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CO2分離・回収用大型セラミック膜が原油随伴ガスからのCO2分離・回収実証試験に採用
2019年02月25日
日本ガイシ株式会社(社長:大島卓、本社:名古屋市)の開発したDDR型ゼオライト膜が、独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と日揮株式会社(本社:横浜市)が共同で米国の油田で行う「DDR膜によるCO2分離回収技術のフィールド実証試験」に採用されました。DDR型ゼオライト膜は二酸化炭素(CO2)とメタンガス(CH4)を高圧かつ高CO2濃度下でも効率的に分離できる大型のセラミック膜で、原油随伴ガスからのCO2分離・回収用途に適用されるのは世界で初めてです。
DDR型ゼオライト膜は、1ナノ(10億分の1)メートル以下の細孔径を持ち、分子レベルの分離が可能な世界最大級のセラミック製分離膜です。直径180ミリメートル、全長1000ミリメートルの円柱状のセラミック製基材を貫通する内径2.4ミリメートルのセル約1600本を配置したハニカム(蜂の巣)状の構造で、CO2を選択的に透過するDDR型ゼオライトの薄膜を全てのセル内面に形成しています。膜1本当たりの膜面積は12平方メートルです。
ゼオライトは多孔性の結晶性アルミノケイ酸塩の総称で、多くの種類があります。DDRはその1種で、0.36ナノメートル×0.44ナノメートルの楕円形の細孔を持つ構造が特徴です。細孔の短径(0.36ナノメートル)は、CO2(0.33ナノメートル)より大きく、CH4(0.38ナノメートル)より小さいため、DDR型ゼオライト膜にCO2とCH4の混合ガスを供給すると、CO2だけを透過させることで効率的に分離できます。
当社は2001年から浄水用途向けに細孔径が0.1マイクロ(100万分の1)メートルで直径180ミリメートル、全長1000~1500ミリメートルの円柱状一体型のセラミック膜を製造・販売しています。その製造技術をベースにDDR型ゼオライト膜の大型化に成功しました。他の管状構造のゼオライト膜に比べ1本当たりの膜面積が大きいため、設備のコンパクト化やコストダウンが可能になります。
CO2分離膜としては現在、高分子膜がありますが、高圧かつ高CO2濃度下では分離性能が低下しやすいという欠点があります。当社が開発したDDR型ゼオライト膜は、高圧(80気圧)かつ高CO2濃度下でも、高いCO2分離性能を維持できるほか、耐熱性に優れ、高温下での使用も可能です。
当社は日揮と共同で2008年から、DDR型ゼオライト膜を用いた天然ガス精製時のCO2除去プロセスの開発を進めており、このたびのJOGMECと日揮の原油生産時の随伴ガスからのCO2分離・回収に関する共同事業においても、DDR型ゼオライト膜を用いたプロセスの実証試験を実施することが決まりました。実証試験は2019年2月から試験設備の設計・建設を開始し、設備完成後、約1年間行われる予定です。
<DDR型ゼオライト膜の特長>
・膜1本当たりの膜面積が大きく設備全体のコンパクト化が可能
・高CO2濃度下でも高いCO2分離性能を維持
・耐圧性に優れ高圧(~80気圧)での使用も可能
・耐熱性に優れ高温での使用も可能
<DDR型ゼオライト膜の用途>
・原油生産時の随伴ガスからのCO2分離・回収
・天然ガス精製時のCO2除去
<実証試験の概要>
名称:
「DDR膜によるCO2分離回収技術のフィールド実証試験」
実施者:
JOGMECと日揮による共同事業
場所:
アメリカ合衆国テキサス州
対象ガス:
原油生産時の随伴ガス
内容:
DDR型ゼオライト膜を用いたCO2分離・回収設備(随伴ガス処理能力:日量3百万立方フィート)の最適化検討と性能実証
今後の計画:
2019年2月より試験設備の設計・建設を開始し、設備完成後、約1年間の実証試験を行う
※当社は日揮とDDR型ゼオライト膜を用いたCO2分離・回収プロセスを共同開発
【参考サイト】 日揮株式会社「DDR型ゼオライト膜によるCO2分離・回収プロセスの実証試験を開始」
以上