第四回 「成型」2スラリーを使った成形

「成形」の第2回は、スラリーを使った成形について紹介します。スラリーとは、水にセラミック粒子が混ざった流動性のある状態のこと。石膏型に流し込んで形づくる「鋳込み成形」の技術をさらに発展させた「モールドキャスト成形」と「フィルター成膜」を紹介します。

従来行っていた鋳込み成形は、スラリー内の水分を石膏型に吸水させて固める方法です。吸水量に限界があるため厚みのある製品の成形が難しいことや、セラミック粒子の密度分布がバラつきやすいため乾燥や焼成工程で変形が起こりやすく、複雑形状に仕上げるには焼成後の機械加工が必要になることなど、多くの問題がありました。

そこで複雑な形状のセラミックスを簡単に、しかも高精度に成形するために開発したのがモールドキャスト成形です。ゼリーやアイスキャンデー、ろう細工のように温度変化を利用した方法や、セメントやアクリル樹脂のように化学反応を利用した方法など、型に流して成形する方法を応用したもので、化学反応を利用してセラミックスラリーを固化します。金型にスラリーを流し込んでそのまま固められるので、複雑な形状も型通りに成形でき、密度分布のバラつきや変形も起こりません。現在、セラミックスの新成形法としてさまざまな製品への適用を進めています。

このページのトップへ

フィルター成膜は、浄水システム用の大型セラミック膜や家庭用浄水器「C1」用のフィルターに欠かせない、水から微細な異物を取り除くフィルター層を成膜するため開発したもの。押出成形後に焼成したレンコン状の基材に、水やセラミック粒子、有機高分子などからなるスラリーを流し込むと、基材の内壁にセラミック粒子と有機高分子がこし残されてフィルター層を成膜します。ポイントはセラミック粒子の一粒一粒を整然と積み上げ、レンコン状の穴全て(大型セラ膜1本に2000個の穴)に均一な厚さのフィルター層をつくること。スラリーに「とろみ」をつけることで、スラリー自身による成膜速度のコントロールが可能となり、均一な成膜を実現しました。

このページのトップへ

どちらの成形でも重要なのは、スラリーを成形や製品にとって最適な状態にすることです。このため、原料の粒度配合や(水素イオン濃度)の調整、分散剤の添加などを行い、濃度や粘性、粒子の凝集状態を徹底管理。モールドキャスト成形では乾燥や焼成時の収縮に大きく影響する水分を最小限に抑えつつ流動性を高め、フィルター成膜では適度なとろみをつけています。

「練る」「混ぜる」といったプロセスの中で、スラリーはセラミック原料を混合したときの均一性が最も高い状態。このため、スラリーを用いるモールドキャスト成形やフィルター成膜は、均質性の高い良質なセラミック部品をつくる重要な技術の一つと言えます。「成形」プロセスでは、より信頼性の高い構造部品や、サブミクロンの細菌まで確実にろ過できるフィルターといった高機能製品をつくるため、さらなる研究を進めています。

次回は現在、ものづくりセンターで取り組んでいる新しい成形技術について紹介します。

参考文献
助剤でこんなに変わるセラミックス (株)ティー・アイ・シー
前へ 次へ
このページのトップへ
ロゴ-日本ガイシ-