

特集 AI×価値創造
生成AIで新規用途探索を高速化し、早期の新事業創出へ
進化を続ける生成AIは、新たな価値を創出するツールとして注目されています。
NGKグループでは業務効率化を推進するツールとして生成AIを利用するだけでなく、マーケティング分野でも生成AIを活用し、新たな価値創造の仕組みづくりに取り組んでいます。
生成AIと用途探索の現状
製造業では新規用途探索の手法として生成AIの活用が検討され始めています。例えば生成AIを使うと、既存製品や技術に関する膨大な文献データから用途候補を抽出し、有用な新規用途を迅速に見つけ出すことなどが可能です。これにより効率的にアイデアを生み出し、思ってもみなかった用途の探索が期待されています。
その一方でハルシネーション※や、個人情報や機密情報の流出リスクなど、生成AIの導入と活用には依然として多くの課題が存在します。
※ 人工知能が学習したデータからは正当化できないはずの回答を堂々とする現象
生成AIを活用したNGKグループの新規用途探索
NGKグループでは自然言語処理に特化したAIスタートアップ企業のストックマークと協業し、生成AIを活用して当社の製品や技術の新規用途探索を高精度化・高速化する実証実験を開始しました。実験は当社が保有する特許や論文を含む社内外文書と、ストックマークが独自に開発した大規模言語モデル「LLM(Large Language Model)※」を組み合わせて実施されます。
※ 大量のテキストデータを使ってAIが分析するモデル。ChatGPTなどのAIに使われており、自然言語を用いたさまざまな処理を高精度で行うことが可能
特徴1 ハルシネーションを抑制し、高精度な回答を効率的に提供
ストックマークが独自開発したLLMは最新の特許や論文、社会課題、ニュースなどの大量の外部情報を基に作成されたもので、ハルシネーションを抑制しつつ高い精度で回答することが可能です。このLLMと当社固有の社内文書などを、セキュリティが確保された環境で組み合わせて活用することで、当社が注目すべき新規用途先を高精度かつ効率良く抽出することができます。
特徴2 独自のナレッジグラフで、自社の強みを生かせる未開拓市場を効率的に検討
膨大なテキストデータから高精度かつ高速に新たな用途先を発見するためには、テキストデータの意味や関係性はもちろんのこと、社内固有の表現や社会課題などの社外情報も正しくAIに理解させることが重要です。
ストックマークが開発したナレッジグラフ※構築技術は単語の意味だけでなく、単語同士の関係性も理解し、関連する概念を含めて検索できるものです。この技術を活用することで、当社固有の製品・技術情報と外部情報の関係性を正確かつ高速で結び付けられます。これにより自社の強みを生かせる未開拓市場を効率的に検討することが可能となります。
※ 膨大なテキストデータから知識を抽出し、概念同士の関係をグラフ形式で表現する独自技術

新規用途抽出のイメージ

ニーズとシーズのマッチングで、新しい価値の発見へ
用途探索ではニーズ(社会課題)とシーズ(技術情報など、当社が保有するさまざまな情報)のマッチングが重要となります。タイムリーにニーズを収集する技術を持つストックマークのLLM技術と、当社のシーズをかけ合わせることで、これまで気付かなかった新しい価値を発見し、早期の新事業創出を図ります。
NGKグループは、2030年に新事業で売上高1,000億円以上を目指す「New Value 1000」に取り組んでいます。今後も当社の成長に資するテーマの開発に注力し、新製品・新事業の創出を進めていきます。