製品情報

モルディブ共和国の実証プロジェクト向けにNAS電池を受注
海水淡水化システムの脱炭素化に貢献

2023年07月19日

日本ガイシ株式会社(社長:小林茂、本社:名古屋市)はドイツの総合化学メーカーBASFの子会社であるBASF Stationary Energy Storage GmbH(本社:独ルートヴィッヒスハーフェン、以下BSES)を通じて、日立造船株式会社 (本社:大阪市)が主導するモルディブ共和国の脱炭素型海水淡水化システムの実証プロジェクト向けにNAS電池を受注しました。

コンテナ型NAS電池

 NAS電池は、環境省の公募事業「コ・イノベーションによる脱炭素技術創出・普及事業」※1で日立造船が採択された「モルディブ国における太陽光発電とNAS蓄電池を用いた脱炭素型海水淡水化システムの実証」で使用されます。実証では、モルディブ共和国のガルヒファルフ島で太陽光を利用した温室効果ガスを排出しない脱炭素型海水淡水化システムの構築を目指す計画で、NAS電池の耐環境性や、これまでの国内外でのオフグリッド※2・離島マイクログリッド※3における運用実績などが高く評価され、このたびの採用が決定しました。

 インド洋の島しょ国であるモルディブ共和国は、温暖化に伴う海面上昇による国土消失の懸念から、2030年までのネットゼロ達成を目指しており、太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギー導入を加速しています。同国では、離島での淡水(真水)の確保に不可欠な海水淡水化装置の電源についても2030年までに30%を再エネ由来とすることが義務づけられていますが、現在は主にディーゼル発電が利用されているため、本実証を通じて本格的な再エネ導入を検討する予定です。NAS電池の大容量で長時間放電できるという特長を生かし、太陽光発電設備で発電した余剰電力をNAS電池に蓄え、曇天時や夜間にも電力を供給することで、再エネの有効活用が可能になります。どの島でも得られる太陽光を利用した、脱炭素型海水淡水化システムの安定稼働を通じ、モルディブ共和国全体のカーボンニュートラル化に貢献します。

 日本ガイシとBSESは、2019年にNAS電池の販売提携契約を締結し、BASFの有する世界的な販売網を通じてNAS電池の販売を拡大してきました。NAS電池は、再エネの安定化や電力需給バランスの調整、非常用電源などさまざまな用途で利用されており、これまでの設置実績は全世界で250カ所以上に及んでいます。当社は今後もBSESと連携し、NAS電池の提案・販売活動をさらに推進し、世界の再エネ導入拡大とカーボンニュートラルの実現に貢献していきます。

受注したNAS電池の概要

設置場所 ガルヒファルフ島(モルディブ共和国)
出力 直流 250キロワット(最大出力)
容量 直流 1,450キロワット時(納入時)
設置台数 コンテナ型1台
用途 脱炭素型海水淡水化システムの実証プロジェクトにおける再エネ安定化
運転開始 2024年7月(予定)


BASF Stationary Energy Storage GmbH(BSES)について

BASF Stationary Energy Storage GmbH(BSES)は、BASF社の100%子会社です。NAS電池事業の探索・開拓を専門的に担い、NAS電池の販売および次世代ナトリウム硫黄電池を日本ガイシと共同研究しています。

NAS電池について

 NAS電池は日本ガイシが世界で初めて実用化したメガワット級の大容量蓄電池です。大容量、高エネルギー密度(コンパクト)、長寿命を特長とし、長期にわたり高出力の電力を長時間、安定して供給することが可能です。全世界で250カ所以上、総出力72万キロワット(720メガワット)・ 総容量約500万キロワット時(約5,000メガワット時)の設置実績を持ち、電力負荷平準によるピークカットや非常電源用途のほか、再生可能エネルギーの安定化やスマートグリッドの構築など、さまざまな用途で利用されており、環境負荷の低減、カーボンニュートラルの実現に貢献しています。

 NAS電池は、世界的な第三者安全科学機関であるUL Solutionsによる評価プログラムを通じ、定置用蓄電池の安全規格UL1973のUL認証(単電池・モジュール)を取得しています。また、バッテリーおよび蓄電池システム内の火災リスクを検証する試験規格であるUL9540A規格に基づく試験レポート(単電池・モジュール・設置レベル)を取得し、UL9540A規格に基づく要件への準拠を確認しています※4

NAS電池製品情報

  • ※1コ・イノベーションによる脱炭素技術創出・普及事業:日本と相手国の協働を通じて、双方に裨益のあるイノベーション(コ・イノベーション)を創出することにより、相手国におけるエネルギー起源CO2の排出抑制のために、相手国ごとの特性に応じた質の高い脱炭素技術のリノベーションおよび実証を実施する事業に対し、環境省が補助金を交付する事業。
    「モルディブ国における太陽光発電とNAS蓄電池を用いた脱炭素型海水淡水化システムの実証」
  • ※2オフグリッド:電力会社などの送電網につながっていない状態のこと。
  • ※3マイクログリッド:地域内の蓄電設備や再生可能エネルギーなどによって電力を地産地消する仕組み。
  • ※4コンテナ型NAS電池(および搭載される単電池・モジュール)を対象としています。

以上

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