企業価値向上に向けて
New Value 1000
開発テーマを軌道に乗せるKEY PERSON
EV向けパワー半導体の安定動作に貢献するSN※絶縁放熱回路基板は、NGKグループならではの高度な技術を駆使して開発した今後の成長商品です。2030年度に約200億円の売上目標を掲げており、NV1000達成、ひいてはNGKグループビジョンの実現に向けて、さらなる展開拡大を目指します。
※SN:Si3N4(窒化ケイ素)
パワー半導体用絶縁放熱回路基板で、NV1000達成の一翼を担います
NGKグループの絶縁放熱回路基板事業は、2015年にグループ企業となったNGKエレクトロデバイス株式会社が、アルミナ系の絶縁放熱回路基板のビジネスを展開していたことがきっかけとなってスタートしました。その際に着目したのが、窒化ケイ素系という新機軸です。EV化の進展により、電動車用のパワー半導体モジュールに搭載される絶縁放熱回路基板として、窒化ケイ素系の今後の需要増は確実という予測の下、当時私が室長を務めていた新事業企画室(NV推進本部の前身)が主導する形で、SN絶縁放熱回路基板の開発に乗り出すこととなりました。
当社では、それまで技術主導の商品開発を行っていましたが、この案件はマーケットインの発想でテーマを創出し、最初からビジネス展開を念頭に置いて取り組んだ事例です。新事業企画室は司令塔の立ち位置で全体を統括し、窒化ケイ素に関する積極的な情報収集、他企業や大学等の研究機関と協働、社内各部署との連携強化による既存技術の応用・転用のコーディネートといったマネジメント業務に注力しました。例えば、銅を貼り合わせる技術には金属事業部のノウハウを、接合には金属事業部やHPC事業部が持つ技術を集めて応用するなど、NGKグループ独自のさまざまな技術が生かされています。また、将来的な市場拡大を見据えて早い段階から主戦場となる欧州に人材を送り込み、自動車部品メーカーにアプローチをかけてシェア獲得に向け先手を打ちました。NGKグループには自動車部品のグローバル生産に強みがあり、市場の実績もあったことから先方の反応も上々、「世界のシェアの半分を取りに行く」を合言葉に、販売網の開拓も順調に進みました。このように技術サイドと営業サイドが方向性を共有し、役割分担をしながら同時進行で動いていったことで、スピーディーな商品開花および社会実装体制の構築が実現できたのです。このやり方はNV1000戦略を担当するNV推進本部にしっかり踏襲されており、NGKグループの新規事業化フォーマットとして根付きつつあります。
今後はNV1000の達成に向け、技術的な差別化、供給能力の安定化に注力し、シェア拡大を目指します。研究開発部門とマーケティング部門が連携してこの事業を発展させ、達成を牽引したいと考えています。さらには、パワー半導体の周辺には数多のセラミックスビジネスの可能性があることから、絶縁放熱回路基板事業をステップに、パワーエレクトロニクスの未来を担う商品開発にも挑戦していきます。
(インタビューは2024年5月に実施)