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「DDR型ゼオライト膜を用いたCO2分離回収技術の開発」が第20回グリーン・サステイナブル ケミストリー賞「奨励賞」を受賞

2021年06月09日

日本ガイシ株式会社(社長:小林茂、本社:名古屋市)はこのたび、日揮グローバル株式会社(本社:横浜市)と共同で、公益社団法人新化学技術推進協会から第20回グリーン・サステイナブル ケミストリー(GSC)賞の奨励賞を受賞しました。DDR型ゼオライト膜を用いた二酸化炭素(CO2)分離回収技術の開発が高く評価されたものです。
 
 GSC賞はグリーン・サステイナブル ケミストリー(人と環境にやさしく、持続可能な社会の発展を支える化学)の推進に貢献する優れた業績をあげた個人や団体に与えられるもので、奨励賞はGSCの推進においてその貢献が将来期待できる業績に授与されます。

 DDR型ゼオライト膜は、当社が開発した世界最大級のセラミック製CO2分離膜です。従来技術では対応できない高圧かつ高CO2濃度という過酷な条件下でも、精密にCO2を分離することができます。また1本当たりの膜面積が大きく、耐久性にも優れることから、低コスト化も可能です。

 当社と日揮グローバルは、DDR型ゼオライト膜を用いたCO2分離回収技術を共同で開発しています。従来よりも効率的かつ経済的な本技術の商業化に向け現在、CO2の地中隔離と同時に原油を増産するCO2-EOR(CO2による石油増進回収法)への活用などを目指し、独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の支援のもと、米国テキサス州の油田で原油生産時の随伴ガスからのCO2分離回収実証試験に取り組んでいます。

受賞概要

賞名 第20回グリーン・サステイナブル ケミストリー賞 奨励賞
主催者 公益社団法人新化学技術推進協会 グリーン・サステイナブル ケミストリー ネットワーク会議
受賞内容 DDR型ゼオライト膜を用いたCO2分離回収技術の開発
受賞者 日揮グローバル株式会社 長谷川裕晃、寺谷彰悟
日本ガイシ株式会社 新野真紀子、谷島健二

DDR型ゼオライト膜
DDR型ゼオライト膜


 世界的に脱炭素化が進められるなか、原油や天然ガスといった化石資源についても、生産時の環境負荷低減が求められており、そのための効率的なCO2の回収・利用・貯蔵技術(CCUS)が必要となっています。

 CO2を分離する技術としては現在、高分子膜がありますが、高圧かつ高CO2濃度下では分離性能が低下しやすいという欠点があります。当社の開発したDDR型ゼオライト膜は、高分子膜が抱える課題を解決できる技術として、2019年から日揮グローバルとJOGMECが共同で実施している、原油生産時の随伴ガスからのCO2分離回収技術のフィールド実証試験に採用されています。CO2を圧入して地中から取り出した原油に随伴するガスから、DDR型ゼオライト膜を用いてCO2を分離回収し、再び地中に圧入すると、原油の粘性低下により原油取得量が増えるだけでなく、一部のCO2を地中にとどめることができるため、地球温暖化防止にも貢献します。

 DDR型ゼオライト膜は、原油のほか天然ガス精製時のCO2除去用途も想定しています。当社は今回の受賞を弾みに、今後もさまざまな膜技術の開発・提供を通じて、CO2の分離回収・有効利用技術の普及によるCO2排出削減に取り組み、低炭素社会の実現に貢献していきます。

日本ガイシはSDGs達成に貢献しています

以上

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