製品情報
韓国電力公社の実証プロジェクト向けNAS電池が運転を開始
BASFと連携し再エネ用途などの提案を加速
2023年05月15日
日本ガイシ株式会社(社長:小林茂、本社:名古屋市)がドイツの総合化学メーカーBASFの子会社であるBASF Stationary Energy Storage GmbH(本社:独ルートヴィッヒスハーフェン、以下BSES)から受注し、韓国の電力システムメーカーのG-Philos(本社:韓国京畿道)向けに納入した電力貯蔵用NAS電池がこのほど、運転を開始しました。
NAS電池(1)は、最大出力1,000キロワット、容量5,800キロワット時で、韓国電力公社(KEPCO)の羅州市にある実証試験場で定置用大型蓄電池の性能を比較する実証プロジェクトに使用されます。KEPCOでは、韓国国内の再生可能エネルギー利用拡大に向け蓄電池の導入を推進しており、本実証プロジェクトの結果により韓国での大型蓄電池の性能基準が策定される予定です。大容量で長時間放電でき耐久性が高いNAS電池は、変動の大きい再エネの安定化用途の豊富な使用実績による高い信頼性や、世界的な第三者安全科学機関であるUL Solutionsによる認証・試験レポートを取得していることなどが高く評価され、このたびの採用が決定しました。
G-Philosには2020年にも、韓国中部発電(KOMIPO)が済州島の上明風力発電所で実施した韓国初のP2G(パワー・ツー・ガス)※実証プロジェクト向けにNAS電池(2)を納入しています。NAS電池は、風力発電の余剰電力を充放電する蓄電池として使用され、水素製造設備に安定的に電力供給することで、変動の大きい風力発電に影響されないグリーン水素の製造を実現しました。NAS電池は、安全性の高さから水素製造設備に近接して設置可能な蓄電池としてP2G用途に適していると評価されており、G-Philosと韓国エネルギー技術研究院(KIER)が2024年に実施するP2G実証プロジェクト向けにも最大出力2,000キロワット、容量11,600キロワット時規模のNAS電池(3)を納入する予定です。実証プロジェクトでは、風力発電を活用した安定的な水素製造のためのバックアップ電源として使用される見込みです。
日本ガイシとBSESは、2019年にNAS電池の販売提携契約を締結し、BASFの有する世界的な販売網を通じて、NAS電池の販売を拡大してきました。NAS電池は、再エネの安定化や電力需給バランスの調整、非常用電源などさまざまな用途で利用されており、現在までに全世界で250カ所以上、20年以上の安定的な運用実績があります。当社は今後もBSESと連携し、NAS電池の提案・販売活動をさらに推進し、世界の再エネ導入拡大とカーボンニュートラルの実現に貢献していきます。
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※P2G(パワー・ツー・ガス):風力発電や太陽光発電などから生み出される余剰電力を水素などの気体燃料に変換し貯蔵・利用する方法
納入したNAS電池の概要
(1)KEPCOによる定置用大型蓄電池性能比較実証プロジェクト
設置場所 | KEPCO実証試験場(韓国全羅南道羅州市) |
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出力 | 直流 1,000キロワット(最大出力) |
容量 | 直流 5,800キロワット時(納入時) |
設置台数 | コンテナ型4台 |
用途 | 定置用大型蓄電池の性能比較 |
運転開始 | 2023年4月 |
(2)KOMIPOによるP2G実証プロジェクト
設置場所 | 上明風力発電所(韓国済州島) |
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出力 | 直流 208キロワット |
容量 | 直流 1,250キロワット時 |
設置台数 | コンテナ型1台 |
用途 | P2Gでの風力発電と水素製造設備の電力安定化 |
運転開始 | 2020年8月 |
(3)KIERによるP2G実証プロジェクト
設置場所 | 韓国三陟市内(予定) |
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出力 | 直流 2,000キロワット(最大出力) |
容量 | 直流 11,600キロワット時(納入時) |
設置台数 | コンテナ型8台 |
用途 | P2G実証での風力発電と水素製造設備の電力安定化 |
運転開始 | 2024年12月(予定) |
BASF Stationary Energy Storage GmbH(BSES)について
BASF Stationary Energy Storage GmbH(BSES)は、BASF社の100%子会社です。NAS電池事業の探索・開拓を専門的に担い、NAS電池の販売および次世代ナトリウム硫黄電池を日本ガイシと共同研究しています。
NAS電池について
NAS電池は日本ガイシが世界で初めて実用化したメガワット級の大容量蓄電池です。大容量、高エネルギー密度(コンパクト)、長寿命を特長とし、長期にわたり高出力の電力を長時間、安定して供給することが可能です。全世界で250カ所以上、総出力72万キロワット(720メガワット)・ 総容量約500万キロワット時(約5,000メガワット時)の設置実績を持ち、電力負荷平準によるピークカットや非常電源用途のほか、再生可能エネルギーの安定化やスマートグリッドの構築など、さまざまな用途で利用されており、環境負荷の低減、カーボンニュートラルの実現に貢献しています。
NAS電池は、世界的な第三者安全科学機関であるUL Solutionsによる評価プログラムを通じ、定置用蓄電池の安全規格UL1973のUL認証(単電池・モジュール)を取得しています。また、バッテリーおよび蓄電池システム内の火災リスクを検証する試験規格であるUL9540A規格に基づく試験レポート(単電池・モジュール・設置レベル)を取得し、UL9540A規格に基づく要件への準拠を確認しています※。
- ※コンテナ型NAS電池(及び搭載される単電池・モジュール)を対象としています。
以上