人材価値の向上
担当役員メッセージ

「5つの変革」を成し遂げるためのNGKグループ人的資本経営

取締役専務執行役員 人材統括部所管 山田 忠明の写真

企業経営の根幹は「人」であり、人材はコストでなく「資本」です。いまだかつてない変革期を迎えているNGKグループは、今後の飛躍に向けて人的資本経営の重要性を認識し、2023年6月、NGKグループ理念、NGKグループビジョンに結び付ける形で、グループ人的資本経営方針を策定しました。

時代の変化に伴い、求める人材像も変化

NGKグループは、2019年にNGKグループ理念を刷新し、2021年には、理念を実現するために進むべき方向を定めたNGKグループビジョンを公表しました。ありたい姿として掲げる「カーボンニュートラル」「デジタル社会」への貢献に向けて推し進めている5つの変革を成し遂げるためには、人材を「資本」とみなし中長期的な企業価値向上につなげていくこと、すなわち人的資本経営に積極的に取り組むことが不可欠と考えており、その道しるべとなるのがNGKグループ人的資本経営方針です。

創業以来、独自の多彩なセラミック技術を強みにして順調な成長を遂げてきたNGKグループですが、時代の変化に伴い、今、大きな変革期を迎えています。EV化の進展により、主力である内燃機関向け事業の将来的な縮小は明白であり、持続的成長のためには、次代を担う新たな事業や製品を創出していかなければなりません。そのような事業環境の変化を受けて、求める人材像もおのずと変化しており、従業員一人ひとりがそれらの変化を自分事として受け止め、意識改革を進めていけるよう、NGKグループの目指す人材戦略の方向性を明確にしました。

5つの変革の実現に直結する、人的資本経営方針

NGKグループ人的資本経営方針は、HR委員会主導のもと、幾多の議論を重ねて策定に至りました。方針に掲げたのは、「5つの変革を実現する人材の確保・育成」です。加えて、そのために必要な要素として、「豊かで活気あふれる職場づくり」や「挑戦を後押しするオープンな職場づくり」を併記しています。「豊かで活気ある職場」が指すものは人によって違いますが、やりがい、報酬、働きやすさ、信頼関係、健康など、さまざまな価値の創出につながることを意図して選んだ言葉です。また、NGKグループは、祖業から受け継いだ「挑戦のDNA」がある一方で、堅実な社風が根付いているため、変革を成し遂げるためには挑戦を促し、たとえ失敗したとしても意欲や過程を評価する企業文化の醸成が必要と考えました。

求める人材像は「高度な知識、技術、能力を身につけ、主体的に問題に取り組む人材」「チームワークを発揮し、粘り強く成果につなげる人材」「自律的に成長し、自身と会社を変革し続ける人材」の3つです。高い技術力、突き抜けた専門性によって道なき道を切り拓いてきたNGKグループには、素晴らしい人材が育っており、従業員たちは各々の持ち場で「稼ぐ力」を支えています。今後は現在の稼ぐ力を維持しつつ、アドオン方式で挑戦領域を広げていける体制づくりを進め、一人ひとりのポテンシャル発揮を後押ししていく考えです。

中でも特に注力するのは、「DXブリッジ人材」「グローバル経営人材」の確保・育成です。DXブリッジ人材とは、デジタルの専門知識や専門スキルを持つデジタル人材と各事業の橋渡しを担う人材で、DXとビジネスの両方を理解した上で企画立案や課題解決を行うなど、5つの変革に含まれる「DX推進」のキーパーソンとなって活躍してもらいたいと考えています。そのための施策として、所属先の部門から離れ、本業とは兼務をせずにデータ分析やデジタル技術を集中して学ぶ社内DX留学制度、ITリテラシー向上を目的としたITパスポート資格取得の推奨といった取り組みをスタートさせています。

グローバル経営人材とは、ローカルマネジメントをNGKグループ理念、NGKグループビジョン、事業戦略とつなげるブリッジ人材を指します。海外拠点において、さまざまな言語、習慣、価値観が混在する組織を束ねられる人材を求めており、マネジメント力、判断力、行動力、異文化コミュニケーション能力を併せ持った人材の確保・育成を推進します。従前より語学研修をはじめ、異文化理解を基礎としたコミュニケーション・マネジメント研修、各国エリアスタディなどのグローバルセミナーを実施しており、今後はさらなる教育プログラムの充実を図ります。また、コロナ禍で中断している海外実務研修プログラムも、機を見て復活させていく計画です。

多様性確保に向けた人材育成方針、社内環境整備方針

人的資本経営方針に示した求める人材像に合わせ、人材育成方針を刷新し、社内環境整備方針も新たに策定しました。これら2つの方針のもと、ダイバーシティ&インクルージョンを積極的に推進し、多様な人材が各々の能力を発揮して活躍できるよう、個性やライフステージの変化に合わせて働き方を選択できる制度や、環境・風土づくりに努めていきます。具体的には、前述のDXブリッジ人材やグローバル経営人材育成に向けた取り組みのほか、階層別教育、キャリア自律サポートなど、さまざまな人材育成施策を展開し、個々の成長をサポートしていきます。併せて、部門を越えて異動するジョブローテーション制度の導入など、人事制度の改革も進めており、一人ひとりの人間の中にある「個の多様性」を育む取り組みにも注力していきます。

また、人材確保については、今後の事業展開並びに事業領域の拡大を視野に、さまざまな分野の専門的な知識や技術を持った人材の採用を積極的に進めています。これまで社内にはなかった視点や発想、ネットワークをもたらしてくれるなど“新しい風”による効果は大きく、新しい事業の芽が生まれるといった成果も出始めていることから、確かな手応えを感じています。

NGKグループ人的資本経営方針

当社グループは、NGKグループ理念の中で、挑戦し高めあう人材を私たちが目指すものの1つと位置づけ、「社会に新しい価値を そして、幸せを」という私たちの使命の実現に取り組んでいます。また当社グループは、NGKグループビジョンの実現に向けて、「5つの変革」に取り組んでいます。5つの変革を成し遂げるためには、人材一人ひとりの活躍が不可欠です。採用や育成を通じて5つの変革に取り組む人材の充実を図ること、その人材が持てる力を十分に発揮できる環境を整えることを、当社グループの人的資本経営の基本とし、次の通り「人材育成方針」ならびに「社内環境整備方針」を定めます。

人材育成方針

NGKグループは、5つの変革を実現するため、以下のような能力、マインドを持つ人材を育成していきます。

  • 高度な知識、技術、能力を身につけ、主体的に問題に取り組む人材
  • チームワークを発揮し、粘り強く成果につなげる人材
  • 自律的に成長し、自身と会社を変革し続ける人材

社内環境整備方針

NGKグループは、人材が持てる力を十分に発揮できる舞台として、以下のような職場環境をつくり上げていきます。

  • 多様性を尊重し、さまざまな人が活躍できる職場
    >人種、国籍、性別、年齢や信念、経験、価値観などにかかわらず、誰もが認められ、尊重される職場。
  • 豊かで活気あふれる職場
    >多様な人材が、やりがいをもって、尊敬できる仲間と楽しく働くことができ、 こころと体の健康、仕事と生活の調和が保てる職場。
  • 挑戦を後押しするオープンな職場
    >果敢な挑戦を後押しする、風通しよく心理的安全性が守られた職場。

グループ全体への浸透を推進

NGKグループでは、約12,500人が海外拠点で業務に従事しており、グループ各社に今回策定したグループ人的資本経営方針をしっかりと浸透させていくことが足元の課題として挙げられます。日本と海外では、当然ながらHR事情は異なります。さらには、ひと口に海外といっても、国や地域によって環境、風習、文化等が違い、働き方に対する感覚や価値観もさまざま。言うまでもなく、抱えている課題も異なります。そのような背景をふまえ、グループ各社の課題の把握や海外拠点の連携強化を進め、現地の状況に合わせた柔軟な人材戦略を展開する必要があると考えています。

働き手から選ばれる企業に

若年層の労働力人口減少や柔軟な働き方を労働者が選択する「働き方改革」の影響もあり、近年は人材の流動化が進んでいます。時代の潮流と社会の変化の中、NGKグループの未来を担う優秀な人材を確保するためには、働き手から選ばれる魅力的な企業であり続けなくてはなりません。NGKグループは人的資本経営方針のもと、事業戦略と連動した人材戦略を実践し、人材価値の最大化により持続的な成長を目指します。その先にあるのはNGKグループビジョンの実現であり、人の力をグループの力に変え、飽くなき挑戦を続けてまいります。

(インタビューは2023年4月に実施)