磁器製がいしの作り方
「セラミックス」という言葉を聞いた
ことがありますか?
セラミックスは、プラスチックなどの有機材料や金属材料を除く全ての固体材料のことで、人々が昔から利用してきた土器や焼き物もセラミックスの一種です。セラミックスは熱に強くて固く、さびつくことがなく、電気を通さない性質をもっており「がいし」の素材として利用されてきました。
磁器がいしは、通常の焼き物と同様にさまざまな原料を混ぜ合わせて練り上げ、形を整えて高温で焼き固めることにより作られますが、製品ごとの性能を均一にするため、厳しい工程管理をしながら製造されています。
-
1.原料を調合する
陶石、長石、粘土、アルミナなどの原料を正確に計ります。
-
2.原料を細かく砕き、混ぜる
原料に水を加え、細かく砕きながら均一に混ぜ合わせます。
その後、粗い粒子や鉄粉などの異物を取り除きます。 -
3.練りながら円柱状や円筒状にする
水分を絞った後、空気を抜きながら均一に練り、円柱状や円筒状にします。
-
4.形を作る
懸垂がいし
回転する金属の型を使って、形を作ります。
がい管
素材を回転させ金属の刃物で削って、形を作ります。
-
5.乾燥させて釉薬(ゆうやく、うわぐすり)を付ける
乾燥させた後、釉薬を表面全体に流しながらかけます。
釉薬により、電気的・機械的強度が増します。また、がいし表面に汚れが付きにくくなります。 -
6.焼く
約1,300℃の高温で焼くことで、とても強い磁器となります。
焼く工程では、温度や時間の管理がとても重要です。
焼いた後、がいし(磁器部分)の品質確認をするため、検査を行います。 -
7.組み立て・検査
がいし(磁器部分)と金具を組み立てます。
組み立て後、製品としての品質確認をするため検査を行います。 -
8.完成!
「がいし」の部品には金属も
使われている
電気を絶縁するための「がいし」ですが、実は電気を通す金属も使われています。「がいし」のセラミックス部分だけでは、がいし同士の連結や、鉄塔、電力機器への取り付けがうまくできません。がいしは、それぞれの素材の特性を生かし、絶縁を「がいし(セラミックス)」部分で、連結や取り付けは「金具」部分でと役割を分けています。
日本ガイシの懸垂がいしは、セラミックスが圧縮力(押しつぶす力)に強い特長を生かし、上下の金具を引っ張ったとき、セラミックス部分には押しつぶす力が働くような工夫がされています。
大きいものでは、直径40cmの懸垂がいし1個で84トンもの引っ張る力に耐えることができます。