新製品の創出

分子レベルでの分離が可能な「サブナノセラミック膜」

分離膜とは

物質を分離する技術には、「蒸留」や「晶析」、「抽出」、「ろ過」などいろいろなものがあります。これらの分離技術のうち膜を用いて物質をろ過(分離)する膜分離プロセスに使用される膜を分離膜といいます。分離膜は、大きく分けて、セラミック膜、有機膜、炭素膜があります。

サブナノセラミック膜とは

サブナノセラミック膜
サブナノセラミック膜

サブナノセラミック膜とは、セラミック膜(セラミックフィルター)の中でも、特に細かいサブナノクラスの細孔をもつ分離膜です。例えば、メタン(CH4)と窒素(N2)の混合気体(混合物)から、窒素を分離するなど、分子レベルでのふるい分けが可能です。

日本ガイシでは、混合ガスや混合液などの混合物から、特定の気体や液体を分離できるさまざまな「サブナノセラミック膜」を開発しています。大幅な省エネルギー、コストダウンを可能にし、革新的な分離プロセスを実現します。

サブナノ:1nm(ナノメートル)以下。1nm=0.000001mm

セラミックフィルターの分類と適用範囲

日本ガイシは、工場排ガスの「集塵」から、医薬品の製造工程における「低分子分離」まで、幅広いラインアップで、最適なフィルトレーションを提供しています。
セラミックフィルターの中でも特に細かい細孔径を持つ「サブナノセラミック膜」は、分子レベルでの分離が可能な膜です。たとえばガス中からCO2を分離するなど、カーボンニュートラルに大きく寄与できます。

分離対象物と日本ガイシのセラミックフィルターの対応を分子径の大きさに沿って並べた図です。

サブナノセラミック膜の特長

サブナノセラミック膜は、従来の膜分離に用いられる有機膜や炭素膜と比較し、以下の特長があります。

(1)分子レベルでの分離が可能

結晶構造内に分子レベルの細孔を有するゼオライトなどをセル表面に配置することで、分子レベルでの気体や液体の分離が可能です。

(2)細孔径が均一であり、分離精度が高い

日本ガイシのサブナノセラミック膜は、均一な細孔を保有する結晶性のゼオライトなどを分離層として採用することにより、従来の膜分離に用いられる有機膜や炭素膜と比較し、高い分離精度を有しています。
また、分離したい分子の種類に合わせて分離層の種類を選択することにより、さまざまな分子を分けることが可能になります。
例えば、DDR型ゼオライト膜の分離層であるDDR型ゼオライトは、結晶性の材料で、0.36ナノメートル×0.44ナノメートルの楕円形の細孔を持っていることが特長です。細孔の短径(0.36ナノメートル)は、CO2(0.33ナノメートル)より大きく、CH4(0.38ナノメートル)より小さいため、DDR型ゼオライト膜にCO2とCH4の混合ガスを供給すると、CO2を優先的に透過させることができ、高い分離精度を得ることができます。

ゼオライトの種類・細孔径・分子径

分子の大きさと、分離に使用されるゼオライト膜の種類の対比です。

DDR型ゼオライト膜の分子分離のイメージ

従来の膜
孔が均一ではない

従来の膜は孔の大きさが均一ではありません。

DDR型ゼオライト膜
結晶構造なので細孔が均一

結晶構造のため孔の大きさが均一にできます。

DDR型ゼオライト膜の各種ガスの透過性能

DDR型ゼオライト膜の各種ガスの透過性能です。横軸に分子径、縦軸に透過速度を設定しています。

(3)分離装置の小型化、省エネ、CO2削減を実現可能

CO2の分離で用いられるアミン吸収法、N2の分離で用いられる深冷分離法、有機溶媒の脱水に用いられる蒸留法などは、分離精度は高いものの、巨大な設備が必要なことや、エネルギー消費が大きいといった課題があります。これらの工程にNGKのサブナノセラミック膜を用いることで、エネルギー消費が大きい加熱プロセスが不要になるなど、設備のコンパクト化や省エネルギー化、CO2削減を実現できます。

(4)耐熱性、耐圧性、耐久性が高い

材質がファインセラミックスのため、耐熱性、耐圧性に優れ、さまざまな気体・液体、温度への対応が可能です。また機械的強度が大きく剛性を有しているため、圧力や熱による膜構造の変化がなく、長期使用が可能です。

(5)圧損が少なく透過量が多い

分離層を形成するための基材には、細孔径をアレンジした支持層と表面層を積層した複層構造を採用しています。細孔径が均一な単層構造と比較して大幅に圧力損失が低い複層構造の基材上に分離層を形成することにより、高い透過量を実現します。

(6)膜面積が大きく処理量が大きい

直径180ミリメートル、全長1,000ミリメートルの円柱状のセラミック製基材を貫通するセルを約1,600本配置したハニカム(蜂の巣)状の構造のため、大きな処理量を確保できます。また管状構造の膜のように膜を束ねてモジュール化する必要がないため、部品点数も少なく、設備のコンパクト化やコストダウンが可能になります。

サブナノセラミック膜の構造

直径180ミリメートル、全長1,000ミリメートルの円柱状の多孔質セラミック製基材を貫通する約1,600本のセル内面に、1ナノ(10億分の1)メートル以下の細孔径を持つゼオライトなどからなる緻密な分離層を形成することで、分子レベルでの分離を実現します。分離層の種類を分離対象に応じて変更することで、細孔のサイズをコントロールし、分離したい分子を選択的に分離することが可能となります。

サブナノセラミック膜の外観と、断面の構造です。
サブナノ膜のカットモデルです。供給ガスは、分離層を透過した膜透過ガスが本体横のスリットから排出され、透過しなかったガスは奥の出口から排出されます。

日本ガイシのサブナノセラミック膜は、「分子の大きさの違い」や「吸着性の違い」を用いて特定の分子を分離します。例えば、分離層の細孔よりも大きな分子と小さな分子とが含まれる混合ガスの分離にサブナノセラミック膜を使用した場合、分離層の細孔よりも小さな分子が細孔を通り抜けることで、大きな分子のガスと小さな分子のガスを効率的に分離することができます。

分子の大きさの違いで特定の分子を透過させる分子ふるい効果の透過モデルです。
分子の吸着性の違いで特定の分子を透過させる親和性効果の透過モデルです。

関連製品

日本ガイシは細孔径の異なる各種セラミックフィルターを販売しています。

特集

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