環境保全分野の研究開発
浄化システム用大型セラミック膜フィルター
日本ガイシは、古くから地球環境保全事業に携わってきました。上下水分野では、水処理・汚泥処理のプラントエンジニアリング、大気汚染防止では 自動車の排ガスを浄化するために不可欠なハニカムセラミックスを主力として、それぞれの分野で確固たる地位を築いてきました。
現在、これら事業で培ってきたセラミック多孔体をキーマテリアル、細孔径制御技術、表面改質技術をキーテクノロジーとして、自動車分野ではディーゼル車用排ガス浄化フィルター(DPF)を開発し、量産を開始いたしました。また、水素ガスをはじめとするガス分離・精製装置への応用を研究しています。
セラミック多孔体とは、連続した、若しくは不連続な多数の孔(気孔)をその内部に有するセラミックスのことです。セラミック多孔体は用途により孔径が大きく異なりますが、これを用いる事により、孔の大きさの違いを利用した固体・液体・気体の分離、または、孔による大きな表面積を利用した吸着や触媒の担持を行う事が出来ます。また、表面に別の機能を有する膜を形成し、セラミック多孔体を基材として用いることも有ります。
ディーゼル車用排ガス浄化フィルター
(DPF)の構造の模式図
ディーゼル車用排ガス浄化フィルター
(DPF)の外観
大気汚染に関する大きな問題として、ディーゼル車から黒煙として排出される粒子状物質(PM)に目が向けられています。PMの削減対策として注目されているのが、ディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)です。DPFはハニカムセラミックスの両端を交互に塞ぐことで、数μmから数10μmの気孔を有するセラミックスの薄壁を多孔体フィルターとして使用するものです。
ゼオライト膜を用いたガス分離膜
直径12mm×長さ160mm
石油化学の分野では、特定のガスを取り出すために、エネルギー消費の大きい蒸留法や、複雑な装置を要する吸着法による分離プロセスを行っています。省エネルギーの観点から、この工程に代わる次世代の分離プロセスとして、簡単で効率的な膜分離法が注目されています。
ゼオライトは、1nm(10億分の1m)未満の微細孔が規則的に配列した網目状の結晶構造を持ち、分子サイズがわずかに違う特定のガスを分離する「分子ふるい」の機能を持っています。これをセラミック多孔体基材の表面に成膜することにより、各種ガスを分離するガス分離膜を開発しています。
例えば、MFI型と呼ばれるゼオライトを用い、石油精製工程で生じるキシレン異性体からパラキシレン(PETボトルの原料として有用)だけを効率よく分離するガス分離膜の開発に成功しました。
この他にも、DDR型とよばれるゼオライトを世界で初めてセラミック多孔体基材上に成膜し、メタンと二酸化炭素の混合ガスからそれぞれを分離することにも成功しています。天然ガスの精製や生ごみを発酵させて得られるバイオガス中のメタンの精製への応用が期待されます。
水素分離膜
直径30mm×長さ300mm
近年、クリーンエネルギーとして水素が注目されています。水素の精製は吸着剤を利用した方法が実用化されていますが、装置容積が大きいという問題があります。パラジウム合金は水素ガスを選択的に透過することが知られていますが、これをセラミック多孔体基材の表面に成膜することにより、水素を効率よく取出すガス分離膜を開発しています。高価なパラジウム膜を薄くし、低コスト化と水素透過能の向上を両立することがポイントとなります。コンパクトな水素精製装置や触媒と組みあわせたメンブレンリアクターとして、水素ステーションなどへの展開を考えています。