サステナビリティ

生物多様性の保全と再生

2022年にカナダのモントリオールで開かれた国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)において、「昆明・モントリオール生物多様性枠組み」が採択され、2030年までに「生物多様性の損失を止め、反転させるための緊急の行動をとる」という「ネイチャーポジティブ」の目標が掲げられています。また、2023年に公表された「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD:Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)」の提言では、自然関連の課題が企業の戦略的なリスクに関わる問題であることから、企業に対し事業を通じた自然への依存・インパクト、リスク・機会を把握・開示することを推奨しています。
NGKグループは、これらの国際的な動向を踏まえ、自然との関わりを重視し、バリューチェーン全体における自然への依存度や影響を把握することの重要性を認識しています。生物多様性の保全と再生を重要な課題と位置づけ、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを推進していきます。

目標と実績

NGKグループは、「NGKグループ環境ビジョン」において、自然との共生の実現に寄与するため、「生態系への環境負荷を最小限に抑制するとともに、啓発活動を通じて、一人ひとりの意識を高め、自然との共生を図る」としています。また、「第5期環境行動5カ年計画」においては、生物多様性の推進をテーマの一つとし、2025年度の目標に「ポスト愛知目標に対応して取り組みを拡充する」を掲げ取り組みを進めています。
2024年度は、TNFD開示への対応として、国内外の動向調査を実施しました。TNFDが提唱するLEAP(Locate、Evaluate、Assess、Prepare)アプローチに沿ってリスクや機会の評価をするとともに、バリューチェーン全体の依存およびインパクトの概観に関する評価などを実施し、その結果を開示しました。今後もこれらの取り組みを継続、強化し、開示内容のさらなる充実を図っていきます。

TNFD Early Adopterへ登録

NGKグループは、TNFDの取り組みに賛同し、2024年1月にTNFD Early Adopterとして登録しました。これにより2026年度の開示までにTNFDが提唱する4つの柱(ガバナンス、戦略、リスクとインパクト管理、測定指標とターゲット)に沿った構成で情報開示を行うことを宣言しましたが、当社は1年前倒しの2025年度の開示で4つの柱に沿った形での開示を実施しました。今回の開示では主に前年度に実施した製造段階におけるLEAPアプローチに基づく評価結果を踏まえた開示をしています。

TNFD提言に基づく情報開示

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生物多様性のための自然保全活動

社内の事例発表会を活用した従業員の意識向上への取り組み

NGKグループは、自然保全活動の情報開示とともに従業員への環境教育や啓発活動を継続的に実施しています。2024年10月に社内で開催した事例発表会「NGK-BOX 2024」では、NGKグループが企業として生物多様性の保全と再生に取り組む目的や考え方などについて、事前に実施した社内アンケートの結果とともに説明し、生物多様性に対する従業員の理解促進を図りました。

NGK-BOXでの発表風景の写真です。
NGK-BOXでの発表風景
2024年10月社内事例発表会 プレゼンテーション資料

社有地や事業所での生物調査

NGKグループは、地域の生態系を理解し保護活動の基礎を築くためにも生物調査は重要と考えます。これまでいくつかの社有地で植物や動物、鳥類、昆虫などの生物調査を実施し、さまざまな生物が確認されました。調査の結果、早急な対応が必要な外来種はこれまでに発見されておらず、適切な管理状態にあることを確認しました。また、調査結果はパネルなどにまとめ厚生施設に展示することで、従業員だけでなく地域のステークホルダーへも生物多様性保護の重要性を認識していただけるよう活用しています。2024年度は、環境DNAという手法を用いて、本社沿いを流れる新堀川で生物調査を実施しました。当社は新堀川では取水や排水を行っていませんが、調査結果を地域の生物多様性保護に役立てられないか検討しています。今後は、他の拠点でも環境DNAの活用を検討していく予定です。

環境DNAという手法を用いて、本社沿いを流れる新堀川で生物調査を実施している写真です。
新堀川での生物調査実施風景

2024年度 調査の概要

  • 日時:2025年2月
  • 場所:新堀川(日本ガイシ名古屋事業所付近)
  • 調査委託会社:サンリット・シードリングス株式会社 

環境に関わる社会貢献活動

NGKグループは、国内外の拠点で、環境分野での地域への貢献や生物多様性の保護、従業員の環境意識の向上を目的に、地域の行政やNPO、企業と連携した社会貢献活動を実施しています。

日本ガイシ石川工場とNGKセラミックデバイス(NCDK)石川工場の海岸清掃

石川工場とNCDK石川工場は、石川県内全域で行われている海岸愛護運動「クリーン・ビーチいしかわ」に参加しています。昨今、海洋プラスチックごみによる環境汚染が世界的に懸念されており、生態系への影響が深刻な問題となっています。2024年は従業員とその家族約80人が参加し、地域住民と共に根上海岸の清掃活動を行いました。この活動は石川県の海岸線583キロをきれいにすることを目的に1995年から実施されており、石川工場は2012年、NCDK石川工場は2018年から参加しています。

日本ガイシ石川工場とNGKセラミックデバイス石川工場が行った海岸清掃の写真です。
海岸清掃(日本ガイシ石川工場、NGKセラミックデバイス石川工場)

NGKフィルテックの森林保全活動

NGKフィルテック(神奈川県茅ヶ崎市)は、賛同する「かながわ森林再生50年構想」の一環で、神奈川県の管理する「やどりき水源林(神奈川県松田町)」で森林保全活動を実施し、役員および従業員とその家族27人が参加しました。NGKフィルテックは、神奈川県の森林の保全と再生への取り組みに貢献する「森林再生パートナー」として2022年9月から5年間の協定を締結し、県が行う森林整備費用などの支援を行っています。インストラクターの指導の下、やどりき水源林に生息する生物の観察の他、植物や生き物などの説明などを受け、森林保全・再生の大切さを学びました。

NGKフィルテックが行った、水源林での森林活動の写真です。
やどりき水源林での森林活動(NGKフィルテック)

小牧事業所とNGKセラミックデバイス(NCDK)による清掃活動

日本ガイシ小牧事業所とNCDKは、小牧事業所の田神地区東側を流れる大山川沿いを清掃する「大山川クリーンアップ」(小牧市役所主催)に協力しました。当社は第1回開催時から協力しており、2024年度は従業員とその家族35人が参加しました。

小牧事業所とNCDKが行った、地域清掃活動の写真です。
地域の清掃活動(小牧事業所とNCDK)

NGKセラミックスタイランド(ACT)によるマングローブの植林

ACTでは、タイ東部のチョンブリー県でマングローブの植林を行いました。マングローブはCO2吸収だけでなく、さまざまな動物の生息地として生物多様性を保全し、さらには海岸浸食の予防にも役立つため、植林をすることでグリーンエリアの増加も促進することができます。

NGKセラミックスタイランドが行った、マングローブ植林の写真です。
マングローブの植林(NGKセラミックスタイランド)

駐車場跡地の緑化

日本ガイシ本社にある駐車場跡地を利用し、緑地活動試験を開始しました。地域性在来種の苗を植えることで、地域の生物多様性の回復に貢献できることを目指します。

日本ガイシ本社にある駐車場跡地を利用した緑地活動の写真です。
駐車場跡地を利用した緑化活動(日本ガイシ本社)

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生物多様性関連イニシアチブへの参加および外部団体からの認証

「日本ガイシ みんなの森みずなみ」が環境省の自然共生サイトに認定

「日本ガイシ みんなの森みずなみ」はグループ会社の周辺に位置する社有林で、2024年3月に環境省の自然共生サイトに認定されました。自然共生サイトとは、民間の取り組み等によって生物多様性の保全が図られていると国が認定した区域のことです。

自然共生サイト認定の画像です。

森林づくり活動「日本ガイシ みんなの森みずなみ」(環境、地域とのかかわり)

あいち生物多様性認証企業に認証

2023年11月にあいち生物多様性企業認証制度(愛知県)に基づく「あいち生物多様性認証企業」に認証されました。あいち生物多様性企業認証制度とは企業の生物多様性保全に関する取り組みを促進するため、優れた取り組みを実践している企業を愛知県が認証する制度です。

あいち生物多様性認証企業のロゴです。

経団連生物多様性宣言イニシアチブに賛同

2022年1月に経団連生物多様性宣言イニシアチブに賛同しました。経団連生物多様性宣言は企業・団体の立場から生物多様性保全に対する決意と行動指針を示しています。

経団連⽣物多様性宣⾔イニシアチブのロゴです。

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