持続的な価値創造に向けて

社外取締役メッセージ

さまざまなステークホルダーの立場を意識した視点により、企業価値の向上につながるガバナンス体制の充実に尽力します

社外取締役 浜田 恵美子 の写真

2023年度は、コロナ禍の収束に伴い経済活動が正常化する一方で、ウクライナ問題の長期化、中東情勢の緊迫化などに起因するさまざまな影響により、想定外の経済環境変化が続き、臨機応変な経営判断が求められた1年だったと思います。そんな中で、NGKグループは、NGKグループビジョンに則った事業構成転換のための施策を展開し、着実に前進してきました。中でも、2030年に新規事業で売上高1,000億円以上を目指す「New Value 1000」については、多くの有望テーマが具体化され、各テーマが今現在どのステージにあるのかも見えてきました。外部連携先も続々と幅が広がっており、バリエーションに富んだ事業化案件の芽が育ってきたという手応えがあります。新規事業の立ち上げには大変なエネルギーが必要で、すぐに成果は見えないかもしれませんが、うまくいくこともいかないこともすべて、NGKグループが成長する糧になるはずです。大きな目標に挑む姿に会社の強い意欲を感じるととともに、次世代を牽引する人材が育っていくだろうという期待が膨らんでいます。当社の市場からの評価は2024年3月末時点でPBR1倍未満となっていますが、こうした事業構成の転換や新事業創出の期待を高めていくことが、企業価値向上への着実なプロセスであると評価しています。

取締役会については、経営会議との連携の下、非常に幅広く有意義な議論を展開できている実感があります。この1年、特に社外役員会議等で議題にのぼったのは、人材戦略についてです。将来の成長の源泉である人的資本をいかにして活用していくかは、中長期的な企業価値の向上を図るための最重要課題であり、人材獲得や人材育成について、さまざまな側面から意見を出し合いました。私からも近年の新卒者の採用課題を踏まえてNGKグループをどうアピールすべきかなど、いろいろ意見を言わせていただきましたし、活発な議論になったことが印象に残っています。また、グループサステナビリティに関する議論が進展し、マテリアリティに対する具体的なアプローチを示すなど、サステナビリティを実現するための体制を整備できたことは大きな成果といえるでしょう。サステナビリティという共通の課題を通じて事業間に横串が通り、グループの一体感が増しているように感じられます。

社外取締役には、企業内部の意見や情報にはとらわれず、客観的な視点で経営に対するアドバイスや監督を行う役割が求められます。私は、社内の人にとって当たり前のことや、長年続いているやり方などに対して常にフラットな目線を向けることを心がけ、潜んでいる課題はないか、時代に合わせて更新すべき点はないかなどをチェックしています。小さな課題の解決が共通課題の掘り起こしにつながり、会社全体の活気が高まるきっかけとなることもあり、ささいな気づきを見逃さないようにしたいです。さらには、ステークホルダーの皆さまに対し、現在進めている変革を通じて私たちが変わっていく姿をしっかりとお見せしていく努力が必要と考えており、情報発信の強化を促す役割も果たしていきたいです。

今年度に入り、新たに3名の社外取締役が就任されました。異なるバックグラウンドを持つ方々がメンバーに加わったことから、これまでとは違った新鮮な議論やアイデアの提案に期待が高まっています。また、今般私は、指名・報酬諮問委員会の委員長を拝命しました。社外の人間である私に求められているのはステークホルダーの視点であると認識しており、報酬決定の客観性・透明性の担保に尽力するとともに、重要な審議事項の一つであるサクセッションプランについても内向きにならない議論を心がけ、委員会の運営を行ってまいります。

グローバル企業の経営経験に基づく積極的な意見発信を行い、スピード感のある経営をサポートします

社外取締役 佐久間 浩 の写真

私は三菱商事株式会社において、長年にわたりインフラ、電力、環境、再生可能エネルギーなどの事業に従事し、国内外で出資先や事業会社の経営にも深く携わってきました。これらの業務を通じて蓄えた経験と知見を活かし、独立した客観的立場からNGKグループの経営を監督し、助言を行っていきたいと考えています。

社外取締役として経営を監督していく上で、最も重要なのはコミュニケーションであり、執行側と監督側が本音で話し合える関係を築き、ボードメンバーがワンチームになることが理想です。そのような認識の下、NGKグループが受け継いできた文化や組織風土、事業を支える従業員についての理解に努め、それらを踏まえた上での積極的な意見発信を通して、執行側が機動的に動けるようサポートする役目を果たしたいと思います。

NGKグループについては、私が新入社員の時代から仕事を通じての接点があり、比類のないセラミック技術を核に、極めて堅実な経営を行っている伝統的な企業という印象を抱いてきました。会社の基盤となる技術を持っていることは何よりの強みであり、今後はそれをどう生かして新たな価値を創出するかが勝負です。これからのビジネスはマーケットインの発想が不可欠ですので、市場や顧客のニーズを起点に、技術と営業が一体となって新事業創出に取り組む「New Value 1000」は、非常に的を射た戦略だと思います。新事業の具体化は容易ではなく、時間がかかるかもしれません。しかし、NGKグループ全社員がチャレンジ精神を発揮し、一丸となり早期に一つでも二つでも成果を出し、さらなる飛躍を成し遂げてほしいと強く期待しています。

環境やインフラに深く関わるNGKグループは、明るく豊かな未来づくりのために大きな役割を担っています。そのような企業で仕事ができることにやりがいを感じており、NGKグループが継続的な企業価値向上を実現できるよう、全力で取り組んでまいります。

製品開発技術者としての経験・視点を生かし、NGKグループビジョンの実現に向けて助言・サポートします

社外取締役 川上 紀子 の写真

私は、東京芝浦電気株式会社(現 株式会社東芝)および東芝三菱電機産業システム株式会社(現 株式会社TMEIC)において長年パワーエレクトロニクス分野の製品開発に携わり、電力系統や再生可能エネルギー利用等のインフラ設備に適用される大容量電力変換装置の開発・実用化を主導するなど、エネルギー・デジタル分野においてキャリアを重ねてきました。2018年には、これらの開発・実用化に対する貢献が評価され、米国電気電子学会(IEEE)よりフェローの称号をいただいております。

今般、社外取締役をお引き受けしたのは、40年以上にわたりモノづくりの最前線にいたことで培われた知見や専門性を生かせる、大変やりがいのある仕事だと感じたからです。NGKグループが展開するエネルギー、インフラ関連の事業において、経験に基づく実践的な助言をしていきたいと考えています。併せて、女性技術者という立ち位置から、後に続く女性技術者の活躍の励みとなる活動ができれば大変うれしく思います。

NGKグループについては、セラミック技術というコアコンピタンスを持つ企業グループと認識しており、企業風土は堅実である一方で変化に対応できる柔軟性もあり、グローバル化も進んでいるという印象です。何といっても100年を超える歴史がある。それは、いつの時代も挑戦をし続け、唯一無二の価値創造を実現してきた証しであり、他社が追随できない付加価値の高い技術が競争力の源泉になっていると思います。そして、現在取り組んでいるカーボンニュートラルとデジタル社会を軸とする事業構成の転換については、技術的な挑戦に加えて商品開花がカギを握ります。「モノ売り」から「コト売り」への転換を支える提案力やマネジメント力の鍛え方、環境変化への対応、適正な軌道修正などについて、現場を知る技術者の視点で提言し、NGKグループビジョンの実現を強力にサポートしてまいります。

The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc. 米国に本部を置く電気工学・電子工学技術に関する世界規模の学会。世界190カ国以上に、40万人超の会員を擁する。

経営陣への監督機能を働かせて、NGKグループの持続的成長を後押しします

社外取締役 宮本 健悟 の写真

私は弁護士として長年、国内外において法律実務に携わり、製造業、サービス業、運送業およびITをはじめとする各分野で多くの企業案件を担当してきました。これまでのキャリアを通じて培った知見や経験を生かして、経営戦略の確認や業務執行の監督、法的リスクや実務上のトラブル予防などに有用な助言を行い、NGKグループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に貢献していきたいと思います。

多くの企業を見てきた中で私が実感しているのは、取締役会に活気がある企業は、会社全体が元気で社内の風通しも良く、コンプライアンスやリスク管理がしっかり働くということです。日本ガイシの取締役会は、各人が自由に意見を述べられる雰囲気が醸成されているとうかがっており、私も外部の視点から、内側にいてはなかなか見えない点について率直に意見を申し上げていきたいと考えています。加えて、環境変化が目まぐるしい昨今の企業経営において、意思決定のスピードは非常に重要です。日本の企業の多くは海外の企業に比べて何ごとにおいてもスピード感が不足している傾向にあると感じており、それがきかっけで機会の損失が起こるケースも珍しくありません。NGKグループは目下変革を推し進めている真っ只中であり、迅速に決定しなければならない議案も多いと想像していますので、そのような視点からのモニタリングも意識したいと思います。

また、近年は企業価値において、目に見えない非財務資本の重要性が高まっています。株主・投資家をはじめとするすべてのステークホルダーに目配りをしながら、経済的価値と社会的価値をバランス良く生み出す経営を実践していく必要があり、今の時代に即した経営の実践を社外取締役として後押ししたいと考えています。大きな変革に挑んでいるNGKグループを、中長期の視点で温かく見守っていただければ幸いです。

(インタビューは2024年5月に実施)