製品情報
NAS電池とは
NAS電池は日本ガイシが世界で初めて実用化したメガワット級の電力貯蔵システムです。大容量、高エネルギー密度、長寿命を特長とし、鉛蓄電池の約3分の1のコンパクトサイズで、長期にわたって安定した電力供給が可能。電力負荷平準によるピークカット、再生可能エネルギーの安定化に役立ち、節電対策やエネルギーコスト削減、環境負荷低減に貢献します。またNAS電池は、定置用蓄電池の世界的な安全規格UL1973のUL認証を取得※するなど、安全性に配慮した製品設計をおこなっています。
NAS電池は、負極(マイナス極)にナトリウム(Na)、正極(プラス極)に硫黄(S)、両電極を隔てる電解質にファインセラミックスを用いて、硫黄とナトリウムイオンの化学反応で充放電を繰り返す蓄電池(二次電池)です。
昼夜間などの電力需要の格差を解決する手段としてナトリウム硫黄電池の原理に着目した東京電力と共同で研究開発しました。
- ※対象はコンテナ型NAS電池(および搭載される単電池・モジュール)
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特長
大容量
高出力、長時間の電力貯蔵に適した電池です。
コンパクト
エネルギー密度が高く、コンパクトな配置が可能です。
応答性
太陽光・風力発電の秒オーダーの急速な変動にも遅れなく応答、ミリ秒単位のレスポンスで施設を守ります。
信頼性
定置型蓄電池で多数の実績を持つNAS電池、徹底した品質管理を行っています。
安全性
多重防護思想に基づく安全設計と工程管理、運転時のフェールセーフシステムがバックボーン。評価機関の認証も得ています。
保守・運用管理
自動制御システムと遠隔監視サービスにより、お客さまの日常的な負担をミニマムにします。
短工期
電池本体を工場で組込んだコンテナを一体輸送、現地工事期間を大幅に短縮します。
長寿命(コンテナタイプ)
期待寿命は、20年間もしくは7,300サイクルのいずれか早い方です。※
NAS電池(コンテナタイプ)の期待寿命は、「20年間もしくは7,300サイクル(電池の全容量を充放電して1サイクル)のいずれか早い方」ですが、日本では国内規制により「15年間もしくは4,500サイクルのいずれか早い方」で運用しています。当社は、日本国内にて上記の期待寿命の適用に向けて取り組んでおり、適用準備が整い次第、当社HP等でアナウンスいたします。
製品概要
ピークカット
- 常時は、ピークカットにより契約電力を下げ、基本料金を低減します。
- 昼・夜間電力量料金の差分により、料金低減も可能です。
非常電源
非常電源兼用システム
- 停電発生時に重要負荷のバックアップが可能です。
- 排ガスフリーで、手間のかかる燃料補給もいりません。
- 可動部品が少なく、メンテナンスが容易です。
再生可能エネルギーの安定化
化石燃料に頼らず二酸化炭素(CO2)も排出しない再生可能エネルギーが注目を集めています。風力や太陽光は無尽蔵でクリーンな資源。しかし、気象に左右される不安定なエネルギーでもあります。この出力の変動をNAS電池による充放電で吸収し、電力供給を安定化させることができます。
構造・原理
NAS電池は負極にナトリウム(Na)、正極に硫黄(S)、両電極を隔てる電解質にファインセラミックスを用いた蓄電池(二次電池)です。NaイオンとSの化学反応で充放電を繰り返します。
単電池構造(セル構造)
NAS電池の単電池(セル)は円筒状の完全密封構造。活物質としてのナトリウム(Na)と硫黄(S)、電解質のファインセラミックスで構成されています。Naは負極活物質、Sは正極活物質。300℃に保たれたセル中で、NaとSは液体、電解質は固体の状態です。固体電解質のセラミック材料はNaイオン伝導性のあるベータアルミナを使用しています。
動作原理
放電時
負極のナトリウム(Na)が電子を放出してナトリウムイオン(Naイオン)になり、固体電解質を通過して正極に移動します。正極の硫黄(S)が外部回路からの電子でNaイオンと化学反応し、多硫化ナトリウム(Na2Sx)に変化します。負極のNaは消費されて減少します。
負極から外部回路に放出されて正極に移動する電子の流れが電力になります。
充電時
外部からの電力供給によって放電の逆反応が起こります。
外部から電圧が加わると、正極のNa2SxはNaイオン、S、電子に分かれます。Naイオンは固体電解質を通過して負極に移動します。Naイオンは負極で電子を受け取ってNaに戻ります。
安全性
NAS電池は、世界的な第三者安全科学機関であるUL Solutionsによる評価プログラムを通じ、定置用蓄電池の安全規格UL1973のUL認証(単電池・モジュール)を取得しています。また、バッテリーおよび蓄電池システム内の火災リスクを検証する試験規格であるUL9540A規格に基づく試験レポート(単電池・モジュール・設置レベル)を取得し、UL9540A規格に基づく要件への準拠を確認しています。※
- ※対象はコンテナ型NAS電池(および搭載される単電池・モジュール)
安全性能確認試験
外部加熱
水没放置
落下
外部短絡
開発から事業化まで
日本ガイシは1984年から東京電力と共同で、NAS電池用固体電解質の開発を開始。1989年からは研究範囲をNAS電池の開発に拡大しました。
NAS電池の原理は、1967年にアメリカのフォードモーターが発表したものです。電気自動車の電源用としてフォードやドイツのABBなどが、また電力貯蔵用としてアメリカのGEなどが開発に取り組みました。日本では国主導のサンシャイン計画、ムーンライト計画の中で電気自動車用と電力貯蔵用のNAS電池開発が進められました。
民間として開発を進めてきた日本ガイシと東京電力は、長期性能と安全性の確立に成功。2002年に事業化し、2003年から世界で初めて量産を開始しました。
- ※「NAS」は日本ガイシ株式会社の登録商標です。
NAS電池に関するお問い合わせ
エナジーストレージ事業部 営業部
- 03-6213-8932 FAX:03-6213-8963