多孔体ってなに

最近、一般消費者向けのアイデア商品の包装やチラシをはじめ、テレフォンショッピングなどでもよく目にするようになった「多孔体」。  多孔体というのは穴、専門用語では「気孔」がたくさん空いているものをさします。つまり、「『多』くの気『孔』が空いているもの」という意味で「多孔体」と呼びます。

このような多孔体は、みなさんの生活の中でもたくさん使われています。例をあげますと食器を洗うためのスポンジ、脱臭剤の中に入っている炭、タオル、発泡スチロールからティッシュにいたるまで、さまざまなものがあります。

このように、多孔体がさまざまなところで使われているのは、多孔体の「たくさんの気孔を持つ」という性質が便利なはたらきとして利用されているからなのです。

たとえば、上述のスポンジやタオル、ティッシュなどは、その気孔の中に水や液体を吸い取り、保つはたらきがあります。また、炭(専門的には活性炭)は、臭いの元となる小さな有機分子を吸い込んで放しません。発泡スチロールは空気を含み、これにより熱を通さない断熱材や、梱包した物を衝撃から守るクッションの役割を果たします。そして、最近では、多孔体の気孔の形や大きさを調節することで、より高性能な多孔体の開発が進められています。

この講座では、その中でも、特に、セラミックスに気孔を空けた「セラミックス多孔体」についてお話します。

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セラミックス多孔体

セラミックスとは、一般的には、高温で焼きしめる無機材料のことを言いますが、「セラミックス多孔体」とは、文字通り多くの気孔をもつセラミックスのことです。 熱や応力に強いセラミックスに、さらに気孔の性質を生かした機能を持たせようとしたのがセラミックス多孔体というわけです。

セラミックス多孔体の微構造写真の例

セラミックス多孔体の微構造写真の例

多孔体の動画イメージ■セラミックス多孔体の働きを模した動画を見ることができます。
(動画の再生にはFlashPlayerが必要です。お持ちでない方はこちらから入手してください。)

セラミックスと気孔

それでは、どのようなものがあるのでしょうか?ここでは、ザッと気孔の形とサイズから、どのようなものがあるのかをご紹介します。まず、気孔の形に関してですが、おおまかに分類すると下図のようなものがあります。

気孔の形

まず、開孔は、それより小さなものだけを通したり、吸い込んだりすることに使われます。これにより、ある混合物(混合気体)から、目的のものだけを分離することができます(フィルター、吸着剤)。また、さらに触媒などを載せることで、その機能を果たす場所にもなります。(触媒担体)。一方、閉孔は、セラミックスの中に多数の空孔を持たせることで、その材料を軽くしたり(軽量化)、熱や音を遮断したりすることができます(断熱材、吸音材)。
次に気孔の大きさに関してですが、専門書ではセラミックス多孔体は概ね下記のように分類されています。

気孔の大きさ

Å(オングストローム)とは長さの単位です。非常に小さな世界(1Å=1000万分の1mm)をあらわすもので、原子や分子の世界の大きさです。このように、セラミックスの分野では、非常に小さな世界から、我々の目で見ることのできる数mmの世界まで非常に広範囲のセラミックス多孔体が存在しています。

セラミックス多孔体について、今回は概要をお話しました。
次回は、実際の製品を例にとりながら、セラミックス多孔体の1つである「セラミックスハニカム」や「セラミックスフィルター」の話をします。

参考文献
「多孔性セラミックスの開発」 服部信/山中昭司監修 シーエムシー(株)
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