SPECIAL TALK

持続的成長を支える日本ガイシの強み

髙岡:日本ガイシはその名の通り「ガイシ」の製造から出発した企業ですが、今や非常に幅広い分野で事業を展開しています。現在、特に伸びている分野は何でしょうか?

大島:大きく2つあります。ひとつは自動車の排気系に関わる分野です。当社の主力製品で、世界で約5割のシェアを持っている排ガスの浄化用部品や、NOxセンサーなどです。世界の自動車の年間販売台数は約9,000万台、年率3〜4%くらいの割合で伸び続けています。電気自動車など排ガスを出さない車種も伸びてはいますが、バスやトラックといった大型車をはじめ、まだ化石燃料を使う車種が圧倒的に多い。そのような状況を踏まえ、各国で排ガスの規制がどんどん厳しくなっており、排ガス浄化用部品やNOxセンサーの需要は高まっています。

高岡:御社の供給責任は非常に大きいですね。大規模な量産を進めるには、設備投資や研究開発の進捗はいかがでしょう。

大島:新工場をポーランドとタイに建設するなど成長分野への集中投資を迅速に実施しています。2017年度からの3年間で、会社全体で3,000億円、自動車関連で1,700億円の設備投資を行います。
もうひとつ活況になっているのが半導体関連で、そちらでも新たな設備投資を進めており、同時に研究開発にも力を入れています。

来たるべき未来を見据えて、さらなる研究開発に努めていきます。

高岡:半導体については、モバイル通信のさらなる大容量化・高速化やIoT(モノのインターネット)の普及で市場が広がっていますし、AI(人工知能)の分野などでの技術革新、ほかにも新しい社会インフラづくりへの活用が期待されています。

大島:当社は半導体を製造する装置にセラミックス製の重要な機能部品を供給しており、半導体の著しい進化を支えています。これは世界でも数社のセラミックスメーカーしか作れないものです。

高岡:日本ガイシにはなぜそのような特殊な技術があるのでしょうか。他社に対する優位性を維持できる技術・製品を複数持つのは、企業として大きな強みですね。

大島:そこはやはり、ガイシから始まった当社ならではの特徴です。ガイシは数十年という長い期間使い続けられる製品です。だから、絶対的な品質を追求し、独自技術を磨きに磨いてきたのです。加えて、当社は早くから事業の多角化を進めてきました。得た利益を研究開発にあて、次の柱となる事業を育てていく。その繰り返しで拡大してきたんです。

将来のニーズを捉え、技術を磨く

髙岡:研究開発を進める際にポイントとなるのは、社会の将来的なニーズを見極めることです。日本ガイシではそれができていたから、多角化が成功したのでしょうね。

大島:NOxセンサーについても、20年以上ずっと研究を続けてきたものが、この3、4年で主力製品として花開いた。これまでの積み重ねがあったからこそ、社会が必要とするタイミングで供給できるわけです。

高岡:日本ガイシの製品の中で、今後、飛躍するのではと私が注目しているのは、NAS®電池です。大型の蓄電池を事業化している企業は少ないので。

大島:世界は低炭素社会の構築を目指していますが、そうなればエネルギー供給は再生可能エネルギーに頼らざるを得ません。するとエネルギーの安定化を図るために、電力を蓄える装置が必要不可欠です。来たるべき未来を見据えて、さらなる研究開発に努めていきます。

さらなる成長に向けた、人材育成と働きがいのある職場づくり

高岡:人材育成について、大島社長の考えをお聞かせください。

大島:社長の任に就いて以来、人材育成や職場環境の整備には力を入れています。一番大事なのは自主性です。だからこそ、誰でも自らの意思でチャレンジできる環境をつくりたい。自主性をどう育てるか、モチベーションをどうやって上げていくかをいつも考えています。そのために、まずは国内外のグループ会社や製造拠点、さらには社内のすべての部署に足を運び、自分の目で実際の職場の様子を見て回ることから始めました。

高岡:実際に現場をご覧になって、いかがでしたか。

大島:増産に次ぐ増産で、どの現場もとても忙しく、一生懸命な従業員を見るにつけ、無駄な作業や慣習を徹底的に見直し、本当に必要な仕事に注力できる環境を整えなければならないと感じました。そこで、無駄をなくして本質的な業務に注力するE3(E-Cubed)活動を始めたのです。働き方の改革というのは、どうしてもトップダウンでなければできない部分もあるので、各部門のトップが方針を定め、宣言して推進する形をとりました。

高岡:トップがコミットメントすることで現場は動きやすくなりますね。働きやすくなって効率があがれば、従業員のモチベーションは高まると思います。近年、人材確保はどの業界でも大きな経営課題となっていますから、従業員の満足度を上げる取り組みは必要です。

社会のニーズを見極めていたからこそ、多角化が成功したのでしょうね。

大島:優秀な人材を採用し、長く働いて能力を発揮してもらいたいと考えています。そのため、人事制度を今年から改定しました。まずは若手や中堅層の意欲的なチャレンジを促すための一般従業員の人事制度改定。そして、ベテラン層がもっと活躍でき、安心して働き続けられる65歳定年制の導入。前者については、女性の活躍推進も狙いの一つです。

高岡:製造業は昔から女性従業員比率が低く、管理職への登用も進んでいないと言われています。

大島:実は、当社の平均勤続年数は女性の方が長いのです。仕事と家庭の両立を支援する制度を充実させてきた成果と考えていますが、一方で管理職への登用はまだ十分ではないため、現在、次代を担う女性管理職の育成を促進する取り組みを行っています。

世界中の従業員の総合力でさらなる成長を目指す

髙岡:グローバルで展開する御社には海外にも大勢の従業員がいます。

大島:2万人を超える当社グループの従業員のうち、半数以上が海外で働いています。皆が一丸となって事業を進めるには、目指す姿を共有することが非常に重要です。今、2年後の創立100周年に向けて企業理念の見直しも進めています。

高岡:私たちの生活や環境を変える可能性を持つ商品の今後も楽しみですが、新しい理念を発表されるのも楽しみにしています。

大島:当社の製品は、電気、自動車、通信など人が生活し発展していくためのインフラに必要不可欠なものです。これからも、そのような製品を提供できる企業であるために、グループを挙げて取り組んでまいりますので、ご期待ください。

※E3(E-Cubed)活動
Pursuing our Essence(本質の追求)
Eliminating Waste(無駄の削減)
Increasing Efficiency(効率の向上)

詳細はこちら>NGKレポート2017(PDF)

対談