セグメント別戦略と推進
エンバイロメント事業本部

プロフィットセンターとして収益を支えながら、カーボンニュートラル関連の次世代製品・技術の開発に注力

常務執行役員 エンバイロメント事業本部長 森潤の写真

自動車関連製品を中心に、環境に資するビジネスを幅広く展開するエンバイロメント事業本部。プロフィットセンターとして収益を支えながら、世界的に拡大が見込まれるカーボンニュートラル関連市場に向け、次世代製品、技術の開発にも注力していきます。

「NGKグループビジョン Road to 2050」に向けた基本戦略

  • CNとDS関連市場への売上拡大に向けた投資を推進すべく、プロフィットセンターとしての役割を果たす
  • 独自技術を活用したCN関連の新製品の開発及びNV推進本部との連携による新規マーケット探索

強み

  • 材料技術、製品開発、量産技術及びそれらを具現化できる現場力
  • 各国の法規制や地域特性、需要変動に対する柔軟な対応力、自動車会社への提案能力

外部環境認識

機会
  • 世界各国の排ガス規制強化
  • モータリゼーションの拡大
  • 世界的な脱炭素に向けた取り組み拡大

外部環境認識

リスク
  • 自動車のEV化
  • 地政学リスクの拡大

売上高

売上高を表したグラフです。

営業利益

営業利益を表したグラフです。

2023年3月期の振り返りと2024年3月期の見通し

2023年3月期は、コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻の長期化によって世界経済は不透明感を増し、舵取りが難しい1年だったと実感しています。業績につきましては、中国における経済活動の抑制等が影響したものの、自動車関連製品の出荷は堅調に推移したほか、為替円安の効果により増収を達成できました。しかしながら、利益面では、労務費の増加、原燃料価格高騰などの影響から減益となりました。

2024年3月期は、半導体等の部品供給不足の緩和を背景とする自動車生産の回復、排ガス規制強化により各製品の需要増加が期待できることから増収を見込む一方、利益については、労務費や原燃料価格の上昇の継続により、微増にとどまる見通しです。

NGKグループビジョン実現に向けての中長期的成長戦略

エンバイロメント事業本部は、NGKグループビジョンの実現に向けて、二つの重要な使命を担っています。一つは、NGKグループのプロフィットセンターとして、足元の収益を支える役割です。EV化の進展により将来的に内燃機関ビジネスは縮小傾向となりますが、短期的には世界各国のさらなる規制強化の対応に向けて自動車排ガス浄化用部品の需要が続きます。ゆえに、2030年頃までは3,000億円規模の売上高を維持できる見込みであり、それが今後展開していくさまざまな成長戦略における原資となります。欧州委員会は、新排ガス規制「ユーロ7」を2025年から導入する草案を発表しており、ガソリンエンジンに対しても常時NOx濃度測定が必要となることから、当社が開発しているガソリンエンジン用NOxセンサーの需要が立ち上がる見通しです。需要を確実に取り込むべく、生産体制の最適化を進めながら、規制に対応した高機能製品の投入に向け開発スピードを加速させていきます。

もう一つは、2050年のありたい姿として掲げる「カーボンニュートラルへの貢献」をリードする役割です。本事業本部は、カーボンニュートラル関連の新製品需要が高まると予測される2030年に照準を合わせ、カーボンニュートラルに寄与する持続可能な事業へと転換する方針を掲げています。そこで今後は、稼ぐ力を維持して当社グループの屋台骨を支えると同時に、新時代を見据え、カーボンニュートラル領域の新製品開発、事業化を推進していきます。重要なのは、市場やお客さまのニーズを素早く取り込むことであり、マーケティングの専門組織・NV推進本部とも連携して対応します。大気中のCO2を直接回収する「ダイレクト・エア・キャプチャー(DAC)」向けハニカム製品など、既に開発が進んでいる製品もあり、新たな収益源として早期の体制確立を目指しています。

社会課題の解決に向けての提供価値

エンバイロメント事業本部は、エンバイロメントの名の通り、事業活動がさまざまな環境課題の解決に直結する部門です。時代は変革期のさなかにあり、内燃機関自動車の需要が見込める2030年頃までは、自動車の排ガスを浄化する排ガス浄化用触媒担体、自動車排ガスの窒素酸化物(NOx)濃度を測定するNOxセンサーをはじめ、環境汚染防止に貢献する製品・サービスの開発と提供により、環境負荷の低減に寄与します。そしてそこから先は、独自のセラミック技術を核とした新製品及びサービスの開発・提供により、カーボンニュートラル社会の実現を後押ししていきます。私たちには自動車関連製品で蓄積してきた唯一無二の技術があり、セラミック膜や加熱装置、フィルター、リアクターなど、多様なニーズに応えるカーボンニュートラル向け製品を開発することが可能です。また、技術力のみならず、グローバルな事業活動を通じて培われた経験豊かな人材という強みもあり、これらを活かした価値の提供により、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

EV化の潮流の中、激動の時代を迎えていますが、「変化」は「チャンス」と同義です。いまだかつてない変化を楽しみ、モチベーションを上げて私たちは挑戦し続けます。エンバイロメント事業本部のこれからに、どうぞご期待ください。

(インタビューは2023年5月に実施)