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ニアラインストレージ

ニアラインストレージの
HDD大容量化に貢献する、
米粒の4分の1サイズの圧電素子

時代の変化によって主流となりつつあるニアラインストレージ

データを保存するストレージの使われ方は、時代とともに変わってきています。
従来、銀行のATMの背後にある実行サーバーのように、頻繁にアクセスがあるストレージはオンラインストレージと呼ばれる一方、アーカイブとして使われるものはオフラインストレージと呼ばれてきました。
しかし、情報通信技術の発達とSNSや動画配信サービスなどの普及により、映像・音声など大容量のデータがインターネット上で頻繁にやりとりされるようになったため、こうしたデータを保存するデータベースサーバーが多数設けられるようになりました。
こうした、これまでとは異なるタイプのストレージは、ニアラインストレージと呼ばれています。

ニアラインストレージのHDDに求められるのは大容量と信頼性

ニアラインストレージのデータ記録装置はハードディスクドライブ(HDD)が主流です。扱うデータ量の増大に伴って、HDDも大容量化が求められており、それと高信頼性を両立させるための開発が精力的に行われています。

ニアラインストレージ用のHDDは、現在、ディスクが9枚で、各ディスクの両面に書き込むものが代表的です。しかし、大容量化のために枚数を増やすには限度があるため、トラック間隔を狭める努力がなされ、いまや数十ナノメートルとなっています。
また、熱やマイクロ波を用いて情報をより細かく書き込む技術も開発が進んでいます。

磁気ヘッドの精密な位置決めを可能にするマイクロアクチュエーター

このため、ディスクの情報を読み書きする磁気ヘッドの位置決めも精密化が必要となり、「マイクロ二段アクチュエーター(DSA)サスペンション」が使われるようになりました。
HDDの磁気ヘッドはアームに装着されており、アームの付け根にあるコイルで駆動されますが、DSAは、アームに、磁気ヘッドのすぐ近くで駆動するマイクロアクチュエーターを加え、磁気ヘッドの位置を微調整できるようにしたものです。

磁気ヘッドの位置を微調整するマイクロアクチュエーター

小さいのにわずかな電圧で大きく変形する日本ガイシの圧電素子

マイクロアクチュエーターには、電圧をかけると変形する圧電素子が使われています。日本ガイシの圧電素子は、米粒の4分の1ほどのサイズ。材料のセラミックスも、素子の構造も独自開発で、こんなに小さいのに、わずかな電圧で大きく変形し、磁気ヘッドの精密な位置決めを可能にします。

微小な圧電素子を効率よく成形、加工、焼成する技術、そして、できあがった製品の全品検査技術も、日本ガイシならではのもの。
性能も信頼性も高い製品はHDDメーカーから高く評価されています。

圧電マイクロアクチュエーター

ライター

青山 聖子あおやま せいこ

科学技術ジャーナリスト

お茶の水女子大学・同大学院で化学を専攻。ファンディング・エージェンシーで広報にかかわった経験や、化学雑誌で取材や編集を行ってきた経験を生かし、サイテック・コミュニケーションズで研究機関や技術系企業の広報媒体(ニュースレター、ウエブページなど)を制作している。いくつかの大学でサイエンス・ライティングも教えている。

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