サステナビリティ

トップメッセージ

独自のセラミック技術で、環境と人間が共生できる未来へ

日本ガイシ株式会社 代表取締役社長 大島卓(おおしま たく)の写真です。

新型コロナウイルス感染症による影響を受けられた方々に謹んでお見舞い申し上げます。

医療関係者の皆さまをはじめ、社会を支えてくださっている方々に心より敬意と感謝の意を表します。

このたびの感染拡大は世界経済を急減速させ、NGKグループの業績にも大きな影響を及ぼしています。
しかし、私たちは立ち止まっているわけにはいきません。従業員と家族の安全確保と感染予防を最優先に、独自のセラミック技術で社会の期待を超える製品を提供し、持続可能な未来のために成長し続けてまいります。

創立101周年を迎えて
未来を見据え「NGKグループ理念」を具現化する目標を

創立100周年という節目を迎えた昨年、私たちは企業理念体系を見直し、新しく「NGKグループ理念」を制定しました。101年目に当たる今年は、この理念の下、グループが中長期にわたり何を目標とするかを明らかにする、新たなビジョンの策定に取り組む年にしていきたいと思います。

過去4年間で進めてきた大型投資はおおむね完了しました。既存製品の事業拡大への道筋はでき、将来を期待できる新製品も各事業から生まれつつあります。2020年代にやるべきことは既に見えています。これからのNGKグループに必要なのは、さらにその先を見据えたビジョンです。

新ビジョンでは「環境と人間の共生」をどう進めていくかを重要な視点としています。その上で、私たちの技術を生かしてさまざまな社会課題を解決し、新しい価値を創造していくことを目指します。

二酸化炭素(CO2)の削減は地球規模の重要な課題であり、企業のESGに対する取り組みが投資家から問われる時代です。日本政府が推進している「Society 5.0」では「人間中心の社会」がうたわれ、企業も変革が求められています。「環境と人間の共生」という視点はこうした流れを前提に、企業としてあるべき姿を考える中で生まれてきました。

しかし、環境と人間の共生の実現は決して容易なことではありません。豊かな自然とともに生きていく未来を創るために、私たちは強みであるセラミック技術にさらに磨きをかけ、斬新なソリューションでさまざまな社会課題を解決しなくてはなりません。そのために必要なことはグループの総力を挙げた「変革と成長」です。

そこで2019年末から、経営層や社外取締役、若手従業員らとビジョン策定に向けた議論を進めています。セラミックスの未来を信じ、独自の技術をさらに進化させることで私たちは社会に対して何ができるのか。今も考え続けているところです。

新型コロナウイルス感染症
人命を第一に、事業を維持・継続

一方で視線を現在に戻せば、新型コロナウイルス感染症の猛威が世界中でいまだ収まらず、多くの方々が不安な思いで過ごされているかと思います。

当社グループでは新型コロナウイルス感染症拡大防止を「重大危機管理事案」と位置付け、BCP(事業継続計画)対策本部を立ち上げ情報を集約し、「人命の尊重」「行政対応と地域連携」「企業活動の維持・継続」の3つの方針の下、安全確保と感染拡大防止を最優先に事業継続に向けた各種対策に取り組んでいます。

具体的には、間接部門では可能な限り時差通勤や在宅勤務に切り替え、製造部門ではビニールカーテンの設置や一部フェースシールドを導入するなど、人と人との接触リスクを減らす対策を実施しています。在宅勤務への移行は新たなソフトウエアの導入などネットワーク環境の整備を進めていたこともあり、比較的スムーズに進めることができました。この機会に従来の仕事を見直し、業務の効率化を図っている部門も増えています。

また、新型コロナウイルス感染症の影響はグループの各事業にも及び、欧州や北中米、アジアの各生産拠点が一時、操業停止や稼働率低下を余儀なくされました。需要面でも主要市場の多くに影響が広がっています。ただ、中長期的には需要の回復が見込めますので、足元の需要減に機動的に対応しつつ、将来に向けた新製品創出に注力していきます。

事業上のリスク
多様化する事業のリスク管理体制を強化

新型コロナウイルス感染症をはじめとする事業上のリスクについては、経営レベルの視点から重要と考えるリスクを事業環境、戦略、内部要因に分類し、継続的に見直しを行っています。

自動車関連について言えば、将来的には内燃機関自動車がEV(電気自動車)やFCV(燃料電池自動車)の非内燃機関自動車に徐々に置き換わるなど需要が変動する可能性があります。しかし当面は、排ガス規制の強化に伴い内燃機関自動車の市場はまだまだ増えていくと考えられることから、新製品や高機能品の増加による事業成長を見込んでいます。また、重要性を増す中国市場では現地企業が今後台頭してくることも考えられますが、環境規制を先取りした技術対応力や供給の安定感により競争力を強化していきます。

当社グループはグローバルに事業が拡大する中、多様化する事業リスクの影響を最小限にとどめるため、リスクマネジメントの強化に取り組んでいます。リスク管理体制を整え、さらなる経営基盤の強化を図ります。

各事業の状況
2023年までの生産能力は確保、新製品の普及に注力

ここで、グループ各事業の状況を説明します。

自動車関連事業は、2018年後半から中国の自動車市場で経済的な減速と大型車への環境規制導入が想定より遅れたこと、さらに欧州ではディーゼル車離れが進んだため、需要が想定に及ばなかったことが2019年度の業績にも影響しました。しかし2030年までは内燃機関を使った自動車が増えるという見通しには変わりはありません。新規の排ガス規制に対応した高機能製品の開発も進んでいます。

2016年度から進めてきた大規模な設備投資により、2023年度までの生産能力は既に確保できています。ここ直近の償却負担が利益を圧迫する側面もありますが、自動車市場の落ち込みに対しては、他の事業で下支えしていきたいと考えています。

半導体関連事業は、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)、次世代通信規格「5G」関連の投資が拡大基調にあることから、今後も成長し続けると見ています。2019年10月に稼働した岐阜県多治見市の新工場を最大限に活用し、生産効率を高め、収益力を確保していきます。さらに、半導体製造装置の高機能化に対応する次世代製品の開発にも取り組んでいきます。

電力関連事業は今年、事業本部の名称を電力事業本部から「エネルギーインフラ事業本部」に改称しました。既存の電力系統向けがいしやNAS電池に、需要家向けの亜鉛二次電池「ZNB」を新たに加えました。ZNBはリチウムイオン電池と比べ、極めて安全性の高い電池で、その安全性の高さから蓄電池分野で世界初の「UL検証マーク」を取得しており、今後は開発と拡販を推進していきます。全ての人々が安価で信頼できるエネルギーへのアクセスを確保できるように、電力の安定供給を支えるだけではなく、効率的運用への可能性も広げて社会インフラに貢献できる事業にしていきます。

エレクトロニクス関連事業では、2019年度に事業化したチップ型セラミックス二次電池「EnerCera(エナセラ)」シリーズを、200社以上の客先にサンプル出荷しています。多機能型カードや自動車のスマートキーをはじめ、IoTデバイスへの採用に向けた評価を進めており、早期の売上・利益創出に向けてマーケティングの強化とコストダウンに取り組んでいます。

EnerCeraをはじめ、複合ウエハーや窒化ガリウム(GaN)ウエハー「FGAN」など、期待の新製品を一手に扱うために2019年度に新設したのが、エレクトロニクス事業本部傘下の「ADC(Advanced Device Components)事業部」です。複合ウエハーはスマートフォンなどに搭載される電子デバイス用の基板で、モバイル通信の高速化技術の普及を背景に今後も確実な伸びが期待できる製品です。FGANはLEDの発光効率の向上や半導体レーザーの高出力化を実現する高機能ウエハーです。市場の大きいパワー半導体への適用も見据え、6インチサイズの大型化技術も確立しています。

いずれの製品も、結晶配向技術や精密研磨技術、ウエハー接合技術、液相結晶成長技術など当社グループ独自の技術をベースにしたもので、他社にはまねできない高性能を実現しています。お客さまから新用途が舞い込んできたり、こちらが考えていなかったようなニーズもあったりと、先が楽しみな事業です。

米国の第三者安全科学機関「Underwriters Laboratories(UL)」が厳しい安全試験・評価を経て発行する、安全性に関する検証マーク。有効期限は2020年10月まで

ESG
関連事項を「ESG会議」に集約、グループの方針として推進

2019年度から、環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)に関する議論を一元化するために「ESG会議」をスタートしました。これにより、2021年度から始まる「第5期環境行動5カ年計画」をはじめ、ESGに関する取り組みを会社のトップレベルで討議し、グループの方針として進める体制が整いました。

今年最終年度を迎えた「第4期環境行動5カ年計画」では、排出物の削減や再資源化などは既に目標数値を達成していますが、売上高原単位でのCO2削減目標の達成は生産規模の拡大により厳しい状況となっており、気候変動対策が次期計画の焦点となりそうです。引き続き環境負荷低減に寄与する生産技術の開発や導入、製品・サービスの普及ができるよう体制を整え、目標達成を目指します。

この2月には、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同を表明しました。持続可能な社会の実現に当事者として取り組むとともに、関連する情報の開示とその充実に努めます。

社会の側面では、第一に「働きがい改革」に取り組みます。私はかねてより「本質の追求」が重要と従業員に粘り強く語りかけてきました。本当に必要なことに時間を使い、より付加価値の高い仕事をしてもらいたいと考えているからです。社長就任以来、私自身が各職場へ訪問をし、注力していることや課題解決に向けた取り組みなどについて意見を聞いて回っています。年々、部門トップだけでなく従業員の意識も変わってきたことを実感しています。今後も従業員一人ひとりが安心して活躍し、より質の高い仕事を行える企業とするために、一層の制度の充実も図ります。

当社グループは従業員の多様性を尊重し、時代に即した人事制度設計をこれまで行ってきました。2020年4月には、人権をより尊重する企業活動やグループ全体で対処すべき人事課題を横断的に議論する組織として「HR委員会」を設置するとともに、ダイバーシティ推進部を新設しています。

ガバナンス・コンプライアンスについては、「誠実な事業活動」を推進していきます。当社グループは過去に競争法違反やがいしの受渡検査不整合など、二度と繰り返してはならない問題を起こしています。これを繰り返さないことが重要で、そのためには当たり前のことをきちんとやる、という文化を育てる必要があります。現在、グループ各拠点でコンプライアンスセミナーを開催するなど各種取り組みを進めており、こうした意識を従業員一人ひとりに浸透させたいと考えています。

ポストコロナ
新しい働き方で「創意工夫」を

新型コロナウイルス感染症の影響で、かつてないほど世界経済はダメージを受けています。過去をひもとくと、長い歴史の中で感染症は社会に非常に大きなインパクトを残してきました。そのような史実に鑑みると、長期戦を覚悟する必要もあるかもしれません。今後、ワクチンの開発などさまざまな対策も進み、ポストコロナの時代に合った新たな価値観や技術も生まれてくると思いますが、当社グループでは引き続き安全確保と感染予防を最優先に各種対策を進めていきます。

今回をきっかけに私自身は「環境」に対する考え方が大きく変わりました。これまで環境と人間が共生できる未来を意識し、温暖化対策などのCO2削減を中心に「環境」を捉え、当社グループの強みをどう生かせるのかなどを検討してきました。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大により、私たちは目に見えないものと日々向き合っているのだという現実に直面しました。そこで改めて考えたことは、私たちは常に大自然とともに生きているということです。大自然とどう向き合っていくかを考えることは、10年先、20年先、あるいは100年先の未来のために、会社として社会に何ができるのかを考えることに大きくつながっていきます。新ビジョンの策定に向けて、「環境」をより広い意味で捉え直し、会社として進むべき方向を明確にしていきます。

社会が変化する中で、私たちの働き方も大きく変わってきました。テレワークやウェブ会議など新しい仕事の進め方が浸透し、自分にしかできないことを考えたり、考えたことを皆で議論したりすることに時間を割くなど、本当に必要な仕事は何かを見極めるきっかけにもなったと感じています。現在、コロナ禍で変化したことや感じたことなどの意見を社内で集約しており、当社グループに合う新しい働き方についてこれから検討を進めていきます。

変化を考えるとき、私は「創意工夫」という言葉を大切にしています。世間では「イノベーション」が簡単に使われていますが、世の中を変えるためには、長くかかる研究の積み上げや、一人ひとりの創意工夫の積み重ねが重要です。気付きや発想から始まり、具現化に向けて取り組んでいく。その地道な努力の結晶が製品であり、そこには一足飛びにたどり着くような魔法はありません。そうしたことに時間を使うことにこそ、働く意義があります。そのために私ができることは、従業員が働きやすく、それぞれの創意工夫に取り組める環境を整えていくことだと考えています。

これからも環境と人間が共生できる未来のために、創意工夫を持って他社にはまねできないセラミック技術を追求し続け、社会に貢献できる企業として発展していきます。

日本ガイシ株式会社
代表取締役社長
日本ガイシ株式会社 代表取締役社長 大島卓(おおしま たく)のサイン画像です。

サステナビリティに関するお問い合わせ

サステナビリティについてのご質問・ご相談は、各お問い合わせフォームよりお受けしております。