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2019年度中期経営方針

会社の経営の基本方針

当社は2019年に創立100周年を迎えました。創業以来の精神を継承しつつ、グローバルに展開する多様なグループ会社と自主性を高めてゆく従業員、さらには全てのステークホルダーに当社の存在目的を示すため、NGKグループ理念を見直しました。

グループ理念を実現するための基本方針は以下の通りです。

資源投入の選択と集中により他を凌駕する技術を確立し、各々の分野においてトップクラスの地位を占める新規事業、新商品を創出します。(戦略的成長)

連結主体の事業運営を基本に、グループ会社ごとの機動性と独自性を生かした効率的経営を行い、企業価値の向上を目指します。(高効率体質)

株主・投資家及び広く社会に適時かつ積極的に情報を発信するとともに、持続可能な開発目標(SDGs)を念頭に置いて、環境保全、人権の尊重、安全・快適な職場環境の提供などの社会的責任を果たし、地域、社会の発展に貢献します。(良き企業市民)

主要な経営指標と資本政策

当社グループは、ROEを主要な経営指標として採り上げ、株主重視の経営を推進しています。中長期の観点でROE10%以上の水準を意識し、事業リスクの変化に適合して持続的な企業価値の向上に資するよう資本政策を展開します。株主・投資家とのコミュニケーションによる資本コストの引き下げに努めるとともに、資本コストを上回る収益性確保に向け、経営資源をコア事業の拡大・コストダウンや開発・新規事業の立上げに効率的に投入していきます。さらには財務健全性との両立を図りつつ、配当性向及び純資産配当率等を参照し、積極的な株主還元に努めます。これらによりROEを構成する利益率、資本回転率、財務レバレッジを事業戦略と整合した健全な水準に維持することを目指します。

中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題

当社グループが事業領域とするエネルギー、エコロジー、エレクトロニクスのトリプルEの分野では、社会・環境課題解決への要請や、IoT、AI、5Gなどの技術革新を背景に中長期に事業機会が拡大すると予想されます。当社グループは、創立以来一貫して培ってきたセラミック技術を核に既存事業の収益拡大を図るとともに、社会の期待に沿う新製品を生み出し、グローバルに成長し続ける企業を目指して開発などへのインプットを継続します。

その中で、2019年度は以下の施策に取り組んでいきます。

  • ①既存事業の競争力強化-新・ものづくり構造革新

  • ②新製品・新規事業の創出 - Keep up 30

  • ③グローバル経営とコンプライアンス・ガバナンスの強化

  • ④多様な人材の活躍と働き方改革

①既存事業の競争力強化-新・ものづくり構造革新

当社グループは、「新・ものづくり構造革新」として、技術先進性をベースにした製品価値の向上と革新製造プロセスによる生産性向上に取り組んでいます。総合設備効率(OEE)を指標とする設備効率向上への注力と、新規設備投資についても優先順位をつけ厳選して実施するなど投下資本利益率(ROIC)を意識して確実に成果につなげます。

セラミックス事業については、各国の排ガス規制強化や自動車販売台数の増加に伴う世界的な需要拡大に対応し、最新鋭で高効率なグローバル生産体制を構築することで、事業の持続的な成長を目指します。2019年度は、中国の排ガス規制強化に伴い需要の大幅な増加が見込まれるGPF(ガソリン・パティキュレート・フィルター)を生産する中国第2工場の立ち上げを進めるほか、タイ工場(大型ハニセラム)の増産投資を中心に着実に実施していきます。

プロセステクノロジー事業については、IoTの進展や5Gの導入に伴い半導体の微細化・高積層化が進み、今後ますます需要が拡大する半導体製造装置用製品では、岐阜県多治見市の新工場で増産体制を構築するほか、次世代製品を投入し技術・性能面での高い要求に応えていきます。産業プロセス事業では、リチウムイオン電池の正極材用焼成炉や電子部品製造用の耐火物の拡販に加え、原子力発電所向けの低レベル放射性廃棄物処理装置などにも引き続き注力していきます。

エレクトロニクス事業については、モバイル通信の高速化技術の普及やデータセンターの投資拡大を背景に、当社の高性能SAWフィルター用複合ウエハーやHDD用圧電素子の需要増加を見込んでいます。また、自動車の電動化進展に対応し、車載用パワーモジュール向けの絶縁放熱回路基板の拡販を進めます。これらの製品群では、山梨県やマレーシアの各拠点において生産能力増強を進めていきます。

電力関連事業については、国内電力各社の設備投資抑制に加えて海外でも厳しい状況が継続しており、2019年3月に中国のがいし生産子会社の解散を決定しました。ガイシ事業ではさらに不採算製品の撤退や人員の配置転換などを進め早期黒字化を目指します。NAS事業では、再生可能エネルギーの普及を背景に国内外で潜在的なニーズが高まりつつあるものの、受注の本格化には時間を要しており、事業体制をミニマムに絞り赤字を最小限に止める一方、機会を着実に捉えて成長に繋げていきます。

②新製品・新規事業の創出 - Keep up 30

当社グループは、売上高に占める新製品比率30%以上を継続する「Keep up 30」を全社目標に掲げ、次の新製品・事業化製品の創出に取り組んでいます。その中で、小型・薄型で高容量なチップ型セラミックス二次電池「EnerCera」シリーズを開発しました。同シリーズは、2019年1月にラスベガスで開催された世界最大級の家電見本市「CES2019」においてイノベーションアワードを受賞するなど高い評価を受けており、2019年4月に事業化しました。スマートカード、IoTデバイスやウェアラブル端末などさまざまな用途に向け順次量産を開始する予定です。また、2019年2月には、当社が開発したCO2分離・回収用大型セラミック膜(DDR型ゼオライト膜)が、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と日揮株式会社が米国の油田にて共同で行う実証試験に採用されました。油田への大型セラミック膜の適用は世界で初めてであり、今後、実証試験をてこに商品開発を強化していきます。その他、亜鉛二次電池や全固体電池などのテーマにも引き続き取り組み、当社独自のセラミック技術で次の新製品や新事業を創出していきます。

③グローバル経営とコンプライアンス・ガバナンスの強化

当社は、海外20カ国に45のグループ会社を展開し、うち21社において製造を行っています。海外でのビジネスがますます拡大する中、経営の透明性と自律性を高め、NGKグループで働く全員が公正な価値観や国際的な水準の判断基準に従って行動するよう環境整備を進めます。

当社グループは、全グループ構成員が業務を遂行する上で順守すべき事項をまとめた「NGKグループ企業行動指針」を見直し、2019年1月に事業活動を通じた持続可能な社会の実現、人権尊重、コンプライアンスの徹底を重視した内容に改めました。さらに改定を機に、ガバナンス体制の中でE(環境)S(社会)G(企業統治)に関する情報共有・意見交換・方針議論を経営レベルで行う機関として、2019年4月に「ESG会議」を設置しました。

環境経営の観点からは、2016年度からスタートした第4期環境行動5カ年計画の下、環境貢献製品の売上高比率やCO2削減など2020年度の目標達成に向けて順調に進捗しており、引き続き環境負荷低減に寄与する製品・サービスの開発・普及を推進するとともに、環境負荷を低減する生産技術の開発・導入に注力し地球環境の保全に努めます。

競争法及び海外腐敗行為防止法などの法令順守については、継続的な経営トップのメッセージ発信、国内外グループ会社の役員・従業員を対象にしたコンプライアンス教育、国際的な水準に沿った競争法順守プログラムの運用、「競争法順守ハンドブック」の活用などにより徹底を図っています。

品質コンプライアンスについては、がいし等製品の受渡検査に関する不整合の反省を踏まえ、社内規定を改定し役員及び従業員の品質コンプライアンス義務を明確化するとともに、経営トップによる品質活動や品質委員会の直接指導の実施、経営層及び従業員に対する品質教育の徹底など品質経営の観点から活動を強化しています。労働環境の安全面では、国内外グループ会社の管理体制を強化し、リスクアセスメントの推進などによって業務災害リスクの低減に取り組んでいます。

コーポレートガバナンスについては、経営の透明性を確保し取締役会の監督・監視機能を強化するため、社外役員を過半数として構成する指名・報酬諮問委員会や、役員などが関与する不正及び法令違反などへの対応を取り扱う社外役員を主要な構成員とする経営倫理委員会を設置し、取締役会への答申または報告、勧告などを行うこととしております。また、これらの不正・法令違反に歯止めをかける仕組みとして、従来のヘルプライン制度とは別に経営倫理委員会に直結する内部通報制度「ホットライン」を設置するなど、コンプライアンス体制を充実させています。

こうした取り組みを通じて、より一層グローバル経営を支えるコンプライアンス意識の向上、リスク低減、ガバナンス体制の強化・充実を図っていきます。

④多様な人材の活躍と働き方改革

当社は豊富な経験や高い専門性を持った従業員が活躍できるよう2017年度に65歳定年制を導入しています。こうした中、介護負担や重大な疾病を抱える従業員に対しては、介護支援一時金などの経済的支援に加え、短時間勤務や週3日勤務により業務との両立を支援する制度を提供しています。

女性社員の活躍推進については、職域拡大を企図した職群統合や、育休復職者研修、キャリアデザイン研修などを実施してきました。併せて育休からの早期復職支援制度や在宅勤務も導入しています。今後は管理職候補者向けの施策にも注力していきます。

障がい者雇用についても採用拡大に向けて取り組んでいます。

当社グループは、多様な人材が活躍する機会の提供や安心して働くことができる制度・環境づくりに取り組むとともに、ICT(情報通信技術)やRPA(ロボットによる業務プロセス自動化)も活用し、働き方改革に注力していきます。

事業の成長とともに組織が拡大する中、業務の基本である「安全」「品質」「環境」「CSR」を徹底するとともに、一人ひとりが高い自立性を持って率先して行動し、最大限に力を発揮することで課題を成し遂げ、世界に通用するグローバル企業を目指します。

当社グループは、こうした取り組みを通じて経営基盤のさらなる強化に努め、持続的な成長と企業価値の向上を実現し、資本効率重視、株主重視の経営を継続していきます。

GPF(ガソリン・パティキュレート・フィルター)

GPF(ガソリン・パティキュレート・フィルター)

半導体製造装置用セラミック製品

半導体製造装置用セラミック製品

SAWフィルター用複合ウエハー

SAWフィルター用複合ウエハー

NAS電池

NAS電池

チップ型セラミックス二次電池「EnerCera(エナセラ)」シリーズ

チップ型セラミックス二次電池「EnerCera(エナセラ)」シリーズ

DDR型ゼオライト膜

DDR型ゼオライト膜