研究開発

NGKレビュー 58号

NGKレビュー 58号 (1999年12月)

NGKレビュー 58号

研究及び解説

1. ポリマーがい管の研究と開発
500kV級までの使用を想定したポリマーがい管の開発に成功した。本稿では、磁器製がい管同様、電力機器に装着する際の考慮すべきポリマーがい管の絶縁特性、機械的特性、その他の特性の調査結果について述べる。ポリマーがい管の特性を理解することで、適用に向けた検討の助けとなる。
2. 全面導電釉がいしの適用設計とフィールド実績
全面導電釉(SCG)がいしの研究開発を1960年代後半から開始しており、極めて優れた汚損耐電圧特性及びコロナ防止特性を有している。SCGがいし製品群は、330kNまでの高強度懸垂がいし、長幹がいし、ラインポストがいし、SPがいしを含めて設計されている。SCGがいしは、高い汚損耐電圧特性によりがいし連装置をコンパクトにできる有利さを有している。本稿では、SCGがいしの研究経緯、適用設計、長期性能及びフィールドでの適用実績について述べた。
3. ポリマーがいし用外被材料の劣化特性
ポリマーがいしは、軽い、装柱が容易、磁器がいしやガラスがいしよりも優れた汚損特性といった優れた特性を有しており、重汚損地区ではなく一般地区の架空送電線に数カ国で既に使用されている。シリコーンゴムは、低分子分の表面への滲み出しにより撥水性が回復するので、主に外被材料として使用される。これは、シリコーンゴムが長期間、優れた汚損性能を保持できることを意 味している。本稿では、外被材料(主にシリコーンゴム)の劣化特性と外被材 料選定の指針について述べる。
4. 地絡無停電切替シムテムの開発
本稿では、配電線の地絡事故時に健全区間を停電させることなく、事故区間を切り離す無停電切替システムについて述べる。このシステムの大きな特長は、既設のメタルペアケーブルを有効に活用し、その伝送速度が1200bpsと比較的低速にもかかわらず、健全区間の無停電切替から事故区間の切り離しまでが可能なことである。
5. 静止型無効電力補償装置の適用効果
配電線の系統電圧は、負荷の変化や瞬時的な電圧低下やフリッカに起因する負荷の瞬時変化により、常に変化している。既存の電圧調整器では、このような瞬時の状況変化に対応する様には設計されていないので、緩やかな電圧低下同様に、瞬時的な電圧低下に対処するために、パワーエレクトロニクス技術を応用した 2つのタイプの無効電力補償装置(SVGとTSC)を開発した。SVGは高速性と柔軟性で優れており、分散電源や風力発電などに適用されてきている。本稿では、SVGの設計、性能、適用効果について述べる。

テクニカル・ダイジェスト

  • 試験所認定制度と電力技術研究所

グラフィックニュース

  • 500kVがいし装置の100kA級耐アーク試験
  • 代替ハロン(イナージェン)ガス消化システム