サブナノ(※)セラミック膜は、1ナノメートルより小さい穴を持つセラミックフィルター。
その微細な穴に通すだけで、分子レベルで気体を分離できる「分子のふるい」が誕生しました。革新的な分離プロセスを実現する注目の技術です。
※サブナノとは、1ナノ(10億分の1)メートル以下という意味です。
気体がセルを通ると、CO₂だけが側面から排出され、 メタンガスなどは、そのまま端から排出されます。
なぜ、特定の分子をふるい分けることができるのでしょうか?
1,600本のセルの内面全てにわたり緻密に形成した膜の面積はなんと12㎡。
世界最大級のセラミック製の分離膜です。
一度に大量に、しかも素早くCO₂を分離します。
穴の大きさは約0.4ナノメートル。
この微細な穴が、二酸化炭素(CO₂)とメタン(CH₄)の、わずかなサイズ・構造の違いを正確にふるい分け、混合ガスからCO₂だけを取り除くことができます。
高圧、高CO₂濃度でも、優れた分離性能を発揮できるのがセラミックフィルターの強み。
エネルギーの生産現場で活躍が期待されています。
天然ガス(メタン)の精製時、サブナノセラミック膜に通すだけで混ざっているCO₂を除去し、ガス資源を効率的に取り出すことができます。
CO₂を有効利用する「CO₂-EOR」(二酸化炭素原油増進回収法)において、サブナノセラミック膜は活躍が期待されています。分離したCO₂を地下に貯めれば、地球温暖化対策にも貢献します。
サブナノセラミック膜は、エネルギー供給と環境貢献を両立するとともに、従来品より低コストでの分離プロセスを実現します。
まさに「一石三鳥」なセラミックスです。
CO₂を地下の油層に圧入することにより、油層内に残る原油の粘性を低下させ、流動性を高めることで、原油回収率を高める技術。
圧入したCO₂のおよそ半分が、地中に貯留されるといわれています。
CO₂の排出を抑制し、地下深くに閉じ込めて貯留する「CCS:Carbon Capture and Storage」の切り札として、導入が進んでいます。
独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と日揮グローバル株式会社(本社:横浜市)が共同で米国の油田で行う 「DDR 膜による CO₂分離回収技術のフィールド実証試験」に採用されました。
原油随伴ガスからのCO₂分離・回収用途にセラミック膜が適用されるのは世界で初めてです。