製品情報

有機化合物結晶探索サービス

サービス開発の経緯

赤外線放射板

医薬品開発においては化合物の結晶構造の違いは化合物の性質に影響し、医薬品の体内への吸収率や保存期間などに影響するため、製薬業界では結晶多形のスクリーニングの重要性は広く認識されています。その中で、日本ガイシが長年培ってきたセラミック焼成技術に由来する膨大な赤外線に関する知見が、化合物の結晶形の探索に応用できる可能性を発見しました。その後さまざまな研究を経て、北海道大学との共同研究により特定波長の赤外線を選択的に照射可能な特殊デバイスの開発に成功し、さらには大阪大学が保有する有機化合物の結晶化に関するノウハウを用いることで、複数の実験でこれまでは発見できなかった未知の結晶形の析出に成功しました。この結果により、世界初となる特定波長の赤外線を用いた有機化合物結晶探索サービスの開始に至ります。また、本サービスのさらなる向上を目指して、化合物の結晶析出プロセスを明確にする独自の結晶形予測ソフトの開発にも取り組んでいます。これは当社が有する赤外線放射エネルギーの時間変化を解析できる独自のソフトを進化させたものです。

当社は「社会に新しい価値を そして、幸せを」を私たちの使命として、その技術をアンメットメディカルニーズの解消に役立てるべく日々研究に取り組んでいます。これからも独自に培ってきたセラミック関連技術を生かし、新製品・新事業の創出を進めていきます。

  • 結晶多形とは、同一の化合物であっても析出する際の条件が異なることで、析出する結晶構造も異なる現象のことです。

技術コンセプト

特定波長制御技術を使ったアプローチで化合物の官能基を活性化

結晶は分子間の結合により形成され、その結合は化合物の官能基を介して行われます。官能基は特定の周期で振動し、その周期と合致する特定波長の赤外線は振動を活性化させます。当社の特殊デバイスは、特定波長の赤外線を選択的に照射することで官能基の振動を活性化し、分子間の結合に影響を与えることで結晶多形析出を可能にします。従来とは全く異なる手法であるからこそ、これまで発見するのが困難であった未知の結晶形の析出に寄与すると考えられます。

通常条件下(赤外線照射なし)での結晶形の生成される様子を示した図です。
通常の条件(赤外線照射なし)
赤外線照射ありの条件下での結晶形の生成される様子を示した図です。
赤外線照射あり

本サービスの利点

価値ある結晶形の析出

新たな手法だからこそ、これまで発見するのが困難であった未知の結晶形を見いだせる可能性があります。

知財戦略への貢献

新たな結晶形を見つけ、特許の取得につなげることで強固な特許網を可能にします。

リスクマネジメント

多様な結晶形を認識し、特性を把握することでトラブル発生のリスクを下げます。

今後の技術アップデート

独自の結晶形予測ソフトで析出プロセスを明確化

たった一つの化合物であっても多くの結晶形を見いだすためにはさまざまな条件を調整する必要があります。これらの条件の組み合わせの数は膨大なものになるため、有効な予測ツールの開発が待ち望まれていました。このような予測ツールには、結晶が析出する状態の時間変化を反映させることが重要となりますが、当社は過去の取り組みにおいて赤外線放射エネルギーの時間変化を解析できる独自のソフトを開発していました。そこでこのソフトに物理化学の理論とAI(人工知能)を応用し、結晶析出プロセスを明確化する独自の結晶形予測ソフトを開発中です。2025年度中には完成させて、さらなる効率的な結晶多形析出を目指します。

受託契約フロー

お問い合わせから試験結果ご報告までの基本的な流れ

お問い合わせから試験結果ご報告までの基本的な流れを示した図です。

パンフレットのご請求、サービスについてのお問い合わせ

パンフレットでは本技術を用いて未知の結晶形が析出した事例や結晶形の作り分けを行った事例などについてもご紹介しています。ご要望の方や有機化合物結晶探索サービスに関するご質問やご相談は、下記フォームより必要事項をご入力の上、ご連絡ください。

有機化合物結晶探索サービスに関するお問い合わせ

NV推進本部 ライフサイエンス部