製品情報
JAXA美笹深宇宙探査用地上局向けNAS電池が運転開始
BCP対策と電力の安定化に貢献
2022年12月21日
日本ガイシ株式会社(社長:小林茂、本社:名古屋市)が株式会社明電舎(本社:
品川区)から受注し、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の美笹深宇宙探査用地上局(MDSS、長野県佐久市)に納入した電力貯蔵用NAS電池が運転を開始しました。
MDSSは、世界でも有数のサイズを誇る大型アンテナにより宇宙探査機と通信を行うための地上局です。小惑星探査機「はやぶさ2」のほか、米航空宇宙局(NASA)や欧州宇宙機関(ESA)の宇宙探査機の追尾のさらなる信頼性向上を目的に、非常用電源の整備などのBCP(事業継続計画)に向けた取り組みが進められています。大容量を特徴とするNAS電池は、JAXA種子島宇宙センターでの設置実績があり、容量(放電時間)、耐環境性、ライフサイクルコストが高く評価され、このたびの採用が決定しました。
NAS電池は以下の用途で使用されます。
1.停電時の非常用電源
MDSSは山奥に位置しているため、送電線の事故などが発生した際は復旧まで時間がかかる場合があります。万が一停電が発生した際には、非常用電源としてNAS電池から大型アンテナなどの重要設備に電力を供給することで、宇宙探査機との通信途絶を防ぎます。近年激甚化する自然災害などの非常時の対応力強化を図ります。
2.瞬時電圧低下対策
落雷などの影響により瞬間的に電圧が低下し、電力の安定供給に影響を及ぼす瞬時電圧低下(瞬低)が発生した際のバックアップとしてNAS電池を利用します。瞬低による設備トラブルを回避し、安定した施設運用に寄与します。
3.電力の負荷平準化
電力消費が少ない夜間などにNAS電池に充電した電力を、昼間などの電力消費が多い時間帯に放電することで施設内の電力の負荷を平準化し、契約電力を抑えることができます。
NAS電池は大容量で長時間放電できるため、非常用電源や電力需給バランスの調整、再エネの安定化などさまざまな用途で利用されており、現在までの設置実績は全世界で250カ所以上に及びます。当社は今後も、豊富な実績を持つ大容量蓄電池としてNAS電池の提案・販売活動をさらに推進し、BCP対策の強化、電力の安定供給に貢献していきます。
納入したNAS電池の概要
設置場所 | 美笹深宇宙探査用地上局(長野県佐久市前山) |
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定格出力 | 1,200キロワット |
定格容量 | 8,640キロワット時 |
用途 | 非常用電源、瞬低対策、負荷平準化 |
運転開始 | 2022年12月15日 |
NAS電池製品情報
JAXAホームページ:NAS電池の据付試験状況(美笹深宇宙探査用地上局)
以上