革が必要であるといわれている。組織効率と働きがいのバランスがとれた制度やマネジメントスタイルの探求を期待している。
第三は、リスク管理プロセスの継続的実施である。本レポートでは、リスクアセスメントから重要リスクを抽出し、昨年新設されたESG会議で議論を行い、対策を講ずるプロセスが丁寧に紹介されている。企業の発展や社会の変化とともに新たな重要リスクが現れることもあるので、是非この取り組みを毎年続けてほしい。
最後に、「環境と人間の共生」を目指した新ビジョンの発表、そして研究開発中の新製品の完成を心から期待したい。傑出したセラミック技術を持つNGKグループだからこそ、本業に根ざした社会課題の解決が可能であり、これからも社会から必要とされる企業グループとして発展し続けることを祈念している。

(本記事はNGKレポート2020より抜粋)

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