製品情報
ハンガリー国営エネルギー会社でNAS電池の運転開始式が開催
ハンガリーエネルギー省副大臣、国営エネルギー会社CEOらが出席
2025年06月23日
日本ガイシ株式会社(社長:小林茂、本社:名古屋市)がハンガリーのエンジニアリング企業であるDuna Center Therm Uzemi Szolgaltato Kft.を通じてハンガリー国営のエネルギー会社MVMグループの子会社MVM Balance Zrtから受注した電力貯蔵用NAS電池の設置・試運転作業が完了しこのたび、運転開始式が開催されました。
NAS電池はMVM Balanceの発電所内に設置され、電力系統安定化用途の系統用蓄電池の実証に使用されます。電力の余剰時には蓄電し不足時には放電することで電力需給を安定させる系統用蓄電池の社会実装に向けた検証のほか、電力の需給ギャップをなくすための電源(調整力)を取引する需給調整市場への調整力供出も検討します。MVMグループでは、再生可能エネルギー(再エネ)の需給調整の方策として蓄電池の導入を本格的に進めていく方針で、今回の実証で今後導入する系統用蓄電池の性能基準が検討される予定です。
設置・試運転作業完了にあたり、MVM Balanceの発電所で6月10日に運転開始式が開催されました。政府関係者やMVMグループの責任者らが出席し、ハンガリー エネルギー省の副大臣らが以下の内容でスピーチを行いました。スピーチでは、同発電所への蓄電池導入は、より迅速かつ柔軟な電力需要対応を可能にし、エネルギー安全保障の向上に貢献する旨が言及されました。
ハンガリー エネルギー省 副大臣 Attila Steiner 氏 コメント
エネルギー省では、2030年までにハンガリー国内で1ギガワットの電力貯蔵容量を確保することを目指しています。今回の実証はその目標に向けた新たな一歩であり、同時にエネルギーの主権、持続可能性、技術革新にも資するものです。強靱な地域の構築には安定したエネルギー供給が欠かせません。本実証は、地域の企業や住民が信頼できる電力を得る鍵となるでしょう。
日本ガイシ株式会社 常務執行役員 エネルギー&インダストリー事業本部長 篠原 宏行 コメント
今回の実証に参画できたことを誇りに思っています。NAS電池は、電力を長時間充放電することが可能で、再エネの安定供給に貢献する大容量蓄電池です。ナトリウム(Na)と硫黄(S)という豊富な資源を使用しており、地政学リスクにも強いという特長があります。本実証がハンガリーのエネルギー課題の解決に有効な役割を果たし、地域社会に好影響をもたらすことを楽しみにしています。
2050年のカーボンニュートラル達成を法制化しているハンガリーは、2030年までに発電量の90%を低炭素電源に転換する目標を掲げており、再エネの導入が急速に進められています。特に太陽光発電設備の設置容量は約8ギガワットに達しており、ハンガリー国内の電力供給の25%以上を賄っています。再エネの安定利用には電力の需給調整が不可欠であり、エネルギー安全保障上の喫緊の課題となっています。また、ハンガリーでは平坦な地形が多く、高低差が必要となる揚水発電※の建設が困難なため、代替としてNAS電池のような大容量の蓄電池の需要が高まっており、今後の採用が期待されます。
NAS電池は、再エネの安定化や電力需給バランスの調整、非常用電源などさまざまな用途で利用されており、現在までに全世界で300カ所以上、20年以上の安定的な運用実績があります。当社は今後もNAS電池の提案・販売活動をさらに推進し、世界の再エネ導入拡大とカーボンニュートラルの実現に貢献していきます。
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※揚水発電
水を利用して電気を蓄える蓄電池のような役割を担う設備。発電所の上部と下部に水を蓄える調整池をつくり、電力需要が大きい時間帯には上部から下部へ水を流下させて発電し、電力需要の少ない時間帯には、余剰電力で下部から上部へと水をくみ上げて再び発電に使う。
運転を開始したNAS電池の概要
設置場所 | MVM Balance 発電所(ベスプレーム県リテール市) |
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出力 | 直流750キロワット(最大出力) |
容量 | 直流4,350キロワット時(納入時) |
設置台数 | コンテナ型NAS電池3台 |
用途 | 電力需給調整、需給調整市場などへの電力供出に向けた実証 |

運転開始式の概要
日時 | 6月10日(火)10時00分~12時50分(現地時間) |
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場所 | MVM Balance Liter火力発電所 |
参加者 | ハンガリー エネルギー省 副大臣 Attila Steiner 氏 MVMグループ CEO Károly Mátrai 氏 MVM Balance Zrt CEO Sándor Csorba, 氏 日本ガイシ株式会社 常務執行役員 エネルギー&インダストリー事業本部長 篠原 宏行 ほか |


NAS電池について
NAS電池は日本ガイシが世界で初めて実用化したメガワット級の大容量蓄電池です。大容量、高エネルギー密度(コンパクト)、長寿命を特長とし、長期にわたり高出力の電力を長時間、安定して供給することが可能です。全世界で300カ所以上、総出力74万キロワット(740メガワット)・総容量約500万キロワット時(約5,000メガワット時)の設置実績を持ち、電力負荷平準によるピークカットや非常電源用途のほか、再生可能エネルギーの安定化やスマートグリッドの構築など、さまざまな用途で利用されており、環境負荷の低減、カーボンニュートラルの実現に貢献しています。
NAS電池は、世界的な第三者安全科学機関であるUL Solutionsによる評価プログラムを通じ、定置用蓄電池の安全規格UL1973のUL認証(単電池・モジュール)を取得しています。また、バッテリーおよび蓄電池システム内の火災リスクを検証する試験規格であるUL9540A規格に基づく試験レポート(単電池・モジュール・設置レベル)を取得し、UL9540A規格に基づく要件への準拠を確認しています※。
NAS電池製品情報
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※コンテナ型NAS電池(及び搭載される単電池・モジュール)を対象としています。
参考情報
ハンガリー国営エネルギー会社の系統用蓄電池実証向けにNAS電池を受注(2024年8月30日)
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※「NAS」は日本ガイシ株式会社の登録商標です。
以上