サステナビリティ

リスクマネジメント

リスクガバナンス

基本的な考え方

NGKグループは重大なリスクに関し、危機管理基本規程に基づいて各委員会の活動を通じ、リスクの発生を回避・予防しています。また、著しく重大なリスクに関しては、経営企画室担当執行役員の判断で、社長の参加する対策会議を招集し、対応に当たります。
社会経済情勢の不確実性が一層高まりつつある中では、リスクへの感度を高め、リスクが危機へと変わる前に対処することが重要です。そこで、平時にはコンプライアンス委員会、環境安全衛生委員会、品質委員会、HR委員会、中央防災対策本部が常時リスクを管理しつつ、リスクが拡大した際にはトップ主導で迅速に対策が行える体制を構築しています。
なお、2022年度には全社的リスクマネジメント体制の構築の検討を行い、2023年度からリスク統括委員会を新たに設置してグループのリスク課題を包括的に取り扱っています。そして、活動内容を年1回以上取締役会に報告することで、取締役会は活動を監督しています。また、当該リスクマネジメント体制は、監査役会から独立して運営されています。

リスクマネジメント体制図

リスクマネジメント体制図です。通常は、コンプライアンス委員会など5つの委員会がリスク回避・予防に努め、緊急時には対策会議を招集して対応に当たります。

リスク特定プロセス

従来のリスクマネジメントの過程で判明したグループの経営や財務状況に影響を及ぼし得るリスク全般について集約・再評価し、2019年度に重要なリスクを抽出しました。抽出したリスクはESG会議で審議の上、グループとして管理すべきリスクを特定しました。
なお、2023年度には、リスク統括委員会の下で内外環境の変化を踏まえたリスク分析・評価、管理すべき重要なリスクの特定とともに、これらリスクへの対策および実施状況の把握などのリスク管理プロセスの向上を図り、経営全体の持続性を強化していきます。

リスク特定プロセスを示した図です。リスクの収集・一覧化、リスクの評価、経営トップの審議の流れで、グループとして管理すべきリスクを特定しています。

リスク・リスク概要・対応策

リスク リスク概要 対応策
1. 事業運営におけるリスク 各事業共通
  • デモ、テロ、戦争、感染症・伝染病など予期せぬ事象の発生
  • 拠点の分散によりグローバルに代替可能な体制を構築
①エンバイロメント事業
  • 内燃機関車の減少に繋がる変化
  • 排ガス規制の強化に伴う新製品や高機能品の開発、市場投入
  • 中国市場の競合台頭によるシェア低下
  • 環境規制を先取りした技術対応力や安定した供給力により競争力を強化
  • 景況悪化や規制時期の遅れなどによる需要減
  • 環境規制の内容と時期、需要動向に適宜対応
②デジタルソサエティ事業
  • 想定を上回る半導体需要の減少
  • 各国の輸出規制
  • 直接の顧客である半導体製造装置メーカーからの需要情報を踏まえ、都度、設備能力や人員・生産体制等を見直し
  • 顧客ニーズへの対応遅れによるシェア低下
  • 当社独自の製品対応力や製品供給力の向上
  • 革新的な発明による半導体製造プロセスの大幅な変更
  • 半導体製造プロセスの動向を注視し需要の変動に素早く対応できるよう適宜生産体制を見直し
  • 最終消費財の需要減
  • 携帯基地局・データセンターへの投資減
  • 客先動向を注視し需要の変動に素早く対応できるよう適宜人員体制、生産体制を見直し
  • 顧客のニーズに対応した新技術開発・製品投入ができない
  • 客先動向を注視しタイムリーな技術開発
③エネルギー&インダストリー事業
  • リチウムイオン電池など競合製品の技術革新による一層の普及
  • NAS電池の持つ優位性(大容量・長時間)のアピール
  • 海外有力企業とのパートナーシップ強化
  • 政府の支援策活用
  • 各国のエネルギー政策の変化
  • 電力会社の設備投資抑制
  • 国内市場におけるポリマー製がいしの採用
  • 各国の電力政策を注視し需要の変動に素早く対応できるよう適宜生産体制を見直し
  • リチウムイオン電池正極材・電子部品向け焼成炉における競合の成長による市場シェア低下
  • 客先動向を注視し需要の変動に素早く対応できるよう適宜生産体制を刷新
2. 研究開発に関するリスク
  • 技術間競争の複雑化によりインプットが十分な成果に結びつかない
  • 今後10年間で総額3,000億円の研究開発費を確保し、その80%を「カーボンニュートラル(CN)」「デジタルソサエティ(DS)」分野に配分
  • 2030年に新製品・新規事業の売上高1,000億円の目標(New Value 1000)設定
  • マーケティングを主体としたNV推進本部の新設
3. 法令遵守、人権・安全、品質に関するリスク ① 法令等の遵守に関するリスク
  • 法令・規制への違反や、人権の尊重、契約遵守などの社会的規範に反した行動による当社のレピュテーション低下
  • 従業員への各種教育の実施やハンドブック配布による関連法規制の周知徹底・コンプライアンス意識の向上
  • 国際的な水準に則った「コンプライアンス活動基本要領」の制定
  • 社外役員とコンプライアンス担当役員から構成される経営倫理委員会による重大な不正事案や法令違反の予防と監視
  • 内部通報制度によるコンプライアンス違反の発生可能性低減
② 人権・安全に関するリスク
  • グループの事業活動における人権侵害
  • NGKグループ人権方針の策定
  • 英国現代奴隷法に関する声明提出
  • 人権に関する国際規範の遵守による人権侵害リスクの防止、軽減
  • 従業員の労働災害や疾病・身体・メンタルヘルス問題
  • 安全衛生基本方針に基づき重大災害リスクの特定とリスクアセスメントによる未然防止対策強化
  • 長時間労働者へのフォローや階層別メンタルケア教育の実施
③ 品質に関するリスク
  • 重大な市場クレームや契約違反など業務の不備に伴う信用の失墜、利益の喪失、成長の減退等の品質リスク
  • 経営トップの直接指導の下、品質方針に基づき、品質経営統括部が各事業本部の品質活動をモニタリング
  • 重要課題については品質会議を開催して迅速な解決を図る
  • 4つの品質活動のルール化
  • 品質リスク排除プロセス活動及び品質コンプライアンス活動の全社展開
4. 情報システムのリスク
  • 外部からのサイバー攻撃や不正アクセス、想定外のシステム不具合やセキュリティ上の問題によるデータ処理の停止、データの盗難・破壊・改ざん・喪失等の発生による社会的信用や業務の継続への悪影響
  • グループ内共通の基準に基づいたITセキュリティ体制の構築
  • 従業員に対する情報セキュリティ教育の実施
  • 内部の情報資産の適正な運用・管理の徹底
5. 為替、資金および資材調達のリスク
  • 円高による売上高・利益の減少・業績悪化
  • 地域により大きな金融危機などで資金調達が困難となり、当社グループの事業運営や業績・財務状況に悪影響を及ぼすリスク
  • 需要地生産、現地通貨での資金調達、為替状況に応じた最適購買
  • 先物為替予約等によるリスクヘッジ
6. 資材調達・サプライチェーンのリスク
  • 各地域における素材価格やエネルギーコストの上昇
  • 適正な売価への反映
    競争購買、設計見直しなどによるコストダウン
  • サプライチェーンの混乱による資材調達の遅延や顧客への出荷滞留
  • 在庫管理
  • 調達先の多様化
7. 気候変動と災害のリスク
  • 将来的に国際的な温室効果ガスの排出規制や環境税・炭素税などの税制が導入された場合、追加的費用による業績悪化
  • 温暖化に伴う海水面の上昇や台風の大型化、局地的な暴雨の頻発等による水害、大規模災害や火災等の事故による操業困難な拠点の発生
  • 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に沿ったリスクと機会の情報開示
  • NGKグループ環境ビジョンの策定
  • カーボンニュートラル社会の実現に資する製品とサービスの開発、提供
  • 想定を超える事象による生産設備への深刻な被害
  • 想定を超える事象によって工場が立地する地域のインフラ側に長期の供給支障
  • 新型コロナウイルス等の重大な感染症の発生・蔓延による生産・販売への悪影響
  • 2050年までにCO2排出量ネットゼロを目指す
  • BCP(事業継続計画)をグループ全体で推進
  • 主力事業の生産拠点の分散化
  • 購買先の複数化
  • 建物、設備の減災
  • 従業員の安全確保

海外グループ会社のリーガルリスクマネジメント

NGKグループは、事業拡大に伴ってグローバル化・多様化するリスクを最小限にとどめるため、海外での事業展開におけるリーガルリスクマネジメント状況の把握強化に取り組んでいます。
海外グループ会社に対しては、半年に一度、訴訟などの法務案件や弁護士の利用状況を、また、年に一度、内部通報制度の利用、輸出管理、法令関連情報の入手など、リーガルリスクへの対応状況の報告を求めています。報告のうち主要な内容についてはコンプライアンス委員会で報告し、情報を共有しています。また、海外拠点からの相談に対しては適宜、弁護士と法務部が対応しリスクを回避しています。

アンケートに基づくリスクの抽出と未然防止

日本ガイシと国内グループ会社は、リスクマネジメント体制強化の一環として、2022年度に第4回CRS(Corporate Risk Survey)調査を実施しました。これは従来から実施しているCSA(Control Self Assessment)アンケートとコンプライアンス意識調査アンケートを統合した調査で、日常の事業運営で起こりうるさまざまなリスクの把握と未然防止を目的に、リスク発生の可能性とその影響について回答者の認識を尋ねています。この結果をもとに各リスク対応部門と各本部がリスク対応策を策定してリスク低減に取り組んでいます。

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BCP(事業継続計画)への取り組み

日本ガイシは、人命尊重と地域協力を旨とし、事業継続計画の維持管理を行う組織として、社⻑を責任者とするBCP対策本部を設置し、グループ全体でBCPを推進しています。BCP発動に備えた活動として、生産拠点の分散化や購買先の複数化、建物・設備の減災、従業員の安全確保など各種対策に取り組んでいます。また、災害時の危機対応力向上を目的として、大規模災害を想定した訓練を実施しています。計画に基づき実際に動いてみることで細かい問題点まで抽出し、BCPの改善に役立てています。その他、感染症拡大や世界情勢の変化に伴う調達難などに対しては、BCP事務局を中心に早期の情報収集や対応を行い事業の継続に努めています。

BCP体制図

BCP、事業継続計画の体制図です。社長を責任者とするBCP対策本部が、中央災害対策本部や各部会を指揮します。

緊急時および被災時には、「中央防災対策本部」を「中央災害対策本部」に切り替え、災害への対応にあたります。

2022年度の取り組み

今後の取り組み

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