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投資家の皆様へ

来るべき創立100周年に向けて
他社には追随できない独自のセラミック技術が、成長の源泉

日本ガイシは2019年5月、創立100周年を迎えます。がいしの製造から出発し、自動車関連や電子部品、半導体製造装置などへフィールドを拡大し続ける中で、当社は常に、セラミックスのさまざまな技術を磨き続けてきました。当社の歴史は、技術の歴史でもあります。
そして今、拡大する需要に応えるとともに、新たな事業の芽を育てるため、創立以来の大規模投資に踏み切っています。独自の技術から生まれた製品をより多くの人々に届け、さらなる成長を実現するために、99年目となる2018年度は、社員一丸となって成すべきことをやり遂げていきたいと思います。

材料技術と生産技術の蓄積で、差別化要素を育てる

当社は創立以来、一貫してセラミック技術を育み、中でも材料技術、特に結晶の形状や性質などを細かく制御する技術を一番の強みとしてきました。長い歴史の中、今までにない技術や知見を生み出し続け、その膨大な蓄積が当社の成長のベースとなっています。

また、これらの技術を生かすための独自の生産技術開発も必要であり、現在の主力製品は全てこの両輪から生まれてきました。最初は手作りから始まり、次に大量生産に適した量産技術を開発し、他社には追随できない差別化要素へと育てていく力。当社にはそのような力が育っており、成長の源泉となってきました。

技術を育て続ける粘り強さも、当社の強みに挙げられます。NOxセンサー需要が開花したのは米国規制向けの需要が本格化した2010年のことでしたが、それまでの開発には15年以上を要しました。プロジェクターなどに搭載するレーザー光源に用いる窒化ガリウムウエハーも、開発に10年以上をかけています。

技術が出来上がっても、タイムリーに需要が発生しているとは限りません。一方で、会社としては利益を出さなくてはなりません。難しいところではありますが、それでも将来本当に必要となるものを社会に供給していく、時間がかかってもコツコツと育てていく、という使命感が、当社にはあります。

新しい技術を使って収益を拡大し、それを新たな製品開発に投資していくという流れが、これまで当社の成長を支えてきました。かつては、がいしの利益で自動車関連製品を開発しました。そして、現在は自動車関連の収益をベースに半導体関連製品が伸長してきました。この循環をうまく保つことが、会社を成長軌道に乗せるためには非常に重要です。

そのために掲げたのが、売上高に占める新製品比率を5年間かけて30%に高める「2017 Challenge 30」という全社目標です。2017年度に達成し、現在は比率の維持を目指す「Keep up 30」に取り組んでいます。売上高が伸びれば比率の維持はより難しくなり、中には市場に受け入れられない製品も出てくるでしょうが、新製品開発にはこれからも挑戦し続けます。

3,000億円超の投資
自動車・半導体製造装置関連の増産に向け、世界7拠点で大型設備投資を実施

強みの技術を成長へとつなげるために、当社は昨年度に引き続き向こう3年間で3,000億円を超える投資を進めています。

そのうち半分近くを自動車関連が占め、国内外の工場新設や、既存工場の設備増設を行います。半導体製造装置関連には約500億円を投じ、残りはセラミックス電池をはじめとした新製品の開発投資や、育ってきた新製品の生産ライン増設に使います。

欧州ではすでに、NGKセラミックスポーランドの生産設備を増強して増産体制に入ったほか、中国でもNGK(蘇州)環保陶瓷の第2工場が、2019年12月に生産開始予定です。タイでは今春から、NGKセラミックスタイランドの新工場が操業を始めました。自動車排ガス浄化用セラミックスなどの自動車関連の工場です。日本では、石川県能美市のNGKセラミックデバイス石川工場で、2019年1月からの生産増強に向けてNOxセンサーの増産投資を実施しています。

また、今は半導体製造装置用製品の需要急伸に供給能力が対応できていないので、岐阜県多治見市に新生産拠点の建設を急ぐ一方、既存の小牧工場や知多工場にも設備投資を行い、生産能力の向上を図っています。

新製品開発
セラミックス電池3種とオプト部材2種を事業化へ

一方、新製品の開発においては、3種類のセラミックス電池の事業化に取り組んでいます。1つはチップ型セラミックス二次電池です。切手大で厚さ0.4ミリの超薄型ながら、独自の結晶配向技術により、高エネルギー密度を実現しました。超小型無線センサー付きIoTモジュールや、高セキュリティな指紋認証付き次世代クレジットカードなどの内蔵電池としての用途を想定しています。

また、亜鉛二次電池の開発も進めています。亜鉛は一次電池の電極として広く使われていますが、充電を繰り返すとショートを起こすために充電可能な二次電池としては利用されていませんでした。当社は、独自開発の「水酸化物イオン伝導性セラミックス」を用いることで二次電池化を実現しました。高容量であり、リチウムイオン電池とは違い水系電解液を用いるため安全性が高く、屋内設置に向いています。

3つ目は固体酸化物形燃料電池(SOFC)モジュールで、都市ガスなどから水素を取り出し、発電に用います。全てにセラミックスを採用した独自設計により、高い発電効率と耐久性を両立しています。

このほか、「オプト部材プロジェクト」という開発計画からは2つの新製品が生まれ、2017年度に事業化しました。

その1つの窒化ガリウムウエハーは、従来の水銀灯に代わる代替技術としてこれまでにない超高輝度を実現するプロジェクター光源のベース基板として、また、紫外LED用マイクロレンズは、殺菌用紫外LEDの照射範囲を絞り、殺菌効率を高めるための技術として用いられます。

事業の展望
かつてない成長期、需要に応えつつ新製品や技術を開発

過去に例のないほどの大規模投資を行っている背景には、自動車関連製品や半導体製造装置関連の需要の急拡大があります。またAIや自動運転などの技術進化を通じ、従来にはなかったような事業領域も新たに生まれつつあります。当社はかつてない成長期にあり、今こそ、既存事業の生産性向上と増産でしっかり利益を出し、次につながる製品を開発していくべき時です。

新たな芽を育てるためには、今後は何が伸びるのか、世界が変わる時に必要なものは何かを探索し続けることが求められます。先に申し上げた新たな事業領域であれば、ITで用いられる制御回路形成のベースとなる基板などです。この分野での探索や技術開発はかなり積極的に行っており、そのほかにもセラミックスに関しては、いろいろなことを試しています。

また、2017年には欧州や中国で、EV普及を目指した政策転換方針が公表されましたが、当社は、ガソリン車やディーゼル車の需要は2020年代半ばまでは増加し続けるものと見ており、今後もそれらに向けた供給力は確保せねばならないと考えています。

EVが本格普及するには、電池の面だけ見ても相当問題があると思います。今のリチウムイオン二次電池には、原材料調達にも耐久性にも難があり、安全性や性能に優れる全固体電池の開発を各社とも目指しているものの、熱への耐久性などにはまだまだ多くの課題があります。開発から評価までにも時間がかかるため、2020年に開発できたとしても、実用化は2020年代半ばになるのではないでしょうか。それまではガソリン車やディーゼル車への需要は増え続けると考えます。

むしろ需要がしばらく伸びるからこそ、排ガスをよりクリーンにしていく研究が必要です。そのために現在、エンジン起動時に排出物が多く出る「コールドスタート」の改善に取り組んでいます。エンジン起動前に電気であらかじめ触媒を温めておくことで、コールドスタート時の排出物を減らすというもので、そういうフィールドへもビジネスを伸ばしていけば、事業拡大の余地はまだまだあります。

次の100年に向かって
やるべきことは決まっていて、あとはいかに成し遂げるか

かつてない急成長期を迎えた今、当社グループには、まだまだ右肩上がりになるような要素やチャンスがたくさんあります。チャンスを無駄にせず、きちんとものにしていくことが、次の100年につなげるためには欠かせません。

私は社内で、今年の一文字は「遂」だと話しています。100周年を迎える準備を、今年度中に確実にやり遂げるという意味です。

設備投資を完遂する。マーケットのニーズに応えていく。チャレンジングではあれ、やるべきことは明確です。「遂」の精神で一つひとつを実行に移し、これからの100年に向けた持続可能な成長の礎にしたいと思います。

日本ガイシ株式会社
代表取締役社長
大島卓