セグメント別戦略と推進
デジタルソサエティ事業本部

3事業部体制のもと、豊富な製品群でデジタル社会の課題解決に貢献

専務執行役員 デジタルソサエティ事業本部長 松田 弘人の写真

今後の成長が期待できるデジタル社会関連の事業を集約したデジタルソサエティ事業本部。HPC事業(半導体製造装置用製品)、電子デバイス事業、金属事業の3事業部体制のもと、豊富な製品群で、目覚ましく進化するデジタル社会の課題解決に貢献します。

「NGKグループビジョン Road to 2050」に向けた基本戦略

  • デジタル社会に貢献する製品群を集約することにより、社内外の情報を結び付け、シナジー創出を図る
  • 半導体関連を中心にDS関連製品の事業を拡大し、2030年に売上高3,000億円超を目指す
  • EV/HV、水素関連インフラ向けにカーボンニュートラルの製品開発:絶縁放熱回路基板、ベリリウム銅部材

強み

  • 独自の材料技術と製造プロセス技術で他社が追従し難い分野を展開
  • 顧客との深いコミュニケーションによる高付加価値製品の開発

外部環境認識

機会
  • データ通信量の世界的な増大
  • モバイル通信の高速化
  • 半導体不足解消に向け、半導体投資額の増加

外部環境認識

リスク
  • 開発ロードマップの見誤り
  • 貿易摩擦や原材料調達難
  • ローカルメーカーの台頭

売上高

売上高を表したグラフです。

営業利益

営業利益を表したグラフです。

2023年3月期の振り返りと2024年3月期の見通し

2023年3月期は、スマートフォン/PCの販売低迷に加え、下半期に半導体投資やデータセンター投資の抑制・縮小が顕在化し、主力製品の半導体製造装置用製品やハードディスクドライブ(HDD)用圧電マイクロアクチュエーター等の電子部品の出荷が減少しました。その結果、売上高は円安によるプラスの効果で増収となったものの、営業利益では物量減に加え、減価償却費の増加などにより減益となりました。

2024年3月期についても需要減少の影響は続いており、第3四半期以降は徐々に回復基調となる見通しですが、厳しい事業環境であることは否めません。各事業においては早急に収益改善を図るべく、生産体制の見直し、コスト削減、DX推進などに取り組み、需要回復時にスマートな生産体制を構築できるよう準備していきます。一方、現在進めている次世代品の開発を促進し、次の飛躍のチャンスに向けて着実に取り組みを進めていきます。

NGKグループビジョン実現に向けての中長期的成長戦略

デジタルソサエティ事業本部の最も重要なミッションは、自動車関連事業に次ぐ第二の基幹ビジネスに成長することです。事業環境は、足元では市況悪化に対する在庫調整局面はあるものの、中長期的にはIoTやAI、6G通信の進展などにより半導体関連や電子部品関連で需要が拡大すると予想しています。NGKグループビジョンでは、2050年にカーボンニュートラル(CN)とデジタル社会(DS)関連製品の売上高比率が80%を占めることを目標に、2030年に新事業化品で売上高1,000億円以上を目指す「New Value(NV)1000」を掲げています。デジタルソサエティ事業本部では、それらの達成を牽引すべく、主力の半導体製造装置用製品を中心に2030年に売上高を今期の倍相当にすることを目標に定め、スピード感を持って事業拡大に取り組みます。

NV1000で成長を見込む製品には、DS関連では光通信やモビリティセンサーに使用される複合ウエハー、映像・通信分野で成長が期待されるCMOSパッケージ等があります。CN関連では、EV車載用パワーモジュールに採用が拡大しているSN絶縁放熱回路基板があります。また、新製品を育てていくのには、マーケティングを担うNV推進本部との連携が重要なポイントとなります。モビリティやウェアラブル、新エネルギーなどの成長が見込める分野に対し、協業や異業種連携を活用しながら、製品開発のみならず、お客さまのニーズに応えるソリューションを提案していきます。

※SN:Si3N4(窒化ケイ素)

社会課題の解決に向けての提供価値

デジタル社会の進展がもたらすものは人々の豊かな暮らしや社会の持続可能性であり、私たちは独自のセラミック技術を活かした製品やサービスを提供することで、その一翼を担いたいと考えています。主力の半導体製造装置用製品は半導体の高性能化を支えています。また、次世代の高速大容量通信に貢献する高機能ウエハー製品、増大する世界情報量に対応するHDD用圧電マイクロアクチュエーターなど、スマート社会をより快適にする製品を既に有しており、今後はさらに新しい製品やサービスを創出し、目覚ましく発展し続けるデジタル社会の課題の解決に貢献します。

また、デジタルソサエティ事業本部はカーボンニュートラル領域にも寄与しています。例えば、半導体の高性能化に伴うデジタル技術の進展は消費電力削減にもつながり、カーボンニュートラルに貢献しています。EV用のパワーモジュール向けに需要拡大が期待できる絶縁放熱回路基板なども、カーボンニュートラルを後押しする製品です。さらに将来、水素社会の実現に向けて、水素インフラ用部材などの開発も視野に入れています。

デジタルソサエティ事業本部が展開するビジネスは非常に幅広い分野にわたっており、さまざまな業界のお客さまとつながりがあることからチャンスも多いという認識です。豊かでより良い未来のために、お客さまとのパートナーシップを深め、市場ニーズ、技術トレンドをしっかりとキャッチしながら、新たな価値の創造にチャレンジしていきます。

(インタビューは2023年5月に実施)