第七回「焼成」2進化する焼成技術

セラミックスの焼成技術は、品質向上のための「温度制御性」とコストダウンを図る「熱効率」に挑戦することで発展してきました。トンネル窯を例に焼成技術の進化を紹介します。

「流し焚き」で排熱を利用する

トンネル窯は20世紀初めに欧米で完成したもので、図のように窯入口から予熱帯、焼成帯、冷却帯で構成されています。トンネル窯の焼成方式は燃焼ガスの排熱を利用した「流し焚き」方式で、製品はトンネル空間を通過することで焼成されます。「流し焚き」とは、焼成帯でバーナーを焚き、発生した燃焼ガスを予熱帯に流し、製品を加熱した後に窯入口付近で排気する方法です。

当社では1928年にがいし用焼成炉として初めて「流し焚き」方式のトンネル窯を導入しました。

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温度制御性と熱効率の両立の時代へ

「流し焚き」では、昇温域の温度は、最高温度域で発生した燃焼ガスの熱量によって決まります。また、窯内は上下の温度差が発生しやすく、燃焼ガスの流れがさらにこの温度差を助長します。このため、温度を自在に制御したり、温度分布を均一にするには、大量の燃焼ガスを高温で排気したり、大量の空気を投入しなければなりません。

初めはがいし用のトンネル窯を改造して利用していたハニセラムの焼成も、薄壁化など製品が進化するにつれて、温度制御性への要求が厳しくなってきました。従来の「流し焚き」では、温度制御性を追及するほど本来の高い熱効率が低下してしまうため、温度制御性と熱効率を両立させる新しい焼成技術の開発が不可欠となってきました。そして、さまざまな試行錯誤を重ねた結果、2001年に「リジェネバーナー」と「ゾーン制御」の組み合わせによる革新的な焼成技術が完成しました。

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2つの焼成技術がカギ

「リジェネバーナー」は内部に備えた蓄熱体を通して、燃焼と排気の両方を行うバーナーです。燃焼と排気を周期的に切り替えることで、蓄熱体を介して燃焼ガスの排熱を回収し、その熱で燃焼空気を予熱します。

また、「ゾーン制御」とは、予熱帯や焼成帯、冷却帯の各段階(「焼成」(1)焼成のメカニズム参照)で発生した燃焼ガスを従来のように流さず、各段階内で排気することで、各段階での温度制御を独立して行う方法です。「リジェネバーナー」を組み合わせることで、排気する燃焼ガスの温度を再利用し、熱効率のさらなる向上を図りました。

この技術の実現によって、新しいトンネル窯は温度制御性が飛躍的に向上し、焼成品質が大きく向上、さらに焼成時間が短縮され、熱効率も大幅に向上しました。

排熱からエネルギーをつくる

近年、地球環境問題への対応という意味でも、焼成工程の効率化への要求はますます強くなっています。今後は、窯の熱効率だけではなく、窯の排熱からほかに利用可能なエネルギーをつくる技術や、低温焼結、自己燃焼焼結といった革新的なプロセスの実現に向けて、開発を進めていきます。

参考文献
(1)日本ガイシ75年史 (1995年) 日本ガイシ株式会社発行
(2)日本工業用加熱炉 鈴木、井田共訳 W.TRINKS原著 (1957年初版) コロナ社発行
(3)JFRC20周年記念出版 産業燃焼技術 (2000年) 省エネルギーセンター発行
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