セグメント別戦略と推進
エネルギー&インダストリー事業本部

カーボンニュートラル社会の実現に向け、社会インフラ事業全般に広く対応

専務執行役員 エネルギー&インダストリー事業本部長 石川 修平の写真

エナジーストレージ事業、ガイシ事業、産業プロセス事業の3部門から成るエネルギー&インダストリー事業本部。電力、産業機器関連分野に向けた幅広い製品とサービスの提供により、カーボンニュートラル社会の実現のために求められる社会インフラ事業全般に広く対応していくことを目指しています。

「NGKグループビジョン Road to 2050」に向けた基本戦略

  • エネルギー全般を視野に入れた総合エネルギー事業の構築
  • CN関連市場の拡大の流れを捉え、電力・産業関連分野において新しい社会的価値を提供して収益拡大

強み

  • 長期にわたる幅広い産業とのネットワーク
  • エンジニアリングを含む価値/ソリューション提供力
  • 独自の高品質セラミック製造技術力

外部環境認識

機会
  • 世界的なカーボンニュートラルの流れ
  • 再生可能エネルギーの拡大
  • デジタルインフラの推進

外部環境認識

リスク
  • 金融引き締めによる景気減速
  • 各国のエネルギー政策の変化
  • 競合の技術革新

売上高

売上高を表したグラフです。

営業利益

営業利益を表したグラフです。

2023年3月期の振り返りと2024年3月期の見通し

2023年3月期は、エネルギーや資源価格の高騰、米中対立に起因するサプライチェーン問題等が発生する中、リチウムイオン電池正極材用焼成炉の需要が増加したほか、がいし関連製品の価格改定と北米・豪州市場で需要が活況、「NAS電池」の国内向け出荷の増加及び為替円安効果により増収を達成できました。この1年の大きなトピックスとしては、エナジーストレージ事業の中長期的なビジネス戦略が定まったこと、ガイシ事業の再構築が進んだことが挙げられます。

2024年3月期の見通しにつきましては、経済の先行きは不透明ながら、リチウムイオン電池正極材用焼成炉の需要が増加するほか、がいし及びNAS電池での価格改定や原材料高騰分の価格転嫁等により、全体で増収及び損益改善を見込んでいます。

NGKグループビジョン実現に向けての中長期的成長戦略

NGKグループビジョン実現に向けて当事業本部では、一人ひとりが「失敗を恐れず変革の継続と加速に挑戦し、エネルギー・インダストリー領域での新しい社会的価値を提供し続ける」というマインドを持ち、2050年のありたい姿を目指して歩みを進めていきます。成長戦略の柱となるのは、エナジーストレージ事業の主要製品であるNAS電池です。気候変動問題が世界の共通課題と認識される今、世界的な再生エネルギーの導入量増加は必然であり、今後、長時間蓄電池のニーズはますます高まると考えられます。それに伴い、大容量・長寿命を特長とするNAS電池の潜在需要も高まると予想されることから、国内再エネ導入拡大に貢献するビジネスモデル構築と海外案件の獲得に注力し、NAS電池のプレゼンス向上及び着実なシェア拡大を目指します。加えて、電力インフラを支える上で重要なコスト削減についても、ドイツの総合化学メーカーBASF社などとの協業などにより実現していきます。

ガイシ事業は、海外案件の増加や価格改定により2023年3月期は増収増益を達成しました。しかしながら、中長期的な経営判断のもと、歴史ある知多事業所でのがいし製造・販売を数年内に終了することを決定しています。今後は事業体制の再構築に向けた取り組みを継続し、事業の効率化を進め、需要変動に柔軟に対応できる安定した事業基盤を築いていきます。

産業プロセス事業は、医薬、食品、化学、半導体、電子などさまざまな分野へ展開する膜分離装置をはじめ、独自のセラミック技術を活用した耐蝕機器、耐火物製品の生産性向上や差異化技術、高機能化を追求することでさらなる成長を目指します。加えて、CO2分離や水素分離、バイオエコノミーといった社会の環境ニーズに貢献できる製品や設備を投入し、新たなカーボンニュートラル製品の受け皿となる事業領域を開拓していきます。今まで見いだされていなかった新しい価値を探求し、新たな成長の起爆剤になる“尖った製品”の開発を目指していきます。

社会課題の解決に向けての提供価値

近年、数々の環境変化や社会変化が複合的に起こっていますが、中長期的にはカーボンニュートラルとデジタル化の潮流に変わりはありません。そのような時代にあって、世界の社会インフラを担う事業本部としての使命は、保有するさまざまな価値の提供により、この2つの社会課題解決に貢献することと認識しています。

NAS電池を使った新しいビジネスモデルは、CO2削減はもちろんのこと、電力の地産地消、非常時の電源確保など、社会に多くのメリットをもたらします。さらには、分散設置した蓄電池を最大有効活用するVPP(仮想発電所)を構築し、無駄のない再エネの活用を広げていく計画も進行中です。また、再エネ増大に伴い、全国で効率的に電力を融通しあうために、送電網を強化する計画が進められていますが、がいしは送電網強化には欠かせない製品です。今後も高品質ながいしを提供し、日本の電力供給システム安定化に寄与したいと思います。

産業プロセス事業における耐火物関連製品は電子部品の製造工程で欠かせない重要な製品であり、電子部品供給のためのインフラを支えるという点で、デジタル社会に寄与するビジネスといえます。

大きなモノから小さなモノまで幅広い製品群に、社会インフラにおいて必要なソリューションを揃えて提供できることが私たちの強みであり、今後は「コト売り」の発想を強化して事業を拡大し、企業成長と社会貢献を両立させていきます。

(インタビューは2023年4月に実施)