お知らせ

車載レーダーを高精度化する石英ガラス複合ウエハーを応用したアンテナ回路基板の開発を開始
車内搭乗者の安心安全や利便性の向上に貢献

2025年09月01日

日本ガイシ株式会社は、ドイツの科学技術分野の研究機関であるフラウンホーファー研究機構(Fraunhofer Gesellschaft-IZM (所在地:独ベルリン、以下「FHG-IZM」)、Fraunhofer Gesellschaft-FHR(所在地:独ヴァハトベルク、以下「FHG-FHR」))と共同で、日本ガイシの石英ガラス複合ウエハーを応用した車載レーダー用のアンテナ回路基板の開発を開始しました。


石英ガラス複合ウエハー(日本ガイシ製)

 日本ガイシとFHG-IZMは、2024年に、高速通信に適したサブテラヘルツ波※1を利用する6G無線通信用のアンテナ回路基板を開発しました。この開発では、キャビティ(空洞)を設けた石英ガラス複合ウエハーを用いることで、サブテラヘルツ波の広い周波数帯に対応したアンテナ回路基板(特許申請中)の基本性能を実証しました。
 このたびの開発では、これまでの成果を踏まえ、石英ガラス複合ウエハーを応用し、車載レーダー用に最適化したアンテナ回路基板を日本ガイシとFHG-IZMで開発します。それを用いたレーダーモジュールと専用の高周波集積回路※2をFHG-FHRで設計試作し、2025年11月までにレーダーの基本性能の検証を完了する予定です。

 日本ガイシの複合ウエハーは、革新的な直接接合技術と精密研磨技術により異種材料を貼り合わせた電子デバイス用ウエハーです。石英ガラス複合ウエハーは、石英ガラスとシリコンを接合したウエハーで、石英ガラスの電磁波に対する低損失性能と、シリコン基材の高い放熱特性を併せ持っています。

 自動車の「CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)」が世界的に進むなか、搭乗者のバイタル情報やジェスチャーなどを検知する車載レーダーの需要が高まっています。レーダーの高精度化のため、サブテラヘルツ波の使用が検討されていますが、サブテラヘルツ波の送受信では、アンテナ回路基板に搭載される送受信回路(RFIC)での発熱が大きく、その結果、センシング精度が低下する課題があります。キャビティ付き石英ガラス複合ウエハーをアンテナ回路基板に適用することで、電波の送受信効率と送受信回路の放熱を改善し、レーダーの高精度化に貢献します。

  • ※1サブテラヘルツ波: 高速通信に適した非常に高い周波数100ギガヘルツから300ギガヘルツの電波
  • ※2高周波集積回路: レーダー信号の送受信や処理を行うために設計された半導体デバイス
キャビティ付き車載用アンテナ回路基板 (断面)


フラウンホーファー研究機構

 フラウンホーファー研究機構は、1949年に設立された欧州最大の科学技術分野における応用研究機関です。ドイツ各地に76の研究所を構え、ヨーロッパ、アメリカ、アジア各国に拠点を持ち、産業界のニーズに応じて、委託研究、共同研究、コンサルティング、ワークショップなどのさまざまなサービスを提供しています。民間企業や公共機関をはじめ、社会全体の利益を目的として、実用的な応用研究を行っています。

フラウンホーファー研究機構

以上

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