IR情報

財務メッセージ

ビジョン達成に向け、成長分野に経営資源を投入

NGKグループの財務を預かる者として、資金調達や事業ポートフォリオ管理、IR活動などを通じて、「NGKグループビジョン」の達成に向け経営を推進していきます。

取締役常務執行役員 神藤 英明の写真です。
取締役常務執行役員 神藤 英明

財務責任者の役割

企業価値向上に資する資本政策を展開

財務の責任者としての私の役割は、資本政策を立案し、株主・投資家との透明で適切なコミュニケーションを通じて資本コストを引き下げるとともに、資本コストを上回る収益性を確保できるよう意思決定のプロセスを回していくことです。ROE(自己資本利益率)を主要な経営指標とし、10%を中長期的な水準として意識しています。社内ではこれと関連性の高いNGK版ROIC(投下資本利益率)を管理指標に採用して、資本効率を重視した経営を推進しています。

財務面で経営トップをサポートしつつ、けん制機能も意識して発揮していきます。

NGKグループビジョン達成に向けて

新分野の設備投資や研究開発に重点投資

過去5年の設備投資からは、継続的なリターンが得られる見通しです。そのフリー・キャッシュ・フローをNGKグループビジョンで取り組むカーボンニュートラル、デジタル社会両分野の設備投資や研究開発に重点的に投資し、通過点として2030年の新事業化品※1売上高1,000億円を達成します。

しかし、新事業を軌道に乗せるには売り方やマーケットの創出などの課題があり、売上高1,000億円ともなるとかなりハードルは高くなります。2021年度から、カーボンニュートラル製品を第三の柱に育てていくためのプロジェクト組織を新設しており、このような分野に資源を投入していくことが重要です。

※1 今後新たに事業化するものおよび現時点でごく小規模のもの

売上高
営業利益と営業利益率

主要指標について

NGK版ROICを管理指標に

売上高、営業利益、当期純利益、ROE、NGK版ROIC(投下資本利益率)の5つを重要な管理指標として見なしています。営業利益は事業の成果であり、成長分野へのインプット、ステークホルダーへの還元、内部留保の元となるものです。売上高は成長を図る尺度となり、ROEは外部指標、ROICは内部指標として活用できると評価しています。

NGK版ROIC = 営業利益 ÷ 事業資産

NGK版ROICの特長は、事業部の業績と直結するよう、また事業部が管理できるよう、投下資本の代わりに事業資産(売掛債権、棚卸資産、固定資産)、税引後営業利益の代わりに営業利益を用いていることです。

NGKグループの事業は資本集約度の高いプロセス型産業で、収益性は高い反面、資産の回転率が0.5回前後と低い。設備投資の重さが競合に対する参入障壁となっていますが、資産が過大となって低効率になっていないかといった点に焦点を当て、2016年からこの指標を使っています。事業部別のバランスシートでは、棚卸資産や固定資産を適正化するために目標を定めて実績をフォローしており、年2回の予算会議においては、在庫圧縮や投資効率性について、事業の責任者が社長に直接説明するケースもあります。

さらに2021年度からはROICツリーによる管理を始め、売上高原価率、販管費率、在庫・売掛債権保有月数などを事業部単位まで落とし込んで展開し、事業の改善につながるようにしました。

2021年度のNGK版ROICの目標値は、全社で12%に設定しました。税費用を考慮すると、12%なければROE10%が達成できないためです。この水準を上回らないと投資家が求める収益水準には至らないことを社内で説明しています。

2021年度の業績については、自動車関連製品を中心にコロナ禍から需要が回復してきていること、がいしやパッケージ製品も黒字化を見込んでおり、収益性は大きく改善する見通しです。また、固定資産の減損や事業のリストラクチャリングに目途がつき、設備投資も一服したので、今後は減価償却費の増加も緩やかになっていきます。効率面でも在庫を圧縮しつつ、財務レバレッジを0.4程度に維持して、ROE10%以上の水準を達成していきます。

親会社株主に帰属する当期純利益と自己資本利益率(ROE)
NGK版ROIC(投下資本利益率)

資本政策・財務戦略

健全性を重視し最低でも格付A+を維持

貸借対照表上の負債資本構成については、DEレシオ0.4程度を目途としています。債券格付けを最低でもA+で維持できるよう、自己資本比率50%以上をキープするためです。現在、借入金のコストは資本コストと比較し安いですが、増やすほどに財務の安定性が損なわれることから、資本効率と財務の健全性を両立させる妥当な水準であると考えています。

資金調達にあたっては、将来キャッシュ・フローを3年先程度まで予測しながら、タイミングや金額、期間を考えており、経済的なコストを優先し、返済のタイミングが重ならないよう長期、短期と分散して調達していきます。

このほか、ネットDEレシオ※2も重視しています。過去のNAS電池の火災や競争法違反の件などでキャッシュアウトがあったほか、積極的な設備投資を行ったこともあり、過去10年間で3,050億円の借り入れを実施しました。2021年3月末にはネットキャッシュが978億円のマイナス、有利子負債残高は2,642億円となりました。ネットキャッシュをプラスに持っていくべく、キャッシュ・フローを重点的に管理しています。

NGKグループビジョンでは今後10年間で3,000億円を研究開発に投じる計画を打ち出しましたが、事業から得られるキャッシュ・フローの中で賄えます。有利子負債の返済と同程度の借り入れをしながら、DEレシオを維持していく方針です。

※2 ネットDEレシオ=(前期末有利子負債-前期末現金同等物)÷前期末自己資本×100

総資産と純資産、DEレシオ
設備投資額と減価償却費

株主還元とIR

投資家とのコミュニケーションで資本コストを下げる

利益還元方針については、直接的な株主還元として連結配当性向で30%程度を中期的な目標としています。特別損益や税負担によっても年度毎に純利益は変動することから、3年の移動平均で見ています。また、2021年3月期からは配当性向を補完するものとして新たに純資産配当率も物差しに加えました。3年移動平均で3%を目安としています。ROEと配当性向を掛けたものが純資産配当率となるためです。

また、2021年度に500万株、97億円で自己株式を取得しました。

これまでも中長期的な観点から積極的な株主還元に努めており、1996年から累計で1億893万株、1,356億円で自己株式を取得し株主資本を圧縮しています。

NGKグループは1990年代からROE向上を掲げ、IR活動を行っています。年2回東京で投資家向けに決算説明会を行っているほか、主幹事証券会社が開催する海外投資家を集めたフォーラムや年2回の海外IRも実施しています。最近は新型コロナウイルス感染症の影響でウェブを活用して対応しており、その他、電話取材や個別の機関投資家訪問への個別対応は年間で約160回実施しています。また、個人投資家向けのIRも開催しています。

NGKグループの資本コストは8.7%と高く、β値※3が高いと認識しています。資本コストを下げるためには、IR活動で投資家とのコミュニケーションを図って将来認識のギャップを埋める必要があります。ガバナンス面の取り組みなどを説明し、過去にあった問題が再発しにくい体制になっていることを理解していただく努力をしています。また、NGKグループはガソリン車やディーゼル車など内燃機関関連製品の売上が大きいので、世の中のEV化の流れの中、当社株式を買いにくい局面にあると思います。しかし実際には、内燃機関の自動車は2030年頃までは急減することはありません。その間に得るキャッシュをCNやDS分野に積極的に投じていくことを丁寧に説明していきます。

NGKグループビジョン発表後、投資家の方から、グループの進む方向が分かりやすくなったと評価されました。2050年にCO2排出量ネットゼロを目指すNGKグループ環境ビジョンも打ち出しており、ESG投資家とのミーティングにも注力し、ESG中心の経営を目指していくことを説明していきます。

※3 β=個別証券のリターン÷市場全体のリターン

1株当たり配当額と配当性向
営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フロー、フリー・キャッシュ・フロー

(インタビューは2021年5月に実施)