「がいし」の形と種類

ギザギザした特殊な
形のワケは…?!
「懸垂がいし」「がい管」
を中心にご紹介します。

「がいし」は
なぜギザギザした形を
しているの?

がいしの磁器部分の形には、
外径部分の「笠」と
笠の下にギザギザした「ヒダ」があります。
がいしは、笠とヒダを組み合わせて
電気の絶縁性能を高めています。

「がいし」は雨、風、雪、雷、潮風など屋外のあらゆる自然環境の中で耐え続けます。永い年月を経て、塩分やほこり、煙などによる汚れが蓄積された状態で水分が付着すると、がいし表面を電気が流れやすくなり、絶縁性能が低下します。

そのため、海や工業地帯に近い地域に設置する「がいし」の裏側には深いヒダを設けています。深いヒダを設けることでがいし表面の電気を絶縁する距離(表面漏れ距離)を長くし、汚れによる絶縁性能低下を防いでいます。

がいしのトリビア

がいしのトリビア

がいしの構造の秘密

乾燥フラッシオーバ
距離
乾燥フラッシオーバ距離を長くすることにより、より高い電圧に耐えられるようになります。
※フラッシオーバとは、落雷などの異常電圧によりがいし表面に沿って放電する現象。
表面漏れ距離
がいし表面の電気を絶縁する距離のこと。長くすることにより、汚れによる絶縁性能低下を防ぐことができます。
※金具表面は電気を通すため、表面漏れ距離に含みません。
笠をつけることで、フラッシオーバ距離と表面漏れ距離の両方を長くできます。
ヒダ
笠の下にヒダをつけることで表面漏れ距離が長くなり、汚れによる絶縁性能低下を防ぎます。
金具
がいし同士の連結(懸垂がいしなど)、がいしと機器、がいしと電線などの取り付けに使用します。

「がいし」の種類は?

がいしは用途などによって種類が
いくつかあります。
ここでは「懸垂がいし」「がい管」
「配電用がいし」についてご紹介します。

鉄塔で送電線を支える「懸垂がいし」

懸垂がいしは、鉄塔で送電線を支えるとともに、鉄塔と電線を絶縁し、電力の安定供給に重要な役割を担っています。
懸垂がいしは、連結数を増やすことにより、高い電圧まで絶縁することができます。

日本ガイシでは、大きいもので世界最高の100万ボルト送電に対応する懸垂がいしや、直径40cmの懸垂がいし1個で84トンもの重さに対応する超高強度の懸垂がいしまで商品化しています。

がいしのトリビア

がいしのトリビア

懸垂がいしにはいろんなつり方がある

がいしのつり下げ方をご紹介します。

  • 耐張つり

    電線を水平方向に引っ張るつり方。電線の方向を変えるときにも利用。

  • 懸垂つり

    長い距離の電線を途中で支えるつり方。(耐張つりと耐張つりの間)

  • Vづり

    懸垂つりの発展形、横風が強くても電線が揺れにくいつり方。送電電圧が高い鉄塔の場合、懸垂つりより鉄塔をコンパクトに設計可能。

がいしのトリビア

懸垂がいしの数え方

(図)がいしを9個つなげた場合「①連結数9」、その連結したがいしの束を、さらに2つ連ねた場合「②2連」と数えます。

連結数(①)

懸垂がいしは、連結数を増やす(乾電池を例に取ると直列つなぎ)ことにより、高い電圧まで絶縁することができます。

連(②)

高い電圧で使用される送電線は複数本からなることや、台風などの強い風に吹かれことにより、がいしに大きな力がかかります。その力に対応するために、懸垂がいしを連結したものを複数列取り付け(乾電池を例に取ると並列つなぎ)たり、大きな力に耐える大型の懸垂がいしを使用したりします。

がいしのトリビア

鳥を守るがいしがある

懸垂がいし装置には、雷や汚れが原因の放電現象(アーク)からがいしを守る「アークホーン」という棒状の部品がついています。しかし、アークホーンに鳥などの野生生物が留まった際、感電事故が発生し停電することがありました。
このアークホーンに「小ギャップ式鳥害防止装置」を取り付けることにより、がいしを放電現象から守りつつ、鳥などの野生生物を感電事故から守ることができます。

変電所で機器や建物に安全に
電気を導く「がい管」

がい管の役割は、電線を支えるとともに、「電線」と「機器や建物」を絶縁しつつ、「機器や建物」の内部に安全に電気を導くことです。そのためがい管の構造は、外部に絶縁性能を高めるための「笠」や「ヒダ」を持ち、内部に電線などを通すため筒状となっています。

日本ガイシの100万ボルト送電に使用されるがい管は、長さ11.5mで世界最大級の磁器製品です。

がいしのトリビア

がいしのトリビア

激しい大雨にも耐えるひみつ

激しい大雨の際、がい管の笠と笠の間を雨水が連続的に伝い、雨水中を電気が通ることにより、絶縁性能が下がってしまいます。途中に大きな笠を設けることにより雨水を切り、絶縁性能の低下を防いでいます。この大きな笠を「水切り笠」と呼んでいます。

がいしのトリビア

がいしは水で洗うことができる

海や工業地帯に近い地域に設置する「がいし」は、塩分やほこり、煙などによる汚れが、表面に蓄積された状態となりやすく、水分が付着することでがいし表面を電気が流れやすくなり、絶縁性能が低下します。
その「汚れの状態」を想定して変電所をつくると、がいしが大きくなり設計や製造の難易度が増します。定期的にがいしを洗浄することにより、がいしをコンパクトに設計することができます。

日本ガイシでは、変電所向けに汚れの状態を自動的に測定し、その結果をもとに電気を止めることなく自動で洗浄を行うことができる、がいし洗浄装置を設計、販売しています。

電柱で配電線を支える
「配電用がいし」

配電用がいしは、電柱で配電線を支えるとともに、電柱と電線を絶縁し、電力の安定供給に重要な役割を担っています。
配電用がいしは、みなさんの家の近くで配電線を支えている、一番身近ながいしです。

(図)高圧耐張がいし(①)・高圧中実がいし(②)などがあります

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